>>1 のつづきです。
ベッドのマットのスプリングが沈んだ感覚に恐怖で目が開けられない。
『!!!』間もなく、私を跨いだかのように、反対側にまたスプリングが沈んだ。
目を開けられないままに、自分の鼓動だけが強く早く体内にこだまする。
汗ばんでゆく身体も、暑さのせいなのか寒気のせいなのか分からない。
手は相変わらず麻痺しているかのように感覚がない。
その後、動く気配はない。
息遣いなんかも聴こえない。
匂いも特にない。
それから何分が経過したのかも分からない。
私は恐る恐る、固く瞑った瞼をゆっくりと開いていった。
薄目が開いた瞬間……
『!!!!!!!!!』
本当に心臓が止まるかと思った。
叫び声をげるどころの驚きじゃなかった。
私に覆い被さるように、男の顔が私の顔の正面30cmぐらいの場所にあった。
怒りでも笑みを浮かべるでもなく、無表情な顔がそこに。
私は再び瞼を強く閉じ、お経を唱えようと思った。
だけど一瞬にしてパニックになったのか「南無阿弥陀仏」すら私の頭に浮かんで来なかった。
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