「いまはどうなんですか?」
朋美はメニュー表の豚の生姜焼き定食を店員にわかるように指差しながら美和に聞いた。
「ぼちぼち…です。」
20も歳の離れた朋美のいじわるな質問に美和は恥ずかしそうにそう答えた。
あれから三ヶ月がたった。美和はSNSにハマっていた。
ハンドルネームを“ミルク”に変え、プロフィールもアバターも充実させていた。
最初の男性以降、三ヶ月で2人の男性と会いセックスをしていた。
47歳、50を手前にして美和は女である自分を見つけていた。
「ぼちぼちかー美和さんもてるなぁ」
姑、夫、息子たちにバレぬように、美和は普段いままでに通りの服装で過ごし、
出会いがある日は仕事場で大人な女に着替える。
いままで、突然の自由な時間は美和にとって不自由な時間だったが、
いまではその時間をうまく使い二人の男性と出会っている。
どちらの男性も美和の熟した身体をうまく抱いた。
家事を義務的にこなし、姑の小言を聞き捨て、ハンドルネームの見知らぬ男性の愛撫に興奮していた。
「朋ちゃん、生姜焼きちょっと頂戴」
そう言うと美和はお箸で豚肉をすくい、自分のご飯にのせた。
朋美は呆気にとられた。歳を気にし野菜しか食べなかった美和は
いまでは20代の朋美と同じ食事をとる。
美和はオナニーさえはじめていた。身体が栄養を欲する。美和の身体は正直だった。
帰宅時間、美和は器用に片手で携帯電話をいじりサイトを閲覧する。
メールは常に送られてきた。『初めまして』のタイトルが何十通も。
美和はそのすべてにきちんと目を通した。
また気になるメールがある。同じ地域、20代、出会いの予感に思えた。
メールの返信も早い。美和もメールを返信する。マメで正直な彼を美和は気に入っていた。
『童貞です。いままで女性と付き合った事はない。』
まるで自分を隠す事がない彼。ネット上の付き合い、普段の生活とは真逆に大胆になれるのかも知れない。
美和は彼が可愛くなり、『写真を送ってくれたら…』と意味ありげなメールを送る。
ためらいがあったのか彼から返信はすぐにはなかった。
仕事終わり、また自由な時間で美和はいつものコーヒーチェーン店に入り携帯電話を開いた。
『髪切ってないから、みっともないですが』
そんなタイトルのメールが届いている。彼からだった。
添付された写真を開くと美和は驚いた。
息子だった。引きこもりの長男勇太。
美和の手と心臓は震えていた。まさかと思ったが、勇太である。
美和は携帯電話を一度閉じ目を閉じる。吐き気さえ感じた。
少し考えた。引きこもり、コミニケーションがとれない息子と向きあえるチャンスだった。
美和は返信する。『いままで女性経験はないの?興味はあるんだ?』
すぐに返信がある。『ないです童貞です。自分に自身がないから』
それから息子勇太とのメールが続いた。息子勇太はなにも気づいていない。
毎朝朝食をドアの前におく際、美和は緊張していた。
ハンドルネームで向き合う二人。息子が本当の事を知ったらどうなるだろうか。
もちろんセックスに関するメールも届く。
『ミルクさんはオナニーするんですか?』
息子からのメールだと思うと美和は不思議な気持ちになった。
『しますよ、おもちゃも買いました』
もし息子が会いたいと言ったらどうすればいいか。会えるはずはないが、
息子が引きこもる部屋からでてくるチャンスだ。
美和は悩み、また朋美をお昼に誘った。
「なんですか?相談って?」
朋美は回鍋肉を頬張りながら美和に聞いた。
「うん、あのね、実は複雑で…」
美和の説明に朋美はキツネにつままれた気持ちになった。驚きお箸を止めていた。
「え、で会うんですか?」
「会えないわよ。」
会えるはずがなかった。だから朋美に相談した。朋美は考えた。少し考えてから答えた。
「私に会えと…。」
美和はうつむき頷いく。朋美は美和をみながら答える。
「美和さん綺麗だから息子さんもイケメンですよね」
笑顔でそう言うと回鍋肉をまた頬張った。
「でも、美和さんの年齢と私違うし、どうします?」
「そうよね…」
2人はお互い回鍋肉を食べながら作戦を話し合った。
美和が洗い物をしていると姑が近づき通販サイトの明細を見せながら美和に話しかけた。
「勇太がね、洋服とか靴とか買うのよ。出かけるのかね」
美和は洗い物を片づけながら姑をうまくかわした。
息子は出掛ける決意を持っている。
金曜日の夜地元の繁華街で待ち合わせ。
『私は行けないけど、友達が会ってみたいって』
息子はすぐに返信してきた。『ぜひ、会いたい』と。
息子はずっと引きこもり、人肌が、現実の女に飢えている。誰でもいいのだろう。
金曜日、地元の繁華街、居酒屋前に朋美がたっていた。
むっちりとした体系の朋美。仕事帰りのOLそのものの朋美を確認できる位置に美和は陣取っていた。
待ち合わせ時刻が過ぎ息子が現れた。
痩せてみえ、肌は真っ白だが髪はきちんときっていた。
通販サイトで購入した服、靴に身につけ朋美に話しかける直前まで携帯電話をいじっている。
「ウサギさんですか?」
高い声で勇太が話しかけるから、朋美は少し驚きながらも
「エルクさんですか、こんばんわ」と言葉を返す。
目をきちんと合わせず、少し挙動不審にみえる勇太の姿に朋美は戸惑ったが、
引きこもりだった事は美和から聞いていたから気にはならなかった。
2人は目の前の居酒屋に入る。1時間がたつと朋美から美和にメールが届いた。
『ゲームの話が多いかな。でもしゃべってくれますよ』
息子がちゃんと向き合えている事に美和は安心した。
居酒屋近くの喫茶店で携帯電話握り朋美と勇太の動向を気にしていた。
それからまた1時間がたち美和がメールする。
『朋ちゃん、お願いね。前に話したようにもし朋ちゃんがよければ…』
少し時間を置いて朋美から返信がある。
『そのつもりです。』
肉食である朋美。食事の話ではあるが美和は朋美の性生活を知らなかった。
2人が居酒屋からでてくる。美和が帽子をかぶり、背後から様子を伺うと、
朋美が自然に勇太の手を握る。身体を寄せると、勇太が固まってしまっている様子がよく分かった。
朋美は勇太をラブホテルにひきいれた。
美和の心臓は勇太の心臓よりドクドクと鼓動していただろう。
美和もラブホテルに入る。女が1人部屋をとる。おかしな話だが、美和は2人が部屋を決め、
エレベーターに乗ってから、自分の部屋を選び、料金を払った。
ラブホテル。1人で部屋にはいるのは初めてだった。
無音部屋でベットに腰掛け携帯電話を開く美和。
『彼、いまシャワー浴びてます。』
朋美が送ってきたメールに美和は緊張してそれを読んだ。
『私、楽しみますね…。』
朋美が嫌々勇太とセックスするわけでない事に美和は安心した。
美和はカバンからおもちゃを取り出すと、ベットに横になり、
1人、朋美と勇太のセックスを思い浮かべながらオナニーをはじめた。
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