『では…病室へご案内しますねっ』
綺音さんは突然立ち上がると僕を病室へと連れて行こうとした。
『は…はいっ』
綺音さんの潤んだ瞳に吸い込まれそうになっていた僕は声を裏返しながら返事してしまった。
『クスっ…病室は二階になりますのでこちらへ…』
そんな僕の様子に微笑を浮かべながら歩きだすと階段を登り二階へと上がる。
二階に上がるとそこには4つのドアがあり、その内3つのドアの横には名札がつけてあった。
(なんだ…他にも患者がいるのか…)
僕は少し残念な気持ちになった、綺音さんを独占したいという欲求からだ。
『こちらです…どうぞ』
僕のそんな思いをよそに1番奥にある病室へと通される、ベッドとテレビやクローゼットなどが置かれた簡単な部屋だった。
『では早速ですが治療にとりかかりますので…こちらの入院着に着替えて下さい』
綺音さんに手渡されたそれは大きめのTシャツのような入院着だった。
『はい…ありがとうございます』
僕が礼を言うと綺音さんが続けた。
『こちらのお薬を飲んでベッドに横になって休んでいて下さい…1時間程したらお薬が効いてきますので…その時にまた来ますねっ』
綺音さんはニコッと微笑むといくつかの錠剤を僕に渡して退室して行った。
『薬ねぇ…大丈夫かな?これ』
もしかしたら騙されてるのではいか?といまさらながら怖くなってきた、しかしもう後にも引けないので入院着に着替えると錠剤を一気に口へと放りこみ洗面所からコップ一杯の水を汲むとゴクゴクと飲み干した。
薬を飲んでベッドに横たわっていると、ウトウトとしてきたやはり騙されたかと思うも意識はどんどん朦朧としてくる。
朦朧とする意識の中、隣の部屋からリズミカルな音が聞こえてきたのだった。
パンッパンッパンッパンッ!!
隣からは何かがぶつかり合う音が響いていた、それと同時に女性の声が聞こえる。
『あっ!あっ!あっ!…もっと…もっと中に出してぇ!』
どうやら隣でAVを見ているようだ、まったく騙されてると知らずにいい気なもんだと思いながら僕の意識は奥深くへと沈んでいった。
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