夏休みがあっという間に終わった。
新学期になりみんな日焼けしてたりしてなかったり。美空ちゃんは帰らずに僕の隣にいてくれる。
美月くんもいてくれる。
良かった・・・。
大切な友達・・。
別れるのは辛い。
授業が始まる。
宿題は頑張ったけど少し出来なかった所がある。
まだ傷が痛むし鉛筆で字も書けない。
けど昨日やっと包丁を握れた。
包丁を握って大根を切れた・・・。
とっても嬉しくて・・、
涙が出た。
また料理ができそうな。
そんな気がした。
休み時間。
夏休みの話で盛り上がる。結実は海に行ったらしい。僕は行った事ないなぁ。
学校が終わって家に帰る。綾さんはまた外国に帰った
外国で学校をしているらしい。
凄い美人だった。
美空ちゃんと美月くんのお母さんだしな。
三人で喋りながら帰る。
二人が帰ってしまったら寂しかっただろうな・・。
本当に良かった。
神社の前に誰かたっている・・・。
なつかしい顔。
「お母さん・・」
お母さんだった人。
育ての親。
「春ちゃん、久しぶり」
「なんなの?」
「調子はどう?」
凄くイラッとした。
僕を捨てたのに・・。
「うるさい・・帰れっ!」
「春ちゃん・・」
「僕を信じなかったくせに・・何も・・信じてくれなかったくせに!」
「春ちゃん、帰ってきて欲しいの」
この言葉で頭が怒りでいっぱいになった。
お母さんに殴りかかる。
けど美空ちゃんと美月くんに止められた。
「春、落ち着いて!」
「はぁ・・はぁ・・ふざけんな・・今更・・」
お母さんは凄くビックリして悲しそうな顔になった。
「こんにちわ、話は中でしましょう」
利奈さん・・・。
その場はなんとか抑えた。
家に入って欲しくなかった・・。
居間で話を聞いた。
二人・・・きり。
話せない・・・。
昔好きだった。
今は憎い・・・。
ガラッ。
美空ちゃんが入ってきた。「美空ちゃんには関係ないよ」
「・・ある、友達だもん」
「・・・・」
「もしかしたら、春を止めなきゃいけないし・・」
今殴りたくて苛々する。
今更帰れだなんて。
「春ちゃん、ごめんね」
「・・・・」
「凛がね・・危ないの」
「危ないって?」
やっとお母さんの顔を見れた。
悲しそうな顔。
やつれてる。
「末期の肝臓ガン・・もう助からないって」
「ガン・・・」
天罰だろって思った。
けど・・心配になる。
「凛は調子がおかしい事・・・気付いてたんだって・・・でも我慢してた」
「それで・・帰って来いって事?」
「酷いお姉ちゃんかもしれないけど・・だめかな?」
帰りたくない。
けど・・・。
お姉ちゃんは苦しんでる。僕は女の子には優しくするって決めたんだ。
だから・・・。
「分かった・・・」
「春ちゃん・・・」
「けど・・今日は帰って・・・お願い・・」
「うん、ごめんね」
お母さんは立ち上がって出ていった。
気持ちを整理する。
一人で大丈夫かな・・。
「春、大丈夫?」
「分かんない・・けど・・凛姉ちゃんの事・・心配になっちゃった」
大嫌いだけど一番笑って欲しかった人。
僕のお姉ちゃん・・。
「春、私もついてくよ」
「えっ・・?」
「春は凄く不安だから・・私もついていくよ」
「美空ちゃん・・・」
「嫌なら・・いいよ」
「ありがとう・・嬉しい」
美空ちゃんが来てくれるなら少し落ち着くかも。
お姉ちゃんと会うのは怖いし・・。
「私がいれば怖くないでしょ?」
「うん・・」
「私は春の味方だから・・」「うんっ・・ありがとう」
事情は利奈さんと将さんにも話した。
「私がついて行く方がいいんじゃないかな・・」
利奈さんは心配そうな顔をしている。
「大丈夫・・私が春を支えるから・・」
美空ちゃんが手を握ってくれた。
「僕も・・美空ちゃんがいれば安心するから」
利奈さんは微笑んだ。
一番安心する人がいれば大丈夫。
その日の夜は案の定、寝れなかった。
明日、帰る。
凛姉ちゃんに会わなきゃいけない。
怖い・・・。
「春、入るよ」
「美空ちゃん?」
美空ちゃんが枕を持って入ってきた。
「私も寝れないから・・」
「あ、うん・・」
「隣、いいよね?」
「うん・・・」
美空ちゃんが隣で寝ている・・・。
大切な友達だから・・。
いやらしい事はできない。「春・・」
「なぁに・・」
「私、春が好き・・」
「えっ・・?」
火が再び灯る。
消したはずの熱い・・火が・・・。
「友達として?」
「ううん・・人として・・異性として」
ドキッ・・ドキッ・・。
「だから一緒に行きたいって思った」
ドキドキドキドキ。
胸の鼓動が早くなる。
「私・・今分かんなくなってる・・美月が好きなのに・・」
「美空ちゃん・・」
「春が好き・・どんどん好きになってる・・そばにいてあげたくなる」
そんな・・・。
僕は・・・。
「美空ちゃん・・」
「うん?」
「抱き締めてもいい?」
「・・・うんっ」
美空ちゃんをしっかり・・抱き締めた。
僕の想いも言わなきゃ。
でも・・まだ美空ちゃんは悩んでる。
まだ・・告白できない。
まだ勇気が出ない。
ぎゅっと抱き締めた。
心臓がおかしくなってる。
きっと眠れない。
翌朝。
駅前・・。 少しも眠れずに朝がきた。「春、行こう・・」
「うん・・」
美空ちゃんが手を差し出してくれた。
ゆっくり握った。
僕一人じゃないから・・。
好きな人と一緒・・。
この壁を越えたら。
僕の想いを伝えたい。
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