小鳥の囀りが聞こえる。
バシッバシッと何かがぶつかる音・・・。
僕は布団の中でモゾモゾと動く。
「ふぁ・・うにゃ」
あくびをしてまた布団に顔を埋める。
昨日はなんだか夜更かししちゃったな。
美空ちゃんとたくさんお喋りしたし。
そろそろ起きないと。
「うーん・・・はぁ・・」
大きく伸びをして腕の傷に触れる。
朝起きたらこの傷が消えますようにって願ってから寝ている。
けどそんなの叶うはずない・・・。
分かってるのに毎日やってしまう。
まだ肌寒い。
上着を着て台所に向かう。「おは・・よ?」
誰もいない。
変だな・・・。
「・・・あれ?」
机に置き手紙が置いてある・・・。
朝練中・・・?
外かな?
靴を履いて外に出た。
今日はやけに冷えるな。
神社の裏の方に行ってみる
なんか凄い音がする・・。
バシッバシッ!
「わぁ・・・」
剣で戦ってる。
美空ちゃんと将さんが・・「おはよ、春ちゃん」
「利奈さん・・朝練って?」利奈さんがクスッと笑った「美空ちゃんがね・・剣術習いたいって言い出してね・・ははっ」
「へぇ・・・」
間合いを取り合っている。美空ちゃんは髪の毛を編んで後ろで纏めている。
カッコいい・・。
空気がはりつめている。
二人とも真剣な顔だ。
バシバシと打ち合う。
美空ちゃんが斬りかかる。それより早く将さんが美空ちゃんの首に木刀を突き立てた。
「・・・・」
「そこまでだな・・悪くないぞ」
「ありがとうございました」美空ちゃんは額の汗を拭った。
その仕草がかっこよくて見とれてしまう。
「春、おはよう」
「おはよ・・・」
「ふぅ・・」
僕の隣に座った。
いいにおい・・・。
「美空ちゃん・・カッコいいなぁ・・」
「春もやってみる?」
「僕!?」
ここで頑張れば・・・好きになってくれるかな?
僕もカッコいい所見せてやるっ!!
将さんがこっちを見ている「どうだ、やるか?」
「お願いしますっ!」
木刀を握って構える。
時代劇が好きだし・・殺陣は覚えている。
大丈夫・・・。
僕だって・・。
間合い・・・。
将さんは動かない。
すっと一歩前に出る。
将さんが斬りかかってきた・・この時っ!
僕の額の前で木刀が止まった。 「ひっ!」
「今の・・・何だ?」
「えと・・」
「素晴らしい・・」
「え?」
「危なかったよ・・」
将さんが僕の肩をポンポンと叩いた。
「素質はあるぞ」
「あ・・はいっ!」
やった!
美空ちゃんは見てくれてたかな?
・・・・いない。
けど・・何か・・いい・・楽しい。
「あの・・もう一回お願いします」
「よろしい・・何度でもかかってこい・・」
しばらく稽古をした。
僕もこんな事できたんだな・・・。
スポーツは苦手だと思ったのに。
「たあっ!」
斬りかかるけど・・・。
腕に激痛。
「い・・・っ!たぁぃ・・」倒れこんでしまう。
痛い・・・なんで?
なんで・・こんなに痛いの・・・?
「無理しちゃいかんよ・・」将さんが起こしてくれた。腕を触るとまだ痛い。
「春くんっ、大丈夫?」
「あ・・はい・・っ!」
「ほら、冷やして・・」
濡れたタオルで抑えた。
ひんやりして痛みが和らぐ・・・。
「まだ無理だな・・傷が治ったら稽古してやる」
「はい、楽しみにしてます」
とりあえず脱衣場で腕を冷やそう。
このままじゃ痛い。
洗面台で腕を冷やす。
ズキズキする。
美空ちゃんはどこ行ったのかな?
「春、頑張ったね」
「あ・・美空ちゃん・・」
「少し見たよ、良かった」
「あ、ありがとうっ!」
クスッと笑ってくれた。
美空ちゃんの笑顔は凄く可愛い。
胸が・・キュンとする。
「けど・・無理しちゃダメ」「う、うん・・」
「・・・痛い?」
「うん、痛い・・」
美空ちゃんが傷に触ってくれた。
ブルッと震えてしまう。
二人の手が濡れる。
美空ちゃんの体温が伝わる・・・。
ドキドキする。
「春の腕・・暖かい」
「・・・あ、うん・・えと・・」
「春・・無理しちゃダメだよ・・絶対だよ?」
「・・・・うんっ」
しばらく二人で腕を冷やした。
けど僕の胸は凄く熱くなった。
少し中学の教科書を見てみた。
英語とかはよく分からないな・・・。
「えと・・・あいむ・・あ・・何?」
・・・英語は後回し。
先に朝御飯を食べよう。
だし巻き卵だ。
ふっくらと柔らかい。
これは・・・。
「美空ちゃんが作ったの?」「そだよ、どう?」
「美味しい・・形もいいし凄い!」
「へへっ、どうも!」
美空ちゃんって完璧じゃないかな・・・。
料理もできるし頭もいい。文武両道って感じだ・・。
朝御飯を食べてから寝転がってまた英語の教科書とにらめっこ。 難しい事があると挑戦したくなる。
だいたい理解してきた。
大の字になって教科書を顔に乗せる。 「はふ・・疲れた」
「春は本当に無理するね」
「無理してないもん」
美空ちゃんがクスッと笑った。
僕はできる事をやっているだけ。
無理はしていない。
手に柔らかい感触。
「・・・えっ?」
「春、腕枕して・・」
美空ちゃんが僕の腕に頭を乗せて寝転がっている。
ち、近い・・。
凄くドキドキする・・。
「あは・・春の胸の鼓動・・早い」
「あ、わ・・わわっ」
「くすっ・・」
ドキドキして胸が痛い。
お姉ちゃんとエッチした時のドキドキと比べ物にならない・・・。
「しばらくこうしてるよ・・・春の鼓動がおさまるまで」
「う、うん・・・」
きっとおさまらない。
ドキドキは止まらない。
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