翌週末、中谷は出張に行ってるので俺1人で店に行った。「あら坂本さんいらっしゃい…今日は1人なの?」「はい…そうです」「そんな敬語はよして…同い年なんだから」「えっ!?そうなの?」俺はカウンターの一番奥に座った。客はこの前見た中年のサラリーマンが2人だけだった。俺はウーロンハイの薄めを頼んだ。…「坂本さんこれ食べて」とうちの田舎の[ひもかわうどん]を出した。「女将これ知ってるんだ?」「知ってわよ」「女将の田舎って…秩父なの?」「内緒」「教えてよ…」「いつかね」と言ってニコっと笑った。その愛嬌のある笑顔が俺の中のモヤモヤを大きくした。俺はうどんを食べた。(懐かしい味だなぁ)と思いながら田舎を思い出した。1人思いに耽っていると、徐々に客が入ってきた。皆この店の常連客らしい。女将と冗談を言っていた。俺は女将を見ていた。女将の右耳のすぐ下に、少し大きめなホクロが見えた。(あれ?あのホクロどっかで…)と思った瞬間、中学時代の光景が脳裏に浮かんだ。(あれ?まさか)と思っていると1人の女の子が店の奥から現れた。
※元投稿はこちら >>