部屋に駆け込んで倒れた。心臓が痛いよ・・。
美空ちゃんにキスされた・・・。
ドキドキが収まらない。
布団の上でゴロゴロ転がる。
「はふ・・キス・・」
しちゃった。
しちゃった・・。
信じられない。
どーしよ・・。
寝れないよ・・。
翌朝・・。
夜寝れなくてきつかった。学校行かなきゃ。
制服を着て居間に向かう。ドキドキ・・。
「おはよ・・」
美空ちゃんと顔を会わせられなくて・・。
美月くん・・昨日の事怒ってるかな・・。
目の前でキスされたら・・怒るかな・・。
「春、ほっぺたにご飯つぶがついてる」
「あ、う・・うん」
ドキドキが酷いよ・・。
どうしよう・・。
利奈さんが少し心配そうな顔。
「春くん具合悪いの?」
「う、ううん・・大丈夫」
美月くんは怒ってないみたいだ。
ドキドキのせいで具合が悪くみえるのかな。
ご飯も食べれなかった。
学校で結実がしつこく話しかけてきた。
本当に美空ちゃんがいて良かった気がする。
「ねぇ、春さん・・今度はどっか外で遊ぼ!」
「結実・・なんなの?」
「ほら、デート?」
ポコンッ。
美空ちゃんが教科書で結実の頭を叩いた。
「調子にのるなっ!」
「いてて・・美空ちゃんは春さんの護衛かよ」
さて、今日は席替えだ。
くじ引きで席を決める。
美空ちゃんは僕の隣になるみたいだ。
くじを引いた。
また後ろの席か。
あんまし変わんない。
「春、どこ?」
「えっと、窓側の所」
ちょうどグラウンドが見える。
席を移動した。
美空ちゃんがグラウンド側で僕がその隣。
近くに来るのはだれかなぁ・・。
「や、榊くんの隣か」
山田さんだ。
良かった・・。
「よろしくね、山田さん」
「うん、嬉しいな」
山田さんは笑った。
たしかに後ろの席だし嬉しい気持ちも分かる。
先生に隠れて寝れるし。
結実は廊下側になった。
美月くんは美空ちゃんの前の席。
「あんた・・ズルした?」
「へへっ、バレた?」
美空ちゃんがあきれてた顔になった。
二人とも離れられないんだよな。
昨日はキスされなかったら別れるとこだった・・。
美月くんの邪魔になるんじゃないかと・・。
席替えが終わって授業が始まった。
少し手が動くようになったけど文字は書けない。
練習しなきゃな。
美空ちゃんがノートを書いている。
本当に感謝しなきゃ。
「榊くんって誕生日はいつなの?」
山田さんが話しかけてきたこの人はカッコいいよなぁ・・。
「えっとね、1月1日だよ」
「へぇ、凄い・・お正月に生まれたんだ」
「あはは・・おかげでお年玉と誕生日プレゼント一緒だけどね」
誕生日・・。
1月1日に生まれた。
そう聞いていた。
実際は違うのかも。
だって僕は・・・。
「春・・」
「えっ?」
「なんでもないよ」
美空ちゃん・・なんだろ。少し心配そうな顔だった。山田さんとは部活中もあんまり喋る機会が無かったけど。
いい人だな。
「山田さんは髪伸ばさないの?」
「ん?・・ああ・・まぁね・・あんまり長いのは好きじゃないし」
「へぇー、伸ばしたら似合うと思うよ」
「そうかな・・・榊くんがそう言うなら・・伸ばしてみようかな」
「あはっ、やってみなよ」
山田さんの髪は今肩にかかるくらいだ。
伸ばしたら美人になるな。
結実が遠くから僕を見てる
あ・・そっか。
結実は山田さんを好きなんだったな。
お昼休みはいつもお弁当。
たまにはパンもいいかな。「売店・・行こっかな」
「へぇ、春が売店行くとは・・珍しい」
「行ってくるよ」
「私も・・・んっ!」
美月くんが美空ちゃんの口をふさいだ。
「春、一緒に行こ!」
「あ、うん・・」
美月くんと売店に向かう。怒ってないかな・・。
「春、怒ってないよ」
「えっ?」
「あはは、大丈夫」
良かった・・てかなんで分かったのかな。
なんか見られてる。
美月くんは可愛くてカッコいいからなぁ。
売店でパンを選ぶ。
あんまり人はいないみたい・・・。
「春は何にする?」
「えっと・・甘いやつ」
色々あるな・・。
やっぱりチョコパンかな。
選んでお金を払った。
美月くんはあんぱんとクリームパン。
「ねぇ、春・・」
「うん?」
「美空の事好き?」
「・・・うんっ」
素直に好きだと思う。
優しいし。
「そっか・・付き合ってるならもっと堂々とさ・・僕はもう・・邪魔しないから・・」
「う、うん・・」
教室に戻った。
大胆・・・。
抱きついたり!?
そ、そんな事むりっ!
大人しく座って弁当を開けた。
昨日作ったおかかが入ってる。
結構美味しかった。
もう当たり前になりつつある幸せ。
みんなでご飯を食べる事。
噛み締めたいな・・。
この幸せ・・。
「榊くん、これあげる」
山田さんがヒョイッと小さな袋をくれた。
「ほぇ・・?」
「クッキーは嫌い?」
「クッキー?大好き!」
「そっか、良かった」
袋を開けてみる。
可愛いクッキーが入ってる
「美味しそう・・」
一つ食べた。
甘くて美味しい。
山田さんは僕を見て微笑んでる。
・・・・ん?
僕にだけくれた。
結実が羨ましそうに見ている。
もしかして?
いやいや・・僕なんかが・・・。
そんなはず・・。
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