駅に着いて車内からアズミを捜した。逆光でよく見えないがそれらしい人物がいた。車を停め降りてその人物に近づいた。アズミだった。向こうも気がつき駆け寄ってきて抱き付いた。「ヒロ君…」「アズ…」人目を気にせず暫く抱き合った。…車に乗って家に向かった。途中のコンビニに寄って食べ物を買い再び走る。車内は終始無言だった。家に着き部屋に入った。アズミは部屋に入るのを躊躇った。「寒いっ早く入れ…」と言って手を引っ張った。…アズミの格好は茶色のロングコートにマフラーと手袋、小さいバッグ、コートの中の服はトレーナーにジーンズで、靴はスニーカーでスッピンに眼鏡だった。まるで近くのコンビニに行く様な格好だった。「ほらっ入って座れよ…今弁当温めるから…」「怒ってない?」「半分…後、半分はホッとしてる…」ようやくアズミはソファーに座った。コーヒーを出すと「ありがとう…あったかい…」と言って一口飲んだ。また無言のまま弁当を食べた。…くだらない正月番組の笑い声だけが部屋に響いていた。
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