冬休みに入り宿題もささっと終える。
こたつでぬくぬく暖まりながら料理の事を考える。
冬はやっぱしお鍋がいいなぁ。
どうやったらお姉ちゃん・・・笑ってくれるかなぁ。お姉ちゃんはきっと美味しい物じゃないと嫌なんだろうな・・・。
僕の料理を食べて笑ってくれた事は一度もない。
頑張らなきゃ・・・。
料理ノートを見る。
今まで作った料理はここに書いてある。
「ふむ・・・」
僕は基本和食しか作らない洋食はよく分からない。
ノートを閉じて寝転がる。暖かいなぁ・・炬燵。
少し眠くなってきた。
今日はお姉ちゃんは出掛けた。
お母さんも仕事。
僕一人きり。
・・・・・・すーっ。
眠い・・・。
足音・・・。
誰・・・?
僕の頭の所で止まった。
「しゅん・・・ごめん」
・・・・?
そのまま足音はどこかに行った。
また眠たくなった。
誰かな・・・。
起きるともう夕方。
目をこする。
「ふぁ・・・あ」
お姉ちゃんが炬燵に入っていた。
僕をにらんでいる。
「夕飯・・まだ?」
「あ、うん・・買い物行ってくるよ」
「だめっ!冷蔵庫にある物で料理作って」
「あぅ・・・うん」
買い物行きたかったのになぁ・・・。
こたつの中でお姉ちゃんが蹴ってくる。
はやく作れって事か。
トコトコと冷蔵庫に向かう
うちの冷蔵庫はなかなか立派だ。
けど・・・中には何もない・・・。
「あぅ・・・こんなんじゃ・・・料理・・できない」パシッと頭を叩かれる。
痛い・・・。
「はやくっ!」
「分かったよ・・・」
お姉ちゃんはまたこたつに入った。
隣のおばちゃんにもらった白菜がある。
後はご飯だけ。
食材は2つ。
とりあえずお鍋がいい。
それは間違いない。
お姉ちゃんはお鍋の時は文句一つ言わない。
「よしっ・・」
腕を捲る。
白菜を細かく切る。
土鍋に入れる。
白菜の水分が出るから水は少な目に。
料理酒を少し入れる。
粉末の出汁を少々。
薄味で構わない。
しばらくふたをしておく。マグカップにラップをいれる。
暖かいご飯をラップに入れてギュッギュッと押す。
取り出すと丸いご飯の塊が出てくる。
片栗粉を少しつけて油でゆっくり揚げる。
おこげ・・かな?
香ばしいにおい。
キッチンペーパーで油を切ってしばらく置いておく。土鍋のふたを開ける。
むわっと白い煙が上がる。少し味をみる。
薄味だな・・もう少し塩を入れてもいいかな。
少し塩を入れてもう少し煮込む。
「まだー?」
「もう少し待ってて」
はやくしないと殴られる。でももう少し。
味を見てからおこげを上に乗せる。
見映えは良くない。
まぁいい・・・。
鍋つかみで土鍋をこたつに運ぶ。
「おそい・・」
「ご、ごめん」
取り皿に少しわさびをつける。
出汁を取り皿に注ぐ。
わさびを溶かしてから白菜とおこげを取り皿に入れる・・・。
薄味にしてわさびの風味が効くようにした。
お姉ちゃんが一口食べた。「・・・・・」
「どう・・凛姉ちゃん?」
「まず・・くはない・・・普通」
「良かった・・!」
僕も少し食べる。
白菜は良く煮えている。
わさびの風味もなかなか。おこげも香ばしい。
はぁ・・・2つの食材でなんとか切り抜けた。
この達成感がなんとも言えない。
お姉ちゃんに料理を作るのは一番楽しいかもしれない・・・。
緊張感もあるし。
殴られるのは嫌だけど。
・・・・・お姉ちゃんは土鍋にある白菜を全部食べた僕をじっと見つめる。
ドキッとするほど綺麗。
「もっと・・・美味しいの作って・・」
「あ、うん!頑張るよ」
土鍋を片付けてお皿を洗うキッチンは綺麗にしないと・・・。
包丁も綺麗に洗う。
安い包丁だけどまぁまぁいいやつ。
「はぁ・・」
少し疲れた。
僕はあんまり体が強くない風邪もよく引く。
こたつに入って暖まる。
お姉ちゃんは寝てしまった・・・。
「すーっ・・すーっ」
可愛い寝顔・・。
いつか笑わせたいなぁ。
料理番組を見ているともう夜中だ。
お姉ちゃんはまだ寝ている・・・。
こたつで寝ちゃうと頭が痛くなるから起こさなきゃ。「お姉ちゃん、起きなよ」
肩をゆさゆさする。
「んーっ・・しゅん」
「・・・?」
僕の名前を呼んだ。
いつもは名前で呼んでくれない。
お前。
おいっ。
とかだ・・・。
「凛姉ちゃん・・おき・・っ!」
胸がはだけてる・・。
ドキッとした。
触ってみたい・・。
けど後が怖い。
目をつむって見ないようにする。
「おきてよ・・」
パシッと平手打ちされる。「うるさい・・」
「ぃ・・いたい・・」
お姉ちゃんが目を擦った。その仕草も可愛いなって思う。
「わっ!胸・・見たの?」
「み、みみ、見てない!」
僕を睨んだ。
「エッチ・・・しねっ」
また平手打ち。
お姉ちゃんは部屋に走って行った。
洗面所に行って鏡を見る。「頬っぺた・・赤い・・ぐすっ」
肌が白いから目立つ・・。タオルを濡らして冷やす。またこたつに入る。
昼間だいぶ寝たから眠くない。
お母さんがそろそろ帰ってくる。
生姜湯を作っておく。
粉末でお湯を入れておくだけ。
「ただいまぁ!」
「おかえり・・」
やっぱり酔ってる。
「しゅんちゃん!」
抱きつかれる前に生姜湯をつきだす。
「飲んでっ!」
「あはーっ、ありがとっ」
グイッと一気に飲んだ。
「お疲れさま・・もう寝なよ」
「えっへへ・・まだ寝ませんっ!」
「もぉ・・・」
結局抱きつかれる。
お酒って怖いな。
「しゅーんちゃん・・」
お酒くさいけど・・。
そんなお母さんも好き。
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