放課後に部活に向かう。
山田鈴美・・・。
僕は鈴美ちゃんと読んでるけど。
春に気があるみたい。
チャンスっ!(キラッ)
くっつけちゃえば美空もあきらめ・・。
ギュッ。
「いっ・・たーぃ」
「バカ・・」
美空に背中をつねられた。ダメだな・・・。
けど鈴美ちゃんは春が好きなのは間違いない。
「美月・・やめてよ」
美空は僕を睨んでる。
こうゆうとき嘘ついてもバレちゃうからな・・。
さすがに僕もそんな陰湿?な事はしない・・。
「美空・・そんなに・・イタッ!・・・つねらないでください・・」
「変な事しないでよね!」
「分かってるよ・・・」
でも僕は純粋に鈴美ちゃんを応援したい気持ちもある・・・。
女武士みたいで精悍な顔つき。
男子にも女子にも人気がある。
たぶん美空と同じく強い女性だから春を好きになったのかな・・。
いや・・美空は強くないか・・。
エッチの時は僕の下で・・
ぎゅーっ!
「あたたたっ」
「いい加減に・・しろっ!」頬っぺたおもいっきりつねられた・・・。
「仲いいねぇ・・」
「あ、あは・・」
春に笑われた。
しばらく大人しくしよ・・・・。
家庭科室はボロい。
けど広い。
料理研究部ができてから道具はピカピカになった。
春の道具の手入れは凄く丁寧だ。
鈴美ちゃんはあんまり喋る方じゃない。
春に話しかける事もあんまり無い。
椅子に座って大人しくしている。
さて・・今日は何を作るんだろ。
作る料理を決めるのはその日によって違う。
今日は美空が決める日だ。「美空、今日はなに?」
「えっとね・・・」
美空がチョークを持って黒板に書いた。
たこ焼き・・・。
「美空・・」
「何よ・・・」
たこ焼きって・・。
この前大量に買ってきて二人で食べたのに・・・・。みんなは嬉しそうだ。
「いいね、たこ焼き!」
春は嬉しそうに道具を準備しはじめた。
具材はたくさんあるしな。
たこ以外入れても美味しそうだ。
「美月はたこ焼き嫌?」
美空はしゅんとしてる。
かわいい・・・。
「そんな事ないよ、たこ以外にチーズとか入れて食べようかな」
「あは、いいね」
美空の事は可愛くて可愛くてしかたない。
やっぱり離したくないよ。「美月、料理しよ」
「うん・・」
無邪気な微笑みにつられて僕も笑っちゃう。
具材・・・。
なんでもある。
蛸・・悪魔の魚として恐れられる。
嫌われていて食べない国もある。
まぁ見た目が怪物だしな。たこ焼き屋の絵は可愛いけど。
まずは普通のタコを入れて焼いていく。
いいにおい・・。
鰹節とソースをかけていただくのが普通・・。
僕はあえて醤油。
醤油で少し湿るからいい感じ。
うん・・。
美味い・・。
「たこ以外は何がいいかな?」
春は具材を眺めながら言った。
動物の肉類はあまりよろしくないし・・・。
チョコレート・・・。
あんこ・・・。
「美月・・・」
「あは・・だめ?」
「いや・・考える事同じだね」
美空もおんなじ事考えてたか・・。
結実はいかの塩辛を入れてる・・。
「ぜったい美味いよ!」
「結実って辛党だもんね」
さっきはキムチ入れてたし・・・。
なら僕はあんこ入れてみるか・・・。
あんこは既に作ってあるやつが売っている。
少し冷やして固くしたやつを入れる。
美空が僕の隣から覗いてきた。 「わくわくするね」
「なんか味は想像できるけど・・」
「大判焼きみたいな?」
「うん・・一口サイズの」
春は鈴美ちゃんと作ってる・・・。
あのままくっつけば・・。
ぎゅっ。
「美空・・アザになる・・」「こげてるよ・・」
「あっ!」
なんとか焼き上がった。
「うん・・・」
・・予想通り。
今度は生クリームとチョコレート。
僕と美空が作るのは甘い物ばっかりだった。
レポートを書いて一息ついた。
窓から空を眺める。
飛行機雲・・・。
夕暮れで赤くなった空に真っ直ぐ延びている。
「美月、お腹空いたね」
「うん・・困った」
食欲がとんでもないのだ・・・。
たぶんエネルギーは全て使われる。
甘い物食べたのに・・・パフェが食べたい。
美空が隣に並んだ。
一緒に空を見た。
「綺麗だね・・」
「うん・・綺麗」
美空と眺める景色ならなんでも綺麗に見えるよ。
部活が終わって下校する。「生クリームたっぷりでアイス3段乗っててチョコレートソースたっぷりの特大パフェ食べたい・・」
「私も・・・」
美空とはいつも同じタイミングでお腹が減る。
さすが双子・・・。
「えと・・僕も」
「春も!?」
「うん・・」
春が生クリーム・・以下略の特大パフェを食べたがるとは・・。
珍しい・・。
三人で喫茶店に向かう。
この喫茶店に生クリーム以下略・・特大パフェがある。
注文して席に座る。
窓際の席。
美空がどちらに座るか迷ってる。
いいよ・・気にしないから・・。
そうテレパシーで言った。
美空はちょこんと僕の隣に座った。
抱き締めたくなる・・。
僕を選んでくれた・・。
少し嬉しかった。
商店街にあるお店なので人通りが多い。
「ねぇ、二人とも宿題やった?」
「えっ、宿題あったっけ?」「うん、国語の」
「あちゃ・・ありがと春、帰ったらやっとかなきゃ」
宿題あったんだ・・。
国語の先生は怖いからな。助かった・・。
ドンッ。
特大パフェがきた。
美空といつも競争して食べてる。
いつも僕が数秒の差で負けてる。
「あは、でっかい」
「春は食べれる?」
「うん、がんばる・・」
甘い・・。
幸せ・・。
こんだけ甘い物食べても健康体なのはいい事だ。
ふと窓の外を見た。
鈴美ちゃんだ。
私服を着てる。
誰かと待ち合わせしてるみたいだ。
誰だろ?
「美月、食べないの?」
そういいながら美空は僕のパフェを横取りした。
「あっ、ちょっ!」
「よそ見する方が悪い」
「鈴美ちゃんがいたから・・・」
「どこ・・?」
鈴美ちゃんの方を指差した
やっぱり誰かを待っている・・・。
「誘ってみる?」
「誰か待ってるみたいだよ・・」
鈴美ちゃんが微笑んで手を振った。
その方向に・・・。
制服を着た鈴美ちゃんがいた。
「・・・ん?ドッペルゲンガー」
美空が思わずいってしまった。
僕も一瞬思った。
もしかして双子?
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