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30
投稿者:春
◆KEJbDUVQ9A
いつものように朝起きて洗面所で顔を洗う。
ヒリッとしてしまう。
「いったーぃ・・・」
涙目で鏡を見る。
やっぱり少し腫れてるなぁ・・。
一発だけ当たった。
ニキビみたいだ・・・。
嫌だなぁ・・・。
後ろに誰かいる?    振り向くと美空ちゃんがいた。          「春、おはよ」
「美空ちゃん・・おはよ」
「痛い・・よね」
「うん・・・少しね」
美空ちゃんはうつ向いてしまった。
「ごめん、油断してた」
「いいよ、あんなの普通気付けないから」
「うん・・・」
もう一度鏡をみる。
赤く腫れてる。
けどもすぐに治る。
大丈夫・・・・。
「ねぇ、春はどうしてあんなに優しくしてあげたの?どうして?」
「分かんないよ・・・けどあの子は辛くてやってしまったんだよ・・だから怒っても仕方ないよ・・」
「・・・ちゃんと言わないとまた・・狙われちゃうよ・・仕返しも必要じゃない?」
僕は美空ちゃんの方に向きなおす。
美空ちゃんは僕を見ていない。
うつ向いている。
「僕はそういうの嫌い・・美空ちゃんがそんな事言うなんて思わなかった」
少しがっかりした。
タオルを持って美空ちゃんの横を通り過ぎた。
「あの子が本当に辛いのはこれからだよ・・美空ちゃんは分かってない・・・」
居間に向かう。
少し・・・言い過ぎたかな・・。
けど僕はそう思ったから。居間に入る。
美月くんと利奈さんがいた「おはようございます」
「あ、春くんおはよ!」
利奈さんはいつもニコニコしてる。
「おはよ・・」
美月くんは少し元気ないな・・・。
座って朝御飯を食べる。
麦ごはんだ。
たまに食べると美味しい。「近所のおじさんに貰ったんだ」
「へぇ、お姉ちゃんは人気者だから色々貰えちゃうよね」
「あは、春くんがお姉ちゃんって言ってくれたーっ!」抱きつかれた。
最近やっとお姉ちゃんと呼べるようになった。
「ねぇ、春くん今日は暇?」「あ、はい・・バイトは休みですし」
出前のバイトもたまにしかない。
けど結構おこずかいもたまった。
財布の中は結構ホクホク。「じゃあお姉ちゃんと出掛けよっ!」
「どこに行くんですか?」
「内緒っ!」
ウインクした。
利奈さんも可愛いなぁ。
朝御飯を片付けて自分の部屋に向かう。
美空ちゃんが壁に寄りかかっている。
さっきの事・・いい過ぎたよな・・。
謝ったほうがいいよな。
謝ろうとして。
美空ちゃんが抱きついてきた。
「え、えっと・・美空ちゃん?」
いきなり過ぎてドキドキしてしまう。
こんなに強く抱きつかれると・・・。
「春が傷ついたから・・イライラしちゃったの・・ごめん・・あんな事言って」美空ちゃんを引き離す。
そんなの無い・・・。
「美空ちゃんはおかしいよ・・・おかしい・・」
「春・・・」
部屋に入った。
ドアを閉めてため息。
僕が傷ついて・・どうしてイライラするの?
傷なんてすぐ治るのに。

出かける用意をして部屋を出た。
美空ちゃんはいなかった。
利奈さんの部屋に向かう。「お姉ちゃん、入っていい?」
「いいよぉー」
ドアを開けた。
巫女服を着ている。
「えと・・出かけるんじゃ」「出かけるよ、行こっ」

車に乗った。
「免許取ったんだ」
「へぇ、じゃあ運転はお姉ちゃん?」
「大丈夫、事故にはならないよ」
「あは・・はは・・」
なんか心配・・・。

車に乗って着物の店についた。
なんだろ・・・。
「お姉ちゃん・・何するの?」
「ずっと前にサイズ計ったでしょ?」
「はい・・・」
利奈さんがニヤリと笑った「さ、お店入ろう」
「はい・・・」
なんか嫌な予感。
お店に入ると着物を着た店員さんが出迎えてくれた。「できてます?」
「はい、お待ちください」
店員さんはお店の奥に行ってしまった。
「お姉ちゃん着物買うの?」「うん、買うよ。着るのは春くんだけどね」
「へっ?」
「えへっ、どうなるかなぁ」今・・何て言った?

一時間後・・・。

「愛らしいっ!可愛いっ!春くん最高!」
「・・・・」
着物・・・。
女の子用・・・。
なんで僕が着てるの?
店員さんもニコニコしてるし・・・。
「よし、そのまま帰ろ」
「えっと・・」
「着付けは分かったでしょ?」
「はい・・」
利奈さんが何を考えてるか分かんない。
車に乗って神社に戻る。
「ねぇお姉ちゃん、なんで着物?」
「ん?お父さんのリクエストだよ」
「えと・・これ・・女の子用・・」
「凄く似合ってるから大丈夫だよ!」
「はぅ・・・」
神社について車を降りた。将さんがいた。
待ち構えるように。
「おおっ、さすがだ!」
「何がさすがなのか分かりません・・」
将さんにべた褒めされた。利奈さんは後ろで笑ってる「お姉ちゃん・・・」
「可愛いからいいじゃん」
「はぃ・・」
今日はこれを着て過ごす事になった。
将さんにカツラを渡された・・・。
黒髪の長いやつ。
「あぅ・・・」
「小野小町じゃないか!最高だ」
鏡で見てみないとな・・。将さんにべた褒めされてもいまいち信じられない。
家に入った。
下駄を脱いで歩く。
「春くん、愛らしいよぉ」
「お姉ちゃん・・変態なの?」
「うん、変態だよ・・」
目がトロンとしている。
そんなに可愛いのか?

居間から美月くんが出てきた。
「えっ?・・春くん?」
「あ、あは・・なんか着せられちゃったよ」
「へ、へぇ・・・」

鏡で見てみた。
「おぉ・・可愛い」
和風美人が目の前に・・。
じゃない・・・。

じゃないっ!!

「もぉー・・まぁいいかな・・」
女装は楽しいし。

・・・・・ん?


居間で座ってテレビを見る女の子座りじゃないときつい。
正座じゃ足がしびれる。
「春くん可愛いよぉー」
「お姉ちゃん・・もぉ」
利奈さんが抱きついてくる・・・。
たまには甘えてもいいかな・・・。
コトンと頭をあずける。
「しゅんくん・・」
「お姉ちゃん・・甘えさせて」
「いいよっ」
女装もいいな。

・・・・・・いや、ダメだろ。

いつの間にか慣れちゃってるし。
美月くんは僕をじっと見ている。
僕が見つめ返すと顔を赤くしてそっぽを向いた。

美空ちゃんが居間に入ってきた。
僕を見て首をかしげた。
「えと・・春!?」
「あは・・」

お茶を飲んで一息。
一時のシンデレラじゃなく小野小町か・・。
しかも僕は男だし。

「ふはぁ・・」
美空ちゃんは僕の隣でモジモジしてる。
「ねぇ、春・・勘違いしないでね・・その・・さっき言ったのは」
「大丈夫・・」
美空ちゃんが僕を見てホッとした顔になった。
「良かった・・春が傷つくだけでも私は心配なんだからね・・」
「うん・・・」
たぶん友達として心配してくれてる。
さっきはよく意味が分からなかったけど・・。

「春は和服似合うね」
「そかな?」
袖を振ってみる。
「はは、可愛い」
「このカツラ本物っぽいよ、触ってみて」
「あ・・本当だ」
美空ちゃんが髪を触って感心している。
「いや、女装も悪くないよね・・・うん?」
「春・・くすっ」
「ち、違っ!今のは違うんだよ・・」

ピーンポーン。

チャイムが鳴った。
「あ、僕が出てくるから!」
何とか逃げた。
もしかして僕も変態の血を引いている?
利奈さんが変態ならお母さんも変態だった?

玄関で下駄をはいて出迎える。

ガラッとドアを開けた。
「はい・・・」
結実だった・・・。
僕を見て固まってる。
「あ、あ、ああ、あの春くんはいらっしゃいますか!?」
うっわー・・・。
ヤバい・・・。
誤魔化すか・・・。
「え、えと・・春のお友達かしら?」
「はい、あなたはお姉様ですか?」
無理だ・・・誤魔化せない「ごめん、結実・・僕」
「えっ?ええっ!?」

居間で事情を話した。
結実は笑ってる。
「春さんすげぇよ・・」
「結実・・もう見るな」
「無理・・見ちゃう」
「はぅ・・・」
結実は宿題を一緒にやりたいみたいだ。
僕も宿題はまだしてない。一緒に宿題をするかな。
「ねぇ、春さん・・この問題教えて」
「うんとね・・・」
結実は僕を見つめている。じっと・・。
「春さん、キスさせて」
「ちょっ!」
結実が顔を近づけてきた。「女装はいいけど僕はちゃんと女の子が好きなんだっ!だめっ」
「かまわんっ!キスミー!」
「いやだーっ!」
何とか逃げ出した。
「結実っ!帰れっ!」
「春さん、ごめん・・」
「今のは内緒にするから」
「悪かった・・・」
結実は恥ずかしそうに帰って行った。

しばらく居間でぼけーっとする。
「はぁ・・・」
女装に慣れてしまった自分・・・。
まぁ若いうちだけだな。

美月くんが居間に入ってきた。
「あ、美月くん・・・」
僕の隣に座った。
「春くん・・ごめん・・君は強いよ」
「えっ?」
「君は凄く強い・・僕と美空を守ったしあの女の子も守った・・・」
「う、うん・・」
「君は凄いよ・・」
美月くんが僕を見てまた顔を赤くした。
「ねぇ・・関係ないけど美月くんはどMなの?」
「ち、違うよっ!」
美月くんはそっぽを向いたどうなのかな?

首筋・・・。

美月くんの肩に触れる。
美月くんは僕を見て固まって動かなくなった。
「しゅ・・ちょっ!」
美月くんの首筋をペロッと舐めた。
ビクッと美月くんの体が震えた。
「んっ、はぁ・・」
ペロペロ舐める。
何か可愛い・・・。
美月くんを押し倒した。
舐め続ける。
「んんっ、あっ!・・しゅん・・だめぇ・・」
美空ちゃんと重なって見えてしまって・・・。
止められなくなった・・。「んあっ!はぁ・・」
美月くん・・・可愛いな。男の子だけど凄くキュンとする。
もっと舐めてみる。
「あっ、はぁ・・」
僕の袖を掴んできた。
気持ちいいのかな?

居間の襖が開いた。
美空ちゃん・・・。
「な・・に・・してんの?」
修羅場・・・・。

事情を説明した。
「美月はなんで抵抗しなかった訳?」
「抵抗したよ・・・」
美月くんは涙目だ。
美空ちゃんはあきれた顔になった。
「春もちょっとやりすぎだよ」
「・・・うん」
「けど美月が一番悪い」
美月くんはムッとした顔になった。
「なんで!?こんな可愛い女の子に攻められたら・・・」
「春は男の子・・」
「あぅ・・・」


夜になって着物を脱いだ。なんだか自分じゃないみたいだった。
ちょっと小悪魔になれる物・・・手にいれた。




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11/02/23 21:36 (iePqRJqD)
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