春と美空が別れた・・。
家に帰ってから部屋で美空が沈んでいる。
「美空・・・」
「美月のせいで・・春に嫌われた・・」
落ち込んでるな・・・。
美空を抱き締める。
邪魔したつもりはない。
けども別れると聞いてほっとした。
「美空・・春の事好きなんでしょ?」
「うん・・」
「それは僕を好きって気持ちと同じ?」
「・・・・分かんない」
「美空は春の純粋な所・・・大切にしたいって思ったんだよね?」
「うん・・・守ってあげたい・・汚したくない」
「友達として・・守ろうよ・・僕も春が好きだよ・・・・いい距離をとって・・・・いい関係になろ?」
美空が力一杯僕のシャツを握った。 「美月、どうせ・・・別れて嬉しいって思ってるでしょ?」
「思ってるよ・・ほっとした」
バシッ。
美空に思いっきり叩かれた・・けど 怯まない。
抱き締めて離さない。
「美空・・・僕、反省する・・美空をほったらかしにしてた時あったから・・・・・もうしない」
美空が日本に逃げたきっかけ・・・。
僕は綾ばかりに甘えてて・・・美空の事ほったらかしにしたから。
美空はいつまでも僕の事を好きでいてくれたから・・・・。
心が読めてしまうから安心して・・・。
綾の大人の体を求め続けてしまった。
「ばかぁ・・ばかぁ・・・もぅ・・・またしたら許さない・・」
美空が家を出る前の日。
僕が綾の部屋に行こうとして美空に呼び止められた。美空は僕を待っていた。
けど僕は綾の部屋に行った・・。
あの時の美空の目・・悲しくて寂しそうだった。
次の朝美空はいなくなっていた・・・。
「もぅ・・しない・・ぜったい・・ぜったい・・しないから」
「美月・・・」
美空も抱きついてきた。
美空は・・僕の気を引くために春を好きになったんじゃないか・・。
確証はないけど・・。
そこまで心は読めないけど・・。
僕も春が好き・・。
美空と同じくらい。
あんな純粋な子はいない。僕だって大切にしたい。
春が夕食を作っている。
なんて声を掛けようかな。「春・・あのさ」
「美月くん・・手伝って」
春は少し悲しそうにうつ向いている。
たまらなくなって。
抱き締めた。
「み、美月くん?」
「春・・・君は大切な友達・・・僕は君が大好きだよ・・・」
ギュッと・・抱き締めた。「えっ、え?美月くん・・」「春・・いい友達になろ?」「うんっ・・」
離れた。
春は・・・まだ美空が好きだけど。
微笑んでくれた。
春は人間を好きになった方がいい。
僕たちの過去を知ったら余計に傷つく・・。
間違いなく。
僕と美空は化け物だから。視線を感じて振り向いた。綾がこっちを見てニヤニヤしてる。
「わあっ!美月がボーイズラブに興味を」
綾に見られてた・・・。
「ち、ちがうっ!」
「綾さん、誤解ですっ!」
春と一緒に否定した。
10分くらいかかってようやく綾は理解してくれた。
春と一緒に料理・・。
もうライバルじゃないからなっ・・春。
おろしハンバーグだ。
これは美味いぞ。
「できたね!」
「うんっ・・!」
夕飯の後に出かける。
雪のお店に行きたい。
「美空、行こ」
「あ、うん・・待ってよ」
美空の事ほったらかしにしないからな・・。
ギュッと手を握る。
「美空、大好きっ」
「分かってる・・・もう離すなっ・・」
「そこはさぁ・・私も美月の事大好きだよっ・・とか言ってよ」
美空はいじらしく笑った。「少女漫画の見すぎだよ」
「むぅ・・・」
美空は男心?って物を理解してないな・・。
そんなんじゃ・・。
「美月だけだよ」
美空が微笑んでる。
「美月だけしか・・見えないよ」
その表情・・。
見とれて・・。
胸がキュンとした。
「ほらっ、行こっ!」
美空が手を引っ張る。
僕が引っ張ってるつもりでも・・・いつも美空が僕を引っ張ってくれてるのかも・・・。
スーパーには片道10分ほどだ。
まだ営業時間。
雪のお店は綺麗だ。
「おっ、双子ちゃん!」
美空は雪にも秘密を話したらしい。
一瞬で受け入れて妄想を初めたらしい。
さすが生粋のオタク・・。まぁ理解してくれる人がいて嬉しい。
理解してくれるのは本当に奇跡みたいな確率だろう。
服を選ぶ。
雪のデザインは絶品だ。
カッコいい。
「美月きゅんはどれにする?」
「きゅんって・・」
雪は大人になった・・。
体つきも大人だ。
「不老不死で壮絶な過去を持って銀髪で青い瞳で特殊能力があって超絶美少年ってマジ燃えるよぉー」
「ゆきっ!しーっ」
「あは、ごめん・・」
アニメのネタにされそ・・・・。
美空は試着室に入った。
雪はニコニコしてる。
「美空ちゃんがあのまま成長しない・・・サイコーだよっ!」
「あは・・・ずっとモデルにするの?」
「美空ちゃんもノリノリだったよ!」
さすが美空・・・。
美空もオタクなんだよな。
試着室から美空が出てきた・・・。
スッゴく可愛い。
白いドレスだ・・。
「あは・・どう?」
雪は拍手してる。
僕は・・・。
抱き締め・・・。
ようとしたけど雪に掴まれた。
「まだダメ!」
「むぅ・・・」
閉店時間になった。
今日は雪の家に泊まる。
僕は雪の家に泊まるのは初めてだ。
お店の電気を消した。
雪が鍵を絞めている。 「綾さんもずっとあのままかぁ・・ウラヤマー」
「裏山?」
「うん、ウラヤマー」
裏山・・・?
うらやま?
「羨ましいって事・・」
美空が呟いた。
「羨ましい・・ウラヤマー?」
「変な事気にしなくていい・・美月、行こ」
「うん・・」
雪の車・・・。
駐車場で見たときに一瞬で分かった。
「雪、素敵っ!」
「美空ちゃんは分かってくれるかぁ!」
アニメキャラのステッカーがベタベタと・・。
美空が喜んでるのを見て・・・。
双子でも分からない事あるんだなって・・思った。
車に乗った。
美空が僕を見てクスクス笑った。 「今日は美月が変わる日だよ」
「はぁ・・・?」
「私と同じになるの・・」
何を言ってる・・・。
美空が今日雪の家に泊まるって言い出した。
何をする気だ・・。
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