実家に向かって歩きながら、俺達は翆に昔の思い出を色々語った。「ねぇ…小学校までこんなに遠かったっけ?」恵理が言う。「俺は近くだったから解んないよ」「中学校はもっと遠いんだね」「よくここまで歩いて来たね」「ホントだよ」…「あっ…この川でよく泳いだね」「そうだな」「えっ!?川で泳げるの?」「俺達はよく泳いだよ…プールで泳ぐのなんか授業位だよ」「え~っ凄い…信じられない」と翆は驚いた。「よくその橋から飛び込んだよ」「え~っ!?ママも?」「うん」と言うと翆は川を覗き込んで「いやっ!?高っ!」と言って「私絶対無理」と力強く言った。「じゃあ夏にまた来て泳ぐか」「そうね…たまにはいいかもね」「え~っ信じられない」 とそんな話しをしながら、ようやく実家に着いた。「ただいま」と玄関で言うと兄貴が出て来て「おうお帰り」と言って中に上がった。兄貴には小学生の兄妹がいる。上は四年生の翔太、下は三年生の比奈だ。2人は俺達を遠巻きに見ていた。「翔太、比奈おじさん達に挨拶は?」と兄貴が言うと近くに来て「こんにちは」と挨拶をして、すぐに物陰に隠れ様子を窺った。
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