月が明るい夜だった。
土曜の22時を過ぎた時間。
娘が夜中に起きるかもしれない。眠っているとはいえ、
一人にさせている事を不安に思った。
絵美の脚はフラついているが、娘の様子が気になるから
まだ意識ははっきりとしている。
住宅街はひっそりと静かだった。
車、人通りも少ない。
絵美のフラフラと歩くいびつな足音だけが鳴り響く。
車道と歩道が分かれた通りに出る。
タクシーがハザードランプをつけ停車しているのがみえ、
大手ビデオレンタルショップの看板灯りが目に入る。
土曜の22時、人があまり歩いていない。
子犬を散歩させる老人、自転車に乗った女性、
タクシーを停車させ、タバコを吹かす運転手。
絵美が思うハイエナが目には入らなかった。
コンビニに立ち寄る。フラフラとはするが、まだ緊張が溶けていない。
店内で立ち読みをしている大学生くらいの男性の後ろを通りすぎる。
フラフラと歩くその姿に男性は絵美が背後を通りすがるの待ってから
絵美の後ろ姿をちらりと振り向き確認した。
タイトなスーツ、スカートにお尻の形が浮き上がっている。
明らかに酔っているが、その上品な姿とのアンバランスさに興奮している。
絵美は冷蔵ケースに反射した彼のその視線を目に入れた。
いやらしいその目つきに絵美も少しだけ興奮した。
フラつきながらも絵美は冷蔵ケースからアルコール強めのお酒を選ぶ。
会計カウンターにそれをおく。
20代男性店員はお酒を手にとると、「袋に入れますか?」と聞いた。
聞きながら、目線は絵美の白いインナーに向けている。
濃いグレーのタイトなスーツに白いインナーが映える。
胸元は隠れているが、絵美の小ぶりな胸がくっきりと形をみせている。
お酒の臭う女性。無防備にみえる姿に店員は興奮している。
もちろんそんな興奮を表現はしない。
ただ目線は異常なくらい、白いインナーに向けている。
「ありがとうございました。」
袋はいらないと顔を横に振った絵美は店員からお酒を受け取ると
片手に鞄、片手にお酒をもち店外へと店をでた。
店内窓越しから立ち読み男性が絵美を監視するかのようなみている。
絵美は通りに出るとお酒を開ける。飲みながらフラフラと歩く。
車道に停めたタクシー運転手は彼女をちらりと眺める。
アダルトビデオのパッケージをみるかの如くいやらしい目線を向ける。
ただ大胆に絵美に声をかける男はいない。
まばらだがまだ人影がいる。
明らかに酔った女性に声をかける男など
第三者がみれば不審者にしかみえない。
ちょっと酔い過ぎた。
強めのお酒、家で飲んだワインが、歩くたびに身体中にまわっている。
アルコールが身体中に染み込み、臭いを放ち、歩く事もままならない。
フラフラではなく、フラッフラッと歩く絵美。
意識も身体も一応公園へと向かっている。
ハイエナの気配はない。
大通りから郊外、公園へと向かう。
群れから離れたバンビのように、人少ない場所へと歩く。
オレンジ色の灯りで公園を灯す外灯。
広い広い公園。芝生エリア、夕方に娘を連れ歩いた公園内を
一人、泥酔した絵美が歩く。
夕方に見た公衆トイレ近くに木製ベンチがある事に気づいた。
鞄を起き座る。座った途端、強い疲労感に襲われる。
眠気よりだるさ、ただアルコールの高揚感はある。
頭をさげ、スカートからだらしなく脚を伸ばす。
ダラリとしたその姿は無防備だった。
と、靴音がする。あの日と同じ夏虫の声しか聞こえていなかった公園に
コツコツと靴音が鳴り、絵美の耳に入った。
「大丈夫ですか?」
高い声だった。華奢な男性に思える。はっきりとわからない。
絵美は「大丈夫です。」とだけ言うとその男性に身体を預けた。
男が上手く腰に手を回す。座ったまま絵美を抱きかかえるように引き寄せる。
身体が火照り熱くなる。キスをされた。
「大丈夫ですか?」と言いながらキスをする男。
味わっているかのように舌と唇を舐める。
絵美は高揚感と興奮を感じているが、意識が遠のく。
オレンジ色の外灯に虫がたかっているのがみえた。
記憶が飛ぶ、ドンドン服がはだけている。
男の熱い棒が身体に入るのを感じる。身体中を触られ愛撫されている。
飛ぶ記憶の中でそれがトイレ内だと気づいた。
男性用便器が目にはいる。
口に男のあれが入れられた。絵美は遠のく意識の中で
必死にそれを咥えた。咥えていると同時にバックからもうひとつの棒が入っているのを感じた。
意識が遠のく中で、タクシー運転手のそれを咥え、
立ち読み男性がバックから絵美を突き、
コンビニ店員だった男がオナ二ーしながら
「早く代われよ」と言った声が聞こえた。
床にべっとりと、白い体液がこぼれ落ちている光景が鮮明に記憶に残った。
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