土曜日・・・
沙弥先生と待ち合わせの場所に向かう。
僕、一人・・・ではない。「なんでついて来るの?」
美空に問いかけた。
美空はムスッとしながら僕の背中をつまんだ。
「教師と生徒がデートしてたのがバレたらどうなるか分かる?沙弥先生は促クビよ?」
「あぁ・・たしかに」
そりゃマズイ・・・。
って沙弥先生もそれくらい分かってたはず。
そんなに僕とデートしたかったのかな・・。
美空はさらに背中をつねった。
「いったい・・なんだよ」
「それに・・私が嫌なの・・ふんっ!バカ!!」
そっぽを向いてしまった。美空ってやっぱりかわいいなぁ・・
駅前に噴水がある。
そこで沙弥先生が待っていた。
可愛らしい服を着ている。僕を見て微笑んだけど。
美空を見て首を傾げた。
「ん・・?美空ちゃん?」
「これも先生のため・・」
「・・・あ、あぁ・・うん」美空の言いたい事はわかったようだ。
とりあえず電車に乗って近くの遊園地に行く事になった。
切符を買わないとな・・。小銭を入れてボタンを押せば切符が出てくる。
「落としちゃダメだよ?」
「分かってます」
沙弥先生はこういう時もやっぱり先生だな・・。
売店があったので電車が来る前に何か買う事にした。
かごにサンドイッチとおにぎり、飲み物を入れていく・・常人なら食べきれないくらい。
「こらっ!買いすぎ!」
沙弥先生は僕と美空からかごを奪って棚に商品を戻していった。
僕と美空はむーっとむくれて待っていた。
沙弥先生が袋を持って戻ってきた。
「はい、これで十分!」
「ふぇ・・お茶とおにぎりとサンドイッチしかない!?」
「あんまり食べると動けなくなるよ!」
美空と顔を見合わせたが・・・仕方ないか・・。
ベンチに座って電車を待つ・・。
この駅は最近改築された。前に見た時よりは綺麗だ。
売店で買った物はまだ食べない。
それよりもとっておきの物があるのだ・・。
電車で景色を眺めながら食べると一味違う。
沙弥先生はどこかガッカリしてる様子。
そりゃそうだ。
こんな小姑がついて・・。
むぎゅっ!!
横腹を思いっきりつままれた。
「・・・・っ!!!!」
痛すぎて声もでない 。
「誰が小姑だ・・」
「ごめん・・」
横腹から痛みが消えた。
沙弥先生の隣に非難する。今日の美空・・怖い。
「美月くんは遊園地行ったら何に乗る?」
「うーん・・観覧車とか」
「そっかそっか・・私はゴーカートかなぁ」
「ふーん、どんなの?」
「ちっこいレーシングカーみたいなのに乗って走るのよ」
「へぇ!!楽しそう!」
車には一度乗ってみたいと思ってた。
沙弥先生はクスッと笑った・・。
僕は凄く嬉しそうな顔になってるからかな・・。
美空はムスッとしている。ヤキモチ・・・。
電車がやってきた。
三人で乗って席に座った。
袋からおにぎりとサンドイッチを取り出す。
そして・・・。
かばんの中から・・。
「じゃん!春特製手作り弁当!」
沙弥先生は呆気にとられている。
今朝、春が作ってくれた。
沙弥先生の分もある。
「あ、ありがとう・・」
沙弥先生はお弁当箱を受け取ってカパッと開いた。
「おぉ!!」
中身は栗おこわ、鶏肉の煮物だ。
さすが春・・。
美味しそう。
美空はもうすでに食べている。
僕は窓の景色を眺めながらゆっくり味わう。
これぞ大人の食事ってやつか・・
美空みたいにガツガツ食べるのは子供・・。
「うっさい・・」
「・・・ほら、一緒に見よ」「むぅ・・」
美空をなんとかなだめながら外の景色を見る。
沙弥先生はもくもくと食べている。
「いや・・これは美味しいよ・・すごいなぁ」
「でしょ?春は凄い料理人だもん!私、大好きだよ」美空がはしゃいでいる。
むーっ・・・。
そんなに褒めるな・・。
僕だって料理はできるぞ。美空は僕を横目で見た。
少し笑ってそっぽを向いた・・。
嫉妬させられた・・。
お弁当を食べてからトランプをした。
昔懐かしい?ババ抜きだ。
この時は美空と僕の能力はシャットダウン・・。
読めてしまってはつまらない。
ババはどっちだ・・。
沙弥先生からカードを取った。
ババ引いた・・。
美空は僕をジーッと見ている。
ババ引け・・。
ババ引け・・。
パシッ・・。
美空がババを引いた。
美空の表情が曇る。
そんなこんなで時間は過ぎた。
まだかかる。
美空は僕の肩にもたれて寝ている。
僕も美空に体を預ける。
沙弥先生はクスッと笑った・・・。
「起こしてあげるから少し寝なさい」
僕は返事を返す前に目をつむった。
列車の揺れが心地よくて。眠りについた・・・。
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