夜中・・・。
寝れなくてモゾモゾしてしまう。
あの時の言葉が忘れられなくて・・・。
やっぱり苦しくて。
パジャマのまま外に出た。
座って少し落ち着くまで待つ。
こんなんじゃダメ・・。
震えちゃう・・・。
「寝れないのか?」
「あ・・将さん」
僕の隣に座った。
将さんは僕の事どう思ってるんだろう?
お母さんとは結婚してたんだよな・・・。
「僕の事、恨んでますか?」「急になんだい?」
「だって・・・その・・」
「恨む理由もない・・あいつは行きたい所に行ったんだ・・」
「・・・・」
言葉が出ない。
将さんは少し悲しそうな顔をしている。
「君が生まれたが養子に出されたと聞いた時はさすがに怒ったがな・・・今はこうやって君の顔をみれて幸せだよ」
「僕は・・・」
「俺は君の事を息子のように思ってる・・それだけだ・・それでいい」
「・・・・・」
ポンと頭を撫でられた。
優しくて優しくて・・泣いてしまった。
「俺はそんな器の小さい人間じゃねぇよ・・・安心して寝なさい」
「はい・・・」
涙をぬぐった。
将さんは微笑んでから家に入って行った。
僕も戻らないと・・。
廊下を歩いて自分の部屋に向かう。
「ったく!」
「美空ちゃん?」
美空ちゃんがムスッとした顔で部屋から出てきた。
「どうしたの?」
「もう・・春の部屋で寝る」「え、ええっ?」
「美月が・・しつこい」
美空ちゃんがスタスタと僕の部屋に入って行った。
嘘・・美空ちゃんと寝れる訳ない・・。
部屋に入ると美空ちゃんがちょこんと布団の上に座っていた。
ドキドキして・・・どうしよう・・。
「春、一緒に寝よ?」
「ち、ちち、ちょっと待ってよ!」
「なぁに?」
美空ちゃんがムスッとした「み、美空ちゃん、利奈さんの所で寝た方が・・」
「・・・嫌なの?」
美空ちゃんがしゅんとした
まずい・・こんなつもりじゃ・・。
美空ちゃんの肩を掴む。
「嫌じゃないっ!僕は・・」美空ちゃんが僕の顔を見つめる。
何を言っていいか分からない。
このまま見つめ合ったら・・・おかしくなる。
「失礼・・美空、ごめ・・」美月くんが僕と美空ちゃんを見て固まった。
美空ちゃんは美月くんを見てベッと舌をだした。
「美月のへんたい!」
結局僕を挟んで三人で寝る事になった。
布団が三つあって良かった
美月くんもいるから大丈夫・・・かな?
僕は天井を見て考える。
好きって事は圧しころせば・・・・。
僕は邪魔なんじゃないかと思ってしまう。
もちろん僕の気持ちはまだ伝えてないし。
美空ちゃんとは友達。
だけど美月くんは心配してしまうのかな?
僕が美空ちゃんを奪ってしまうと・・・?
いや・・・それはない!
と・・自分突っ込んだ。
僕にそんな魅力ないしなぁ・・じゃあ美月くんは何が心配なのかな?
お兄ちゃんとして・・恋人として好きな美空ちゃんを守りたいから片時も離れたくないんだな・・。
二人とも寝たのかな?
僕はまた外に行った方がいいかな?
利奈さん・・お姉ちゃんの部屋に行こうかな・・。
それがいい・・。
動こうとして・・。
布団の中に何か入ってきた美空ちゃんの手?
僕の手を掴んだ。
ドキッとして何も言えない
そのまま手を合わせた。
ギュッと握った。
なんか・・緊張する。
どうしよう・・・。
手を振りほどいて背中を向けた。
ドキドキして死んじゃうよ・・・。
目をつむった。
勿体無い事したなぁ・・。
また布団に何か入ってきたさっきより大きい。
ぎゅっと抱きつかれた。
「・・・・っ!!!!?」
美空ちゃんが僕に抱きついている・・。
こんな状況ってアリ?
なんだよ・・・。
どうしよう・・。
薄目を開けて美空ちゃんを見た。
寝てる・・・。
寝顔・・か、かっわいぃ。理性を抑えないと・・。
美空ちゃんの寝息が僕の首筋にかかる。
ビクッとしてしまう。
ここで・・逃げれるわけない。
美月くんは背中を向けて寝ている。
どうしよう・・僕はどうしたら・・。
ここで変な事したら美空ちゃんに嫌われるよ・・。
でも・・抱き締めたくてたまらない。
理性でなんとか止めていた物が・・・。
もう・・だめ・・・壊れそうになる。
ゆっくりと美空ちゃんの腰に触れる。
小柄で僕より少し小さい体
抱き締めたい・・・。
ゆっくりと向かい合う。
ドキドキするなんともんじゃない・・。
胸が痛い・・・。
ここで引き寄せたら・・。僕は止められるかな?
「んっ・・ん・・」
美空ちゃんの寝顔を見てキュンとして。
いやらしい考えは消えた。
ゆっくりと抱き締めた。
翌朝は早めに起きて布団を出た。
美空ちゃんは僕の布団の中で寝ている。
台所で水を一杯飲む。
「ふぅ・・・」
一息・・・。
美空ちゃんにいやらしい事したくない。
あんな状態でいやらしい事なんてできない。
凄く愛しくて抱き締めちゃったけど・・・。
神様は許してくれるかな・・・・。
外に出て少しうーんと伸びをする。
身長もなかなか伸びないし体も華奢なまま。
少食なせいだな・・・。
座って木に止まっている小鳥を見る。
雀かな?
かわいい・・・。
「しゅん・・おはよ・・」
「あ、美空ちゃん・・おはよ」
僕の隣に座った。
「春は朝早いね・・」
「うん・・寝れなかったから・・」
「まだ辛い?」
「うん・・・」
「大丈夫・・」
美空ちゃんが手を握ってくれた。
昨日の事・・思い出しちゃうよ・・・。
「私・・なんでかな・・春の布団で寝てた・・」
「あ、わわっ、そそ、そうだね・・・ふ、不思議だよね?」
「なーんか暖かかったし・・・良く寝れたなぁ」
美空ちゃんが脚をブラブラさせる。
可愛いし昨日起きてたんじゃないかと二つの事にドキドキしてしまう。
「春はどう?覚えてる?」
「ん?ううん!全然覚えてないよ」
「ふーん・・」
美空ちゃんが僕をじーっと見ている。
ニヤニヤしている。
やっぱり起きてた?
「美空っ!おっはよー」
「んっ、美月っ!」
美月くんが美空ちゃんに抱きついた。
頬っぺたを擦り合わせている。
「昨日はごめんね」
「うっさい・・へんたい」
「謝るからさ・・」
「むぅ・・・」
「これで許して・・」
美月くんが美空ちゃんの顎に軽く触れて・・・。
キスした・・・。
僕は固まる・・。
「んっ!・・・・ふっ・・」舌を絡めている・・。
美空ちゃんは最初だけ抵抗したけど・・。
気持ちよさそうな顔になった。
長い長いキスを見せつけられた。
「んっ、ちゅっ・・はぁ・・美月・・」
「許して・・ねっ?」
美月くんも可愛くて・・。美空ちゃんは頷いた。
けどハッとしてすぐにそっぽを向いた。
僕は・・・美月くんには敵わない・・。
けど・・頑張る・・。
負けないもん・・・。
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