お久しぶり。
随分時間が経ってしまいましたが、書けるとこまで続き書きます。
読んで下さり有り難うございます。
見知らない誰かが由香で抜いてるかもしらんと思うとオラワクワクしてくっぞ!
では。
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「あらまあ、なんなのこれ」
従業員室は悲惨な有り様だった。
先ず眼に飛び込んだのは由香の変わり果てた姿。
衣服を何も着けずに手足を縛られ床に直に転がり、天井の方を仰ぎ見て何かをぶつぶつと呟いている。正直、壊れてるんではないかと不安になった。
その隣で下半身を晒し、俯いてぐったりと座り込んでいる佐江木。余程暴れたのか、ディスクの上から物が散乱し、散らばっている。何もかもぐずぐずだ。
一応心配だったので見に来て見れば案の定と言った所か。店は、客は、どうしていたのだ。一体。
「ああ…雄一さん。お疲れさんっす」
「お疲れさんっすじゃねえよ。どうしたよ、これ」
「あはは、疲れました。言うこと聞かねえんだ。この女」
呆れ果てた私は歎息し、うなだれる佐江木にゆっくりと近付き、胸倉を掴んで無理矢理立たせると、彼を力一杯に引きずり回した。私より体格は上ではあるが、憔悴した彼は呆れるほど簡単に振り回す事が出来た。
壁に押し付けると、突然の出来事に縮みあがる佐江木のチンポを、千切らんばかりに思い切り握る。強烈な痛みで佐江木が呻いたが無視した。
「ふざけてんじゃないよ。店ほったらかしで」
「…はい」
「台無しにする気かよ。客からクレーム入ってオーナーにバレたら殺すぐらいじゃすまさんぞ。おい」
「すいませんした…」
「まあいいけどね。こんな時間じゃ立ち読みも居ないし。それに初めはこんなもんでしょ。次から気をつけて」
佐江木はふてくされた様子も見せず、素直に私の忠告に頷くと(それは私に対する演技かもしれないが)、荒らした従業員室を片付け始めた。
向き直ると私は横たわり譫言を言うだけで動かない由香の脇腹を靴先で小突いた。
漸く私の存在に気付いたのか、それとも私に気付かない程心を駄目にされたのか、或いは私を気付かないようにしていたのかは不明瞭だが、ぼんやりとした焦点を私の顔に合わせると、思い出したように、さめざめと由香は泣いた。
「気持ちよかったか?」
「…ど…い」
「何だ。はっきり言え」
「酷い…悪魔ですね、なんでこんな事させるんですか…」
「童貞のバイトくんに犯されちゃって。興奮した?」
「最低過ぎる…死にたい…」
由香はそれ以上何も応えなかった。
嗚咽を漏らし、何時までも彼氏の名前を呟きながら泣くだけだった。
佐江木は片付けをする手を止め、酷く汚いモノを見る冷たい視線を由香に向けていた。
「やれやれ、仲良くやれよ。てめーら」
私はもう一度歎息し、由香の拘束を解いた。
ある程度店が綺麗になると、佐江木に後は任せて由香を連れて帰ることにした。
最後まで落胆した様子で「計画通りにいかなくてすいませんでした」と気にしていたが、初めからそんな風に上手く行くと考えていなかったし、いい加減鬱陶しいので「また連絡するから気にするな」とだけ告げて店を離れた。そうしてからビデオでも渡しておくんだったな、と言うことに気付いたがそれはまた今度で良い。車に乗せてから家に着くまでの間も、一向に泣き止まない由香に私は少々苛立っていた。
折角他人に犯させたと言うのに興が醒める。
家に着くとすぐさま風呂場に連れて行き、「落ち着くまで出るな」と告げて戸を締めた。
その間、私はこれまでを冷静に整理する作業に勤めた。
一向に由香が協力的にならないのは、まだ私のコントロールが足らないと言う一点に尽き、即ち、由香を協力的にさせるにはどうすれば良かったのか。
私は甘かったのだ。私が足らないから、何時までも由香をコントロール出来ないのであり、結果、何時までも私の思う通りの玩具は手に入らないのであるから、徹底した罰を与えなければならない。
親が子を躾るにはどうする?
子供の頃、父の書斎からマン・レイの貴重な写真集を無断で拝借し、汚してしまった事がある。私は父に裸にされ、外に一晩放られた事を思い出した。
黒塗りの感情が心臓の縁で眼を輝かせて覗いた。
「少しは落ち着いた?」
戸を開けると、びくっと体を震わせた由香が、無い胸を私の目から隠すようにしてしゃがみ込んだ。
余程乱暴にされたのか、真新しい痣が白く細い体に幾つか出来ている。未だ私に裸を見られるのが厭なのが見て取れた。
そう。じゃあ躾るしかないな。
私は由香にバスルームから出るように指示した。怖ず怖ずと由香はそれに従い、タオルを取ろうとしたが、私が先にタオルを掴んだ。
「拭いてあげるよ」
「自分で…します…」
「いいから」
凍えながら震える由香を包み込む。寒いから震えている訳ではない。私が恐ろしいから震えているのだ。
華奢で滑らかな、手入れの行き届いた綺麗な由香の体を、いたわるように優しくタオルで撫でる。甘い香りのする濡れた栗色の髪を丁寧に乾かし、蒸気した頬に思わず舌を這わした。由香はきつく目を瞑り、私から顔を背けようとする。
ガチャン。
「…は?」
由香が驚きの余り目を見開いた。自分が今何をされたのか一瞬理解出来ていないようだったが、すぐに「両手に手錠をかけられた」ことに気付くと、また暗い顔をして伏せた。私は気にせずに裸のまま由香を玄関先まで連れ出し、扉を開けて放り出そうとした。
「ちょっと…いやっ、なんですかこれ!」
「いいから」
「外、ちょっと、待ってくださっ…無理、絶対無理!」
「騒ぐと隣の人出てくるよ」
「ちょっと…やだあ…もうやだあ…」
玄関で両脚を突っ張り必死に出されないように抵抗したが、小柄な女子一人を持ち上げて放る事くらい容易なもので、呆気なく由香は私の家の外に投げ出された。
11月の深夜の寒空の下、裸体に手錠と言う姿で。
両隣は人が住んでいないし、向の家はオタクっぽい大学生の男が一人暮らしだ。騒ぎにはならないだろう。男が出てきたらそれはそれで面白い。一晩由香を貸す事で手を打って頂こうか。
そんな風に楽しむ私を余所に、由香は声にならない声を上げて半狂乱だ。
「お願いします入れて下さい…お願いします入れて下さいお願いします…」
「入れてほしかったら泣かずに聞け」
私はインターホンのモニターから由香を観察し、告げた。
「はい…もう泣きませんからお願いします…」
「そうやってまた嘘か」
「嘘じゃないです…嘘じゃないですからあ…」
「お前は、なんだ。何でもすると私を騙し、結果嫌々私の言うようにしてるだけか。都合が悪くなれば泣き、喚き、一向に私の心を癒そうともせず、相変わらず自分が被害を受けているかのように振る舞う。淫売が。何もできないくせに、何でもするから許してほしいと頼み込んだくせに、一切私には強力しようとしない。この最低者が」
「…そんなあ…酷い…」
「見ろ。二言目には、酷い。それだ。私を悪者にし、侮蔑し、嘲笑い、非難する。まるで自分は何も私に非道な真似をしなかったのかのように」
「うう…ごめんなさい…」
「忘れたのか。お前は。私の感情を弄び踏みにじった事を。私の純粋な感情を。まるで自分が受けている事の方が辛いとでも言いたいか。そう言う女だよ。お前は」
「許して…ごめんなさい…」
「一晩そうしてろ」
私は乱暴にインターホンを切った。
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