いよいよ入学式。
視線が集まる・・・。
緊張しちゃう・・・。
制服を着てみた。
「ほぇ・・・」
なかなか似合う・・かも。ネクタイの色はブルーだ。さて・・お披露目しなきゃ
居間に向かう。
これだけでも緊張する。
襖をそーっと開ける。
「おはよ・・ございます」
利奈さんと将さんが僕を見た。
「おおっ!」
拍手してくれた。
美空ちゃんはどこかな?
座って朝御飯を見る。
いつもより豪華だ。
「美空ちゃんが赤飯作ってくれたよ」
「ほぇ・・美味しそう」
本当なら家族に祝ってもらう物なのにな・・。
まぁいい・・僕はここに来て良かったと思ってるし。「春、おはよ」
「美空ちゃん・・おは・?えっ!?」
「久しぶりに着るなぁ・・」美空ちゃんが制服を着てる・・・可愛い・・。
僕の隣にちょこんと座った「私も春のお手伝い変わりにもう一回編入するよ」
「制服・・可愛い・・」
「えへ、ありがとう。春も可愛いよ」
「むぅ・・・カッコいいって言ってよ!」
朝御飯を食べてから学校に向かう。
利奈さんと途中まで一緒に登校する。
「美空ちゃんはやっぱり可愛いね・・」
「利奈は少し大人になったね」
「あはっ、マジで?」
利奈さんは嬉しそうだ。
けど僕には二人共18歳には見えない・・・。
二人共幼い感じだ。
特に美空ちゃん・・・。
利奈さんと途中で別れて中学校まで歩く。
「友達・・・できるといいなぁ・・」
「私は友達じゃないの?」
「違うよ・・美空ちゃんは好きな・・・ひ・・と・・・わぁっ!ごめんっ!!」
「ははっ、春は本当に面白いなぁ」
「み、美空ちゃんは友達1号だかんね!?」
「ただの・・友達?」
美空ちゃんが首を傾げて僕を見る。
か、可愛い・・・。
僕は直視できずに下を向いた。
「み、美空ちゃん・・あんまりドキドキさせないでよ・・」
「くすっ・・・可愛いなぁ」そんな会話をしているうちに学校についた。
下駄箱に靴を入れて教室に入る。
座席の番号と名前が書いてある。
「えっと・・ここか」
一番はじっこだ。
「じゃあ私は隣ね」
「えっ!?」
「春の右腕になるって言ったじゃん。許可は貰ってるよ」
「ほぇ・・そか」
凄くホッとした。
美空ちゃんが隣にいるし大丈夫そうだ。
「やぁ、可愛いコちゃん!!」「ゆ、結実?」
「一緒なクラスだったね!ってか教室はここしかないけどね・・・」
「そうなの?」
「今年の入学で入る生徒は20人だってさ。一クラスの人数より少ないよ」
「へぇ・・・」
結実は僕の前の席に座った「でさ・・隣の超絶美少女はなんなの?」
「えと・・・」
美空ちゃんが結実をじっと見た。
結実は顔を赤くしてそっぽを向いた。
「美空です・・よろしくね、結実くん」
「よ、よろしく・・」
やっぱり美空ちゃんの外見は遠慮されちゃうんだろうな・・。
「春、良かったね」
「うん?」
「友達二号だよ」
「あ、そっか!」
結実は咳払いをして僕にコソコソ話しかけてきた。
「春さんと呼ばせてもらおう」
「・・・なんで?」
「お前の彼女・・・だよな?」
「ち、ちがっ!!」
「違うのか・・じゃあ俺にもチャンスあるかな?」
「し、知らないっ!」
美空ちゃんは僕と結実のやり取りを見てクスッと笑った。
クラスに生徒が入ってくる・・・。
本当に少ないんだな・・。先生がやってきた。
「入学おめでとう!担任の草野です」
男の先生だ。
スポーツ系の先生かな?
「君たちはわが校最後の生徒となります。どうか楽しい学校生活を送ってください・・・最後に・・」
草野先生は美空ちゃんを見た。
生徒の視線が集まる。
「美空ちゃんは榊くんのお手伝いさんで来ています。一度わが校を卒業した生徒です・・勉強など分からない事があったら聞いてみてもいいかな?」
「・・いいとも」
美空ちゃんは親指を立てたみんなが笑った。
「と・・いうわけで体育館に向かいますので廊下に整列しましょう」
席を立とうとした。
「つっ!」
また激痛・・。
うずくまる。
「春っ!」
美空ちゃんがすぐに腕をさすってくれた。
「春さん?大丈夫?」
結実も心配してくれてる。くそっ・・ズキズキする。何で・・・こんなに痛いのか分からない。
治ったはずなのに・・。
「・・・演技じゃない?」
ふと聞こえた・・・。
そういうふうに見られちゃうのか・・・。
「ふざけるな・・春は本当に痛いんだ!」
美空ちゃん・・・。
みんなが黙る。
何とか立ち上がって息を整える。
結実が背中をさすってくれる。
「痛いの・・飛んでったらいいのにな・・」
「あは・・大丈夫だよ・・っ・・はぁ・・」
廊下に並んで体育館に向かう。
美空ちゃんはすぐ近くにいる。
たぶん寒かったから・・。傷が痛くなったんだ。
体育館には在校生がいた。入学式が始まる。
校長先生の言葉を聞いてからお祝いの言葉。
すぐに終わった。
なんかたくさんの視線を感じた。
見られてる気がした・・。
クラスに戻って今後の予定を聞いた。
腕を擦る。
この痛みはいきなりやってくる。
なんでだろう・・。
今日は予定を聞いたら終わりだった。
ホッと一息つく。
休み時間のチャイムがなる「春さん、帰る?」
「うーん・・分かんない・・ってかその呼び方やめてよ」
「ええっ、やだ・・」
結実はいじわるだな。
けどいいやつみたい。
廊下に上級生が集まってきた。
新人歓迎?
「ねぇ、そこの可愛い子」
「こっち向いてよ!」
美空ちゃんか・・。
やっぱり可愛いしな。
美空ちゃんは軽くあしらうように微笑んで手を振る。でも女子生徒の数の方が多いな。
なんで?
「そこの黒い艶々の髪の男の子ーっ」
「可愛いっ!」
誰・・・。
「春さんじゃね?」
「え?僕?」
「このクラスで艶々キューティクルは春さんだけだろ?」
「あ、あは・・」
手を振ってみる。
前の学校では私服だったから女の子に間違われてばっかだったけど。
制服で男の子って分かるからかな。
「春、良かったね」
「うーん・・」
「嫌なの?」
「悪くないかも」
「ははっ!」
初日は緊張したけどなんとか終わった。
結実も一緒に下校する事になった。
「春さんケータイは?」
「持ってないよ・・・」
「へぇ・・・買ってもらいなよ、アドレス教えっこしよ」
「お母さん・・・ここにはいないから・・」
「ごめん・・・」
結実は少し気まずそうだ。美空ちゃんがポケットから携帯を取り出した。
「私のアドレス教えとくから」
「えっ!?いいの?」
「私は春のそばにいるから連絡があれば私が春に伝えるよ」
「うし、じゃあ交換!」
赤外線ですぐに交換できたみたい。
「携帯って便利・・」
「春は何も知らないのね」
「うん・・」
「今度買ってみる?」
「使えるかな?」
「私が教えるよ、大丈夫!」美空ちゃんにたくさん感謝しないと・・・。
美味しい料理を作ってお返しをしたいたなって思った
家に帰ると少し疲れた感じ・・・。
寝転がる。
「腕は大丈夫?」
「うん・・へーき・・」
「そっか、無理しないでね」「美空ちゃん・・・」
「うん?何?」
起き上がって美空ちゃんに近づく。
「本当にありがとう・・」
「あ・・う、うんっ・・」
美空ちゃんの顔が少し赤くなった気がする。
美空ちゃんは背を向けた。「お昼・・食べる?」
「うん、僕も手伝うよ」
「一緒に作るの?」
「うん、一緒に・・」
携帯が鳴った。
美空ちゃんの携帯だ。
結実かな?
美空ちゃん携帯の画面を見てすぐに消した。
「出なくていいの?」
「いい・・むかつく奴からだった」
美空ちゃん・・怒ってる。「美空ちゃん、料理・・何作る?」
「聞かないんだね・・」
「聞いていい事と悪い事は分かってるつもり・・誰にだって触れられたくない所はあるでしょ?」
美空ちゃんは振り返った。少し驚いたような表情だ。「好きな時代劇で言ってたよ・・知らない事は知らなくてもいい・・全てを知らなくても人を愛する事はできるって」
「春・・・いい言葉だね」
「僕もそう思うよ」
「・・・さて、お腹空いたねっ!」
美空ちゃんが笑顔に戻ってホッとした。
僕の気持ちをいつかちゃんと伝えられたらいいなぁ。でも今は・・友達。
もう少し我慢しなきゃ。
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