「ママ、変なの」
トイレで叫ぶ満貴。
初潮だった。説明をしながら着替えをさせ、ゆっくりするように伝えた。
異変に気づいた姑が
「満貴、初潮?」
聞いてきた。私が頷くと姑はうなだれたように
「覚悟しないと、、ね」か細く言った。思い詰めた表情の姑に何も聞き返せなかった。
この時、全てを知っていたら…あの惨劇は防げたかもしれないと何度も私は後悔した。
姑は、お赤飯の準備をして動き回っている。その様子に気づいた舅が急いで電話をして出かけて行った。
大量のお赤飯が炊き上がった頃、紅白の容器を持って帰ってきた。満足そうにお赤飯を眺めてから次々と容器に詰めていく。集落の全部の家に配るのだという。
「そんな満貴が晒し者みたいで恥ずかしいですよ。全部のお宅に配るなんて、止めて下さい!」
私が叫ぶように言っても、何度お願いしても…。
「ここの風習だから」
舅が言うだけだった。
こんな時代に、風習なんて馬鹿げてるとしか思えない。私は、止めさせようと必死だった。夫も騒ぎに気がついて近寄ってきたが風習に従ったほうがいいということになった。
舅は、ずっとゴキゲンでたくさんのお赤飯を配りに行った。
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