いつものように朝起きて洗面所で顔を洗う。
ヒリッとしてしまう。
「いったーぃ・・・」
涙目で鏡を見る。
やっぱり少し腫れてるなぁ・・。
一発だけ当たった。
ニキビみたいだ・・・。
嫌だなぁ・・・。
後ろに誰かいる? 振り向くと美空ちゃんがいた。 「春、おはよ」
「美空ちゃん・・おはよ」
「痛い・・よね」
「うん・・・少しね」
美空ちゃんはうつ向いてしまった。
「ごめん、油断してた」
「いいよ、あんなの普通気付けないから」
「うん・・・」
もう一度鏡をみる。
赤く腫れてる。
けどもすぐに治る。
大丈夫・・・・。
「ねぇ、春はどうしてあんなに優しくしてあげたの?どうして?」
「分かんないよ・・・けどあの子は辛くてやってしまったんだよ・・だから怒っても仕方ないよ・・」
「・・・ちゃんと言わないとまた・・狙われちゃうよ・・仕返しも必要じゃない?」
僕は美空ちゃんの方に向きなおす。
美空ちゃんは僕を見ていない。
うつ向いている。
「僕はそういうの嫌い・・美空ちゃんがそんな事言うなんて思わなかった」
少しがっかりした。
タオルを持って美空ちゃんの横を通り過ぎた。
「あの子が本当に辛いのはこれからだよ・・美空ちゃんは分かってない・・・」
居間に向かう。
少し・・・言い過ぎたかな・・。
けど僕はそう思ったから。居間に入る。
美月くんと利奈さんがいた「おはようございます」
「あ、春くんおはよ!」
利奈さんはいつもニコニコしてる。
「おはよ・・」
美月くんは少し元気ないな・・・。
座って朝御飯を食べる。
麦ごはんだ。
たまに食べると美味しい。「近所のおじさんに貰ったんだ」
「へぇ、お姉ちゃんは人気者だから色々貰えちゃうよね」
「あは、春くんがお姉ちゃんって言ってくれたーっ!」抱きつかれた。
最近やっとお姉ちゃんと呼べるようになった。
「ねぇ、春くん今日は暇?」「あ、はい・・バイトは休みですし」
出前のバイトもたまにしかない。
けど結構おこずかいもたまった。
財布の中は結構ホクホク。「じゃあお姉ちゃんと出掛けよっ!」
「どこに行くんですか?」
「内緒っ!」
ウインクした。
利奈さんも可愛いなぁ。
朝御飯を片付けて自分の部屋に向かう。
美空ちゃんが壁に寄りかかっている。
さっきの事・・いい過ぎたよな・・。
謝ったほうがいいよな。
謝ろうとして。
美空ちゃんが抱きついてきた。
「え、えっと・・美空ちゃん?」
いきなり過ぎてドキドキしてしまう。
こんなに強く抱きつかれると・・・。
「春が傷ついたから・・イライラしちゃったの・・ごめん・・あんな事言って」美空ちゃんを引き離す。
そんなの無い・・・。
「美空ちゃんはおかしいよ・・・おかしい・・」
「春・・・」
部屋に入った。
ドアを閉めてため息。
僕が傷ついて・・どうしてイライラするの?
傷なんてすぐ治るのに。
出かける用意をして部屋を出た。
美空ちゃんはいなかった。
利奈さんの部屋に向かう。「お姉ちゃん、入っていい?」
「いいよぉー」
ドアを開けた。
巫女服を着ている。
「えと・・出かけるんじゃ」「出かけるよ、行こっ」
車に乗った。
「免許取ったんだ」
「へぇ、じゃあ運転はお姉ちゃん?」
「大丈夫、事故にはならないよ」
「あは・・はは・・」
なんか心配・・・。
車に乗って着物の店についた。
なんだろ・・・。
「お姉ちゃん・・何するの?」
「ずっと前にサイズ計ったでしょ?」
「はい・・・」
利奈さんがニヤリと笑った「さ、お店入ろう」
「はい・・・」
なんか嫌な予感。
お店に入ると着物を着た店員さんが出迎えてくれた。「できてます?」
「はい、お待ちください」
店員さんはお店の奥に行ってしまった。
「お姉ちゃん着物買うの?」「うん、買うよ。着るのは春くんだけどね」
「へっ?」
「えへっ、どうなるかなぁ」今・・何て言った?
一時間後・・・。
「愛らしいっ!可愛いっ!春くん最高!」
「・・・・」
着物・・・。
女の子用・・・。
なんで僕が着てるの?
店員さんもニコニコしてるし・・・。
「よし、そのまま帰ろ」
「えっと・・」
「着付けは分かったでしょ?」
「はい・・」
利奈さんが何を考えてるか分かんない。
車に乗って神社に戻る。
「ねぇお姉ちゃん、なんで着物?」
「ん?お父さんのリクエストだよ」
「えと・・これ・・女の子用・・」
「凄く似合ってるから大丈夫だよ!」
「はぅ・・・」
神社について車を降りた。将さんがいた。
待ち構えるように。
「おおっ、さすがだ!」
「何がさすがなのか分かりません・・」
将さんにべた褒めされた。利奈さんは後ろで笑ってる「お姉ちゃん・・・」
「可愛いからいいじゃん」
「はぃ・・」
今日はこれを着て過ごす事になった。
将さんにカツラを渡された・・・。
黒髪の長いやつ。
「あぅ・・・」
「小野小町じゃないか!最高だ」
鏡で見てみないとな・・。将さんにべた褒めされてもいまいち信じられない。
家に入った。
下駄を脱いで歩く。
「春くん、愛らしいよぉ」
「お姉ちゃん・・変態なの?」
「うん、変態だよ・・」
目がトロンとしている。
そんなに可愛いのか?
居間から美月くんが出てきた。
「えっ?・・春くん?」
「あ、あは・・なんか着せられちゃったよ」
「へ、へぇ・・・」
鏡で見てみた。
「おぉ・・可愛い」
和風美人が目の前に・・。
じゃない・・・。
じゃないっ!!
「もぉー・・まぁいいかな・・」
女装は楽しいし。
・・・・・ん?
居間で座ってテレビを見る女の子座りじゃないときつい。
正座じゃ足がしびれる。
「春くん可愛いよぉー」
「お姉ちゃん・・もぉ」
利奈さんが抱きついてくる・・・。
たまには甘えてもいいかな・・・。
コトンと頭をあずける。
「しゅんくん・・」
「お姉ちゃん・・甘えさせて」
「いいよっ」
女装もいいな。
・・・・・・いや、ダメだろ。
いつの間にか慣れちゃってるし。
美月くんは僕をじっと見ている。
僕が見つめ返すと顔を赤くしてそっぽを向いた。
美空ちゃんが居間に入ってきた。
僕を見て首をかしげた。
「えと・・春!?」
「あは・・」
お茶を飲んで一息。
一時のシンデレラじゃなく小野小町か・・。
しかも僕は男だし。
「ふはぁ・・」
美空ちゃんは僕の隣でモジモジしてる。
「ねぇ、春・・勘違いしないでね・・その・・さっき言ったのは」
「大丈夫・・」
美空ちゃんが僕を見てホッとした顔になった。
「良かった・・春が傷つくだけでも私は心配なんだからね・・」
「うん・・・」
たぶん友達として心配してくれてる。
さっきはよく意味が分からなかったけど・・。
「春は和服似合うね」
「そかな?」
袖を振ってみる。
「はは、可愛い」
「このカツラ本物っぽいよ、触ってみて」
「あ・・本当だ」
美空ちゃんが髪を触って感心している。
「いや、女装も悪くないよね・・・うん?」
「春・・くすっ」
「ち、違っ!今のは違うんだよ・・」
ピーンポーン。
チャイムが鳴った。
「あ、僕が出てくるから!」
何とか逃げた。
もしかして僕も変態の血を引いている?
利奈さんが変態ならお母さんも変態だった?
玄関で下駄をはいて出迎える。
ガラッとドアを開けた。
「はい・・・」
結実だった・・・。
僕を見て固まってる。
「あ、あ、ああ、あの春くんはいらっしゃいますか!?」
うっわー・・・。
ヤバい・・・。
誤魔化すか・・・。
「え、えと・・春のお友達かしら?」
「はい、あなたはお姉様ですか?」
無理だ・・・誤魔化せない「ごめん、結実・・僕」
「えっ?ええっ!?」
居間で事情を話した。
結実は笑ってる。
「春さんすげぇよ・・」
「結実・・もう見るな」
「無理・・見ちゃう」
「はぅ・・・」
結実は宿題を一緒にやりたいみたいだ。
僕も宿題はまだしてない。一緒に宿題をするかな。
「ねぇ、春さん・・この問題教えて」
「うんとね・・・」
結実は僕を見つめている。じっと・・。
「春さん、キスさせて」
「ちょっ!」
結実が顔を近づけてきた。「女装はいいけど僕はちゃんと女の子が好きなんだっ!だめっ」
「かまわんっ!キスミー!」
「いやだーっ!」
何とか逃げ出した。
「結実っ!帰れっ!」
「春さん、ごめん・・」
「今のは内緒にするから」
「悪かった・・・」
結実は恥ずかしそうに帰って行った。
しばらく居間でぼけーっとする。
「はぁ・・・」
女装に慣れてしまった自分・・・。
まぁ若いうちだけだな。
美月くんが居間に入ってきた。
「あ、美月くん・・・」
僕の隣に座った。
「春くん・・ごめん・・君は強いよ」
「えっ?」
「君は凄く強い・・僕と美空を守ったしあの女の子も守った・・・」
「う、うん・・」
「君は凄いよ・・」
美月くんが僕を見てまた顔を赤くした。
「ねぇ・・関係ないけど美月くんはどMなの?」
「ち、違うよっ!」
美月くんはそっぽを向いたどうなのかな?
首筋・・・。
美月くんの肩に触れる。
美月くんは僕を見て固まって動かなくなった。
「しゅ・・ちょっ!」
美月くんの首筋をペロッと舐めた。
ビクッと美月くんの体が震えた。
「んっ、はぁ・・」
ペロペロ舐める。
何か可愛い・・・。
美月くんを押し倒した。
舐め続ける。
「んんっ、あっ!・・しゅん・・だめぇ・・」
美空ちゃんと重なって見えてしまって・・・。
止められなくなった・・。「んあっ!はぁ・・」
美月くん・・・可愛いな。男の子だけど凄くキュンとする。
もっと舐めてみる。
「あっ、はぁ・・」
僕の袖を掴んできた。
気持ちいいのかな?
居間の襖が開いた。
美空ちゃん・・・。
「な・・に・・してんの?」
修羅場・・・・。
事情を説明した。
「美月はなんで抵抗しなかった訳?」
「抵抗したよ・・・」
美月くんは涙目だ。
美空ちゃんはあきれた顔になった。
「春もちょっとやりすぎだよ」
「・・・うん」
「けど美月が一番悪い」
美月くんはムッとした顔になった。
「なんで!?こんな可愛い女の子に攻められたら・・・」
「春は男の子・・」
「あぅ・・・」
夜になって着物を脱いだ。なんだか自分じゃないみたいだった。
ちょっと小悪魔になれる物・・・手にいれた。
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