横暴で、傲慢で、貪欲で、悪どくて、狡賢くて、そして私を人間とも思っていないような夫だった。
叩くなんて当たり前のことで、ひどいときは縄で縛られて折檻もされた。
棒で叩かれて、腕の骨を折ったこともある。
そんなときでも、ご飯を作るのは私の役目だった。
好き合って結婚したわけではなかった。
父が彼に借金をしていたから、私はその借金の代わりに身売りされたようなものだった。
最初から扱いはひどかった。
少しでも気に入らなければすぐに手が飛んできたし、どこであろうとも裸にされた。
ご飯を食べている最中に彼が後ろに回り、髪の毛をつかまれたら、私はお尻を突き出さなければならなかった。
ズボンを下ろしただけで彼は無造作に押し込んできて、自分の欲望を満足させるためだけに私を突き上げつづけた。
まだ小さかった娘が隣でご飯を食べていても関係なかった。
夫とは、そんな人だった。
堪えきれなくて何度も実家へ逃げ帰った。
何回死のうと考えたかわからない。
実家へ逃げてもすぐに連れ戻され、その度に娘の前で手ひどい折檻をされた。
勝手に死んだら、お前の親を殺してやると脅されもした。
逃げ場なんてどこにもなかった。
私は、ただ空気を吸って心臓を動かしているだけの肉の塊でしかなかった。
結婚から10年も経って店の軌道がうまく乗らなくなると、夫は私を他人に貸し出すことを考えた。
お金を貸してくれる金主を得るために、私の身体を利用しようと思いついたのだ。
私は見ず知らずの男たちに身体を任せて、彼らを悦ばせなければならなかった。
週末になると、夫が目当ての男たちを家に招いて私を抱かせる。
私は彼らのために酒の肴を作り、宴席の仕度をして、そしていやらしい下着姿のまま跪きながら、彼らを出迎えなければならなかった。
約束されていたから、彼らは遠慮することなく最初から傍若無人な振る舞いで、私に挑んできた。
腰を抱かれ、ほとんど裸のような姿で酒を注がされながら、彼らは平然と私の胸や股間に触れてきたし、卑猥な言葉を連呼して私を辱めたりもした。
宴席のテーブルの横にはいつも布団が敷いてあり、酔いが回ってくれば、誰ともなくその布団の上に私を押し倒して、下卑た笑みを浮かべながら私の身体を弄んだ。
他人の好奇と好色な目に晒されながら、どうしても我慢できなくて声を出してしまう私を、夫は声を出して笑っていた。
嫉妬なんてなかった。
むしろ招待した客が喜んで帰ってくれれば、褒められさえした。
殴られたくなくて、私は週末になると必死に彼らの相手をつとめた。
二人、三人を同時に相手したこともある。
縄で縛られて辱められながら、気をやり過ぎて意識を失ったこともある。
誰も避妊なんかしてくれなかった。
夫が許していたから、みんなが当たり前のように私の中に撒き散らしていた。
それがなにを意味するかなんて、その時の私は考えていなかった。
ただ殴られたくなくて、その思いだけで男たちを悦ばせることだけに没頭しつづけた。
彼らの相手をするようになってから、傷物にすることを恐れたのか、夫は私を殴らなくなったし、身体に触れようともしなくなった。
時々は労るような優しい言葉も掛けてくれるようになり、それがひどく嬉しくて、私はいっそう進んで家を訪れる男たちを悦ばせるようになった。
私が嬉しそうに相手をするものだから、男たちも喜んだ。
傍若無人な振る舞いは相変わらずだったけれど、幾本ものペニスを口にできることに、私自身が高ぶりを覚えるようにもなっていた。
夫はずっと眺めているだけで、何をされても文句を言ったりしなかった。
だから彼らは思いつくまま好き放題に私を弄んだし、私はそれに応えて、ひたすら楽しむことだけを考えていればよかった。
夫の目論見は見事に成功して、三ヶ月も経った頃には、思った以上のお金を手に入れていた。
そのお金で夫は夜の街に出掛けることもあったし、若い女と遊んでもいたようだった。
彼が誰と寝ようと私には関係なかった。
私には週末に訪れる男たちがいてくれて、怯えることのない生活が保証されていた。
その保証は大きな代償を必要としたけれど、普通では得られない快楽を与えてくれて、なにより心の平穏を取り戻してくれた。
避妊をしていなかったのだから当然のように妊娠をしたけれど、それがわかってからも夫は怒らなかったし、お腹の子を堕ろせとも言わなかった。
私の妊娠を知った金主の男たちが、堕胎させないように夫に言ったからだった。
それはそれで味があって楽しめると、私はお腹が迫りだしてからも、週末になると膨らむお腹を気にしながら彼らの相手をつづけた。
その頃には縄で縛って弄ぶのが当たり前になっていたから、大きなお腹のままで縛られたりしていた。
異常なセックスは脳を灼き、夫の目の前で複数の男たちに犯される興奮に、私自身が溺れかけていた。
彼らのしてくることすべてが気持ちよくてならなかったし、それを夫が眺めていると思うと、なぜかひどく淫らな女になって見せつけてやりたい気持ちが強かった。
私は彼らのものであって、すでに夫のものではなかった。
そんな気持ちが日に日に強まっていき、ちょうどお腹が7ヶ月を過ぎようとした頃だった。
どうやらお腹にいる子が女の子らしいとわかってそれを報告すると、いつものように週末にやってきた男たちは、私を弄んだあとに夫となにやら話し合いを始めた。
100,200といった高額なお金がポンポンと男たちの口から飛び出していき、私がお腹の子供ごと売られているのを知って愕然とした。
縛られたまま怯えている私を尻目に、彼らは熱をおびた顔で興奮しながら、どんどんと値段を吊り上げていった。
最終的に一千万という金額で、私は一番お金を持っていた金主にお腹の子供ごと売られた。
その時には、まだ悪い冗談だと信じたい気持ちが強かったけれど、夫の目は笑っていなかった。
娘がいるからもう私は必要ないと、侮蔑の眼差しさえ向けられた。
意味がわからなかった。
途方に暮れた顔をしていると、その疑問に答えるようにいったん席を離れた夫は、私が弄ばれている部屋に娘を連れてきた。
私は手足を縛られたまま、迫りだしたお腹にまで縄を掛けられて、ひっくり返った蛙のように足を拡げていたからどうすることもできなかった。
あそことお尻にバイブが突き刺さったままの無様な姿を娘に見られた。
母親のふしだらな姿を見ても、娘は驚きもしなかった。
まったく感情のない目だった。
じっと私を見つめていたけれど、そのつぶらな瞳の中には、なにも映ってないかのようだった。
週末に男たちがやってくるようになってから、私を避けるようになったのは知っていた。
まだ中学生にもならなかったし、子供だったから私の苦悩なんて理解してくれるはずもないとあきらめていた。
その娘が、汚いものを見るような目つきで私を見るように変わってからは、私も些細なことで娘に辛く当たるようになり、そんな自分が嫌で私自身も娘を避けていた。
ほとんど会話をすることもなくなってしまい、放っておいた隙に夫は娘を手懐けていた。
きっと言葉巧みに誘導したに違いなかった。
夫が手招くと、娘は無表情のまま彼の膝の上に乗り、そしてスカートの中に入れた夫の手のひらに股間を撫でさせた。
嫌がる素振りはなかった。
髪を掴まれ、顔を上向かされると呆気なくキスもした。
夫の舌が乱暴に唇の中で暴れても、娘は嫌がることなく自分も舌を伸ばして絡めようとした。
分厚い手のひらが、ぞんざいにあの子の下着の中をさぐっていた。
身体なんて全然できていなかった。
お尻だって、笑ってしまうくらい小さくて、まだ可愛らしかった。
その小さなお尻をいやらしく撫でられながら、娘は夫の股間に顔を埋めていった。
頬が膨らむくらい大きなものを自分から口の中に入れて、何度も頭を上下させた。
髪を掴まれながら感情を伴わない表情で繰り返されるその仕草は、何か淡々と作業を行っているかのようでもあった。
唾液で光るほど濡らしてから、夫の目の前に立たされ、下着を脱がされた。
小さなお尻を抱えられて引き寄せられると、娘は向き合ったまま夫のひざを跨いでいった。
夫は自分で握っていた。
声を出すこともできなかった。
まだ膨らんでもいない胸を合わせて、ゆっくりとしゃがんでいった娘は、決して小さくはないはずの夫のものを、可愛らしいお尻の間にほとんど消してしまっていた。
おお、と金主の男たちが感嘆の声をあげた。
みな下卑た顔をしながら、夫の膝の上で遠慮がちにお尻を上下させていく娘の姿を、羨ましそうに眺めていた。
「こいつは俺のもんだから、誰にもやらねえよ。その代わり、前々から約束した通り、そいつと腹の中のガキはやるから、それでチャラってことにしてくれよ。」
あの男が私を買った金主に言った言葉は、今でもはっきり覚えている。
あいつは、初めからそのつもりだった。
借金の清算に、最初から私を売るつもりだった。
私が男たちに身を任せたときから、娘の運命も決まっていた。
でも、それに気付いたときには、すべてが後の祭りだった。
どうすることもできはしなかった。
競売に敗れた男たちは、負けた腹いせに、いつも以上の執拗さで私を責めたてた。
私は、苦痛と、屈辱と、快楽の中で、短い舌を精一杯伸ばしながら、顔を上向かせて大事そうに夫に抱えられる娘を、ほんの少しだけ羨ましいと思った。
人の売り買いなんて言葉としては知っていても、それが現実のものとして捉えられるわけがない。
ましてや売りに出されたのは、私とお腹にいる子供だった。
心のどこかでは、これは夫独特の質の悪い冗談で、きっと今に大笑いをして私を解放してくれると信じたい気持ちがまだあった。
でも、どんなに泣きながら待ってみても、夫が笑うことはなかったし、私の立場が変わることもなかった。
私は、その日の晩から、さっそく住む家が変わった。
裸のまま、私を買った金主の家に連れて行かれ、その夜から逃げ出さないように鎖に繋がれて飼われた。
私からすればお爺ちゃんとも呼べる年齢の男だった。
すでに奥さんには先立たれ、子供たちはみんな大きくなって手許を離れていた。
大邸宅とも呼べる大きな家で一人暮らしの彼は、その寂しさをまぎらわせるために私を買ったのだと言った。
夫に比べれば、まだ扱いは紳士的で比較的優しくはあった。
でも、やっぱり彼は私を楽しむための道具として飼ったのであって、妻ではなかった。
彼の望む芸を仕込まれて、それを躊躇えば折檻もされた。
肉体的な衰えは目立ち始めていたけれど、それだけ執拗になり、色々な道具を使ってねちねちと虐めるのを彼は好んだ。
それは私が破水するまで繰り返され、無事に女の子を産んだ今でもつづけられている。
さすがに新しい娘を産んでからは、鎖に繋がれることはなくなり、育てるために人並みな暮らしも許してくれた。
母乳を与えていると目を細めて嬉しそうに見つめたりするけれど、彼が愛しげに頭を撫でる赤子は、彼に捧げるために育てる娘だった。
自分の年齢が年齢なだけに、早く使いたいと彼は言っている。
できれば、私の娘と同じ歳かそれよりも一年早く。
彼の望みに、私は「はい」とだけ答えている。
生まれた子が使えるようになったら私を解放してくれると約束してくれた。
わずかだけど遺産も少しなら分けてくれるとも言ってくれた。
口約束を頭から信用したりはしないし、当分は解放されないとわかっているけれど、ほんの少しだけ希望は見えた。
彼には、私になんか想像できないほどの遺産がある。
遺言の中に私の名前を遺してもらうためにも、私はたくさん気に入ってもらわなければならなし、家事も頑張って、とても美味しいご飯を毎日食べてもらわなければならない。
本当は、たくさん芸を仕込んでいただいて、もっと悦んでもらうのが一番早いのだけれど、私はまた三人目を宿してしまって、そんなに無理はできない。
私が売られてからも、場所が変わっただけで相変わらず週末の宴はつづけられていた。
他の金主たちが私を独り占めすることを許さなかったし、彼には自分が仕込んだ芸を見せびらかしたい気持ちもあったようだった。
厚顔無恥というか、どうしようもない卑劣漢というか、金で自分の妻を売っておきながら、夫は何食わぬ顔でその宴に参加していた。
そして自分の持ち物を自慢したがるように娘を連れてきていた。
夫は相変わらず他の男たちに玩具にされる私を眺めているだけで、指一本触れようとしなかった。
彼には、彼だけの満足させる道具が他にあったから、私なんか必要としていなかった。
娘は、壊れた人形のように感情を見せない虚ろな目をした女の子になっていた。
夫の言うがままになる色白の可愛らしい操り人形は、いつも私の隣で夫の相手をさせられながら小さな声で泣いていた。
でも、他の金主たちの要求で、借金の利息分として相手をさせられるようになってからは、色々なことをされているうちに気持ちよさを覚えてしまったのか、すっかり自分からお尻を動かすようになってしまい、あからさまに声を出して身悶えるようにもなってしまった。
歳には相応しくないあまりの乱れように、一度だけ娘と二人きりになったときに、逃げなさい、と言ってみたことがあるけれど、彼女はあきらかに敵意を持った目で私を睨みつけ「どこに?」と息巻き、そして「あんたなんかに心配されたくないわ。」と蔑んだ目を私に向けた。
私は、逃げるように言ったことを娘に暴露されて、夫や飼い主の彼から死ぬほどの折檻を受けた。
それからは、娘に関わろうとしていない。
きっと、生まれた子も私を恨むようになる。
そして、すべてが私のせいだと呪うようになる。
ならば、愛情なんて最初から持たない方がいい。
お腹の中にいる子が誰の子供かなんて、相変わらずわからない。
生まれてくる子が女の子なら、行く先はすでに決まっている。
違う金主のところに引き取られ、また慰みものとされるために育てられることになる。
もし男の子なら夫の子供として認知され、私が育てながら、やがて成長したその子は私や娘たちを犯すための道具にされる。
私と夫は、今でも離婚していない。
16才で結婚させられ、まだ30才にもならない私は、まだまだ子供の産める年齢にある。
子供が産める間は私に子を産ませ、夫はその道具を提供した報酬を得ることになっている。
私に子が産めなくなったら、次は娘が、誰の子かわからない子供を産まされることになる。
そして生まれたばかりのこの子も、おそらく同じ運命を歩むことになるのに違いない。
嘘のようなお話だけれど、これは間違いなく現実にあるこの世界の話し。
できればお腹の子供が流れて欲しいと願うこともあるけれど、きっと無事に産まれてきてしまう。
私には、はっきりとそう思えてならない。
どうせ生まれてしまう子供ならば、次は男の子であって欲しいと願う。
そしていつの日か、その子に私をどこかへ連れ去って欲しいと望んでならない。
たくましく育った息子と、誰も知らない場所で幸せに暮らしたい。
儚い夢でしかないけれど、そんな夢でも見なければ、私は生きていくための希望さえも見つけられない。
夢は実現させるために見るものであって、具現化するためには努力が必要だということを私は知っている。
だから私は、今の私にできる精一杯の努力をしてみる。
私にできることなんて限られている。
私は誠心誠意心を込めて、彼に尽くすだけ。
そして彼に気に入ってもらって遺言状に名前を記してもらい、すべての遺産を私にだけ遺すと約束してもらうだけ。
私のお尻を楽しみながら、背中をテーブル代わりに冗談半分で作ってくれたその遺言状はすでにある。
遺言状なんて知らない私のために、彼が丁寧に作ってくれた。
あとは本物と入れ替えるだけ。
そして本当に大事なのは、ほんのスプーン一杯の漂白剤。
これが未来を変えてくれる魔法の媚薬であって欲しいと願いながら、今日も私は、資産家の彼のために美味しいご飯を作っている。
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