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彼女はここ一年ほど、毎朝のウォーキングを欠かしたことがない。
自分の体型にコンプレックスを感じているわけではなく、人並みに生活習慣病へ気を配り、実年齢よりも若く見られたいと願う女心からくるものだ。
夜明け前の時刻にそれらしい服装で家を出て、近くの公園を周回するコースを辿り、だいたい三十分程度の運動を終えて家に着くことになる。
今日もいつもと変わらぬ朝を迎え、ほぼ予定通りに門を出た。
頬にあたる春風も幾分ぬるんできているとはいえ、四十路の身にはこたえる気温である。
「おはようございます」
「あらあ、今朝も早いですねえ」
すっかり顔馴染みになった婦人と挨拶を交わし、そうして公園に差しかかる頃には体も温まりはじめていた。
マナーの良い人もいれば、またその逆もいるものだ。公園内にペットの汚物が見あたらない代わりに、家電品などの不法投棄が目立ち、注意を促す看板を立ててみてもなかなか効果が表れないときてる。
ふとして彼女は公園の片隅で立ち止まり、そこに不審な物があることに気づいた。
なにかしら、これ──。
使い捨てられた小型の冷蔵庫や電気ポットに並んで、中身が詰まって膨らんだ青いごみ袋が棄てられていた。
ちょうど人一人が入れそうな大きさだ──彼女がそう思ったとき、ごみ袋がわさわさと動いたように見えた。
彼女は目をまるくした。このまま放置しておいてもいいのだが、中身が気になって仕方がない。
そんな好奇心に勝てるはずもなく、彼女は恐る恐るごみ袋の結び目を解き、その中身を見て腰を抜かした。
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