外は秋を迎えるような風が吹いていた。
優しく撫でるように。
私は男に腕を引かれて駅まで歩いた。
ここから、私の住む駅まではふたつ。男の方へは4つあった。
男は駅を通り過ぎる道を行く。
『酔いざましにひと駅分くらい歩いてみない?』
そう言いながら、私の家に向かう方の道へ歩を進める。
私は酔っていたけれど、気持ち悪さはなくて、ふわふわと浮いてるような心地よい感触だった。
腕に男の熱が伝わった。
さっきまで、テーブル越しに眺めていたあの手だと思うと、少し涼しいはずの外気も私の体を冷やすには足りなかった。
私達は、ただ歩いた。
そうして歩いて、私は疲れた。
数メートル先にコンビニの明かりを見つけて、
そこで私は、飲み物を買おうと提案した。
トイレにも行きたかった。
私がトイレに行ってる間に、男はペットボトルのお茶と水を買っていた。
私が男に話し掛けると、
『俺も洩れそうだったんだ』と笑いながら、トイレに入って行った。
私は、コンビニの窓に映る自分の顔を見る。
酔って、はっきりしないのは顔や動作だけで、さっきトイレに行った時、パンツに出来ていた染みや、ペーパーで拭いた時にぬるりと滑った感触で、私は発情しているとわかっていた。
コンビニから出て、買ってもらった飲み物をその場で飲んだ。口の端からこぼれてしまって、服にかかった。
『なにしてんの』
男は笑いながら、流れた液体を指で拭う。下から上へと。
たどり着いたのは、私の唇。
私はその指に舌を伸ばした。男の手に付いた水を舐めとる。
男は、それを、黙って、そのままにしていた。
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