【3】チャットの男=ryo
週1回の固定休の隆、佳代はシフト制で不定期休だった。
その為、基本的に休みが合わず、佳代は休みになると、月に数回アダルトサイトを閲覧し、どうしても男が恋しくなると、チャットで紛らせていた。
オナニーをするためではなく、指示を受けたいわけでもない。
変態行為のアイデアを得るためだった。
佳代は、HN等は使わなくなっていた。
ありふれた名前だし、そうそう知っている人には逢うことはないと思っている。
その日、ryoという37歳の男性と会話を楽しんでいた。
---
ryo:変態行為が好きだって言う佳代は、管理職なんだw
佳代:wそう。疲れちゃう。部下は言うことも聞かないし。
ryo:それは大変だね。
佳代:だからストレス溜まっちゃって
ryo:恋人とはご無沙汰なんでしょ?セフレとか作らないの
佳代:時間がないもの…
ryo:なるほどね。それで変態行為をしたくなる、ってこと?
佳代:うん。
ryo:これまでには、どんなことをしたの?
佳代:下着なしで、出勤。1日中仕事をしたわ。
ryo:どうだった?
佳代:最初はどきどきしたけど、誰も見るわけではないし、慣れてきちゃった
ryo:他には?
佳代:ある人に教えられたんだけど、フリスクを下着いっぱいにいれて仕事をするっていうの
ryo:うわ^^;すごそう。で?それはどうだったの?
佳代:眩暈がしわたわ。感じて、濡れて、そのたびにフリスクが溶けて。
ryo:じゃあさ、これはどうかな?
---
ryoが提案したのは、ノーブラで乳首を輪ゴムで縛ること、そして、陰毛をそり落とすことだった。
陰毛をそり落とせば、フリスクの刺激は倍以上。
ryoもまた、自分の恋人や妻には出来ない欲望を持った歪んだ男だった。
こんな中年のおばさんが、と思うとryoの心の渦は大きくなり、佳代をどこまでも落としたくなっていた。
落ちろ、落ちろ、堕ちろ。
実際、ryoは暇をつぶしていたネカフェで、偶然チャットに入り佳代と知り合った。
互いに住んでいる場所など知らない。
だが、偶然とは恐ろしい。世間は狭いとでも言うのか。
ryoは、佳代の部下の1人「亮」だった。
ガリガリで金縁のメガネ。頭も薄くなってきたので、少しずつバーコードになっているが、まだ37歳。
既婚の亮は、出世出来ないか考えていた。だが、佳代の評価は恐らく最悪だろう。
真面目で、風俗どころか浮気も無い。家族の為、コンビニでの弁当も控え、きりつめて生活している亮にとって、
佳代は目の上のこぶでしかなかった。少しでもいい、ストレスを自宅にも会社にも持ち込みたくない。
優しさと、苦しさを抱えた亮は、家族にも内緒で、自分の欲求を果たす為、佳代に出会った今の職場に
就職してからは、小遣いの範囲で仕事の帰り道、ネカフェで楽しんでいたのだ。
亮の上司の佳代は、この赤裸々に欲求を口に出す佳代だということも、
会社にいる仕事の出来ない、気持ち悪い男の亮が、とても優しくアイデアを出すryoだということも
互いに知らなかった。
ryoは次第にチャットの女、佳代を、「上司の佳代」として想像していた。
先日もミスが発覚したryoは、佳代から呼び出され、1時間近く叱責を受けている。
(佳代か。同じ名前で年齢も同じくらいだ。堪らないな。)
爆発しそうに苛立ち、ざわめく気持ちをどうにか抑え、にたりと口を歪ませ笑う。
HN:佳代はMだ。
俺の、鬱憤を晴らしてもらおう。
そうだ。Mなのだから、今から俺のやることも、受け入れられるだろう。
精神的な、苦痛を…。
その苦痛の表情を間近で見ることは出来ないが、想像するだけで佳代への怒りを吐き出せるだろう。
生意気な女。
高飛車で、俺を下に見続け、ぐうの音も出ないほど言葉で攻め立てた佳代。
給料があがらない、うだつの上がらない平社員のままなのも、全て佳代が原因ではないのか。
亮の脳裏には、会社の佳代が浮かんでいた。
(堕としてやりたい。)
黒い渦は次第に大きくなり、ryoは実際の佳代を思い浮かべながらチャットを続けた。
---
ryo:まぁ、彼氏がいるから、無理は出来ないか。
佳代:彼は、私には触れないわ。
ryo:じゃあ、出来るの?
佳代:・・・
ryo:じゃあ、オーソドックスな方法でも考えようか^^
佳代:・・・ちょっと、待ってて・・・
---
佳代は、次第に興奮しはじめていた。
携帯で撮影した写真を、チャットに晒したのだ。
ryoは驚いた。目を見張り、思わずその画像を保存した。
陰毛をそり落とした佳代。
だが、信じられるものか。
ネットなど、アダルトチャットなどバーチャルな世界だ。
どこかのサイトから拾ってきた画像かもしれない。
だが、どこか現実的だ。
恐らく佳代は、本当に行動しているのだろう。
(佳代…。お前、本当に変態なんだ…)
だが、画面に打ち出す文字には出さない。
---
ryo:びっくりしたよ、いいの?見せてくれるなんて思わなかった
佳代:ちゃんと剃ったでしょう?
ryo:そうだね…。
---
亮の反応は1行目こそ嬉しそうに感じられたが、「そうだね…」は佳代にとって意外だった。
もっと喜ばないのか。
もっと大げさに反応するものではないのか。
早速フリスクを試してみるように言ってくるものではないのか…。
焦りが佳代を包む。
そして佳代は狂いだした。
勝手に服を脱ぎだし、その写真を要求もされないのに晒しだしたのだ。
本当は、次のフリスクの話をしたくて仕方ないのだが、男がもっと刺激を求めているのかもしれない。
本当は下半身への興味を持っているのではなく、上半身なのかもしれない。男の気を引くために脱いだ。
次々と晒されていく佳代の身体。
(乳首でかいな。輪ゴムは楽勝だろうな。)
俺を怒鳴った佳代。ネットにいる佳代には悪いが、制裁だ。そうだ、俺の手を汚さない制裁…。
佳代は、写真を晒してもさほど反応がないryoに対し、焦り、そして苛立ちさえ覚えていた。
---
佳代:ねえ、フリスクは、どうしたら良いの?
---
堪り兼ねて、佳代が尋ねる。
---
ryo:フリスク。ね。まず、ビラビラの中に10個くらい入れておくんだ。
佳代:で?残りのフリスクは、下着ってことなのね?
ryo:そう。溶けるのを早めるのに、最初は下着に水をつけてみるのも良いかもね。
佳代:スースーしそう。
ryo:うん。でも、俺の奥さんは堪らないって言ってるよ。
---
嘘だった。ryoは自分の妻になど、そのような行為を強いれるような男ではない。
優しく、温かい家族。見合いで出会い、妻になってくれると答えてくれた、たった1人の女性。
そんなことなど出来るはずがない。
(妻は、変態な佳代と違って清らかな女性なんだ。さあ、佳代、変態行為に身を堕とせ…)
ryoの思惑通り、佳代は自室で下半身への虐めを、自らの手で行っていった。
---
ryo:これでね、ある程度とけたときに、風をあてたらすごいんだけどね
佳代:扇風機でも良いかな?
---
(馬鹿な女だ。でも面白くて仕方ない。)
---
ryo:どうなっても知らないよ?
佳代:いいのよ
---
そこから、佳代のレスはぴたりと止まった
(悶えてるのか。本当にやったとしたら、苦痛だろう…)
暫くして、写真が。白くとけたフリスクがあちこちに張り付いた、局部の写真。
つくづく、変態なんだな。しかもMに偏った。
(このときを待っていた…)
---
ryo:気持ちよかった?それとも、痛かった?
佳代:素敵だったの。だから、見てほしくて
ryo:そうか。明日、仕事中も楽しめそうかな?
佳代:ええ。有難う。
ryo:こちらこそとんでもない変態に逢えた。面白かった。
---
佳代はどきっとした。今までの男とは違う言葉が返ってきたからだ。
今までは、もっと写真を要求したり、乳房ひとつをとってもきれいだと言っていた。
しかしryoは違ったのだ。
苛立ち、焦った佳代の欲求を満たした後の男に変わりように、佳代の手が止まった。
そして次の瞬間、佳代は後頭部を殴られたような、真っ暗な衝撃を受けた。
---
ryo:見ず知らずの男に、自分から勝手に写真を晒す変態女佳代。
ryo:管理職?笑わせるぜ。自分の性欲も管理出来てないよね。
ryo:この写真、全部保管したよ。
ryo:どこのネカフェからとか教えないけど、デスクトップに貼ったし、店員が見るだろうな。
ryo:いや。店員が来るまで、俺は扉をあけたまま後にしてやる。
ryo:佳代。お前の身体、不特定多数の男が見るんだよ。
ryo:どうだ、佳代。
ryo:この写真を色々な奴に無料で巻いてやる。明日すれ違う男が、お前の身体を知っているかもなw
ryo:じゃ。
---
ryoがチャットルームを出てしまった。
呆然とする佳代。それを想像するだけで、先日のストレスが吹き飛んだryo。
だがryoが言ったことは本当だった。
乳首も、つるつるに剃られた写真も、メモリースティックへの保存と、そして写真を開いたまま、部屋の扉をあけ、後にしたのだ。
(実際、あの佳代が、今の女だったら面白いんだけどな。ま、そんなことあるわけないか。)
亮は、急ぎ帰路についた。
※元投稿はこちら >>