手を繋いで歩く。
有名ブランドの洋服店が並ぶ。
私はノーブランド物も結構好きだ。
少し驚かされるデザインがたまにある。
日本ではブランド買っておけば安全って感じで選ぶ人も多かったが。
たまには冒険してみるのもいいんじゃないのかな・・・・。
「ママ、あれ欲しくない?」「・・・うん?アクセサリーかな?」
なんだっけなあれ・・・。いろんな色の腕輪。
ビーズみたいな・・・。
「パワーストーンか・・美月はどれにする?」
「うーん・・・」
美月は石の説明書を見ている。
それぞれに効果が違うようだ。
私はブルータイガーがいいかな。
青系の色は好き。
「ママと同じのにするよ」
「そか、じゃあこれ2つ買おっか」
お金を払ってさっそく腕につけてみる。
ひんやりとした石の感触。天然石らしい・・・かなり高かったぞ。
歩くとやはり視線を感じる美月と私を見ているみたいだ。
「みんな・・・可愛いって思ってるよ」
「あはは、良かったね・・・美月はカッコいいって思われたいか、男の子だもんね」
「うにゅ・・・そのとうり」美月はやはり外国でも受けがいいな。
私も美月も色んな国の血が混じってるからな。
日本人寄りだけど外国の特徴も入ってる。
上手いことにバランスがとれてるようだ。
今日は久しぶりにミニスカートだ。
チェック柄で結構短め。
私の美脚を見せつけたい気持ちがあったり・・・。
春の終わり頃なのだがまだセーターを着てても大丈夫・・てか肌寒いから着てるんだ。
ブーツは少し長めのエンジニアブーツ。
鉄板が入ってるので重たいけどこれで蹴りを入れたらあばら骨ぐらいならヒビが入る。
美月の服装もなかなかセンスがあるがまだまだ・・。少し鍛えてやるかな。
「こっちおいで!」
「えっ?なに!?」
洋服を少し見て回る。
美月はあんまり背丈がないのでどうも子供っぽい服を選びがち。
少し大人っぽい服を着せてみよう。
私が選んだ物を着せてみる・・・。
試着室から出てきた。
ふむ・・・。
「どう?似合う?」
「無理してる感じ・・別のやつ着てみよう」
「うん・・・カッコいいと思ったのに」
店員さんはついていけないらしい。
私はこれでもプロのデザイナー。
服の組み合わせ、選び方もその道の人に習ってきた。師匠の友人はたくさんいるが有名ブランドのデザイナーさんが何人もいた。
何度も誘われたが私は個人でデザイナーがやりたかった。
大きな会社に入る気持ちにはなれない。
忙しいと失ってしまう物がある。
「ふむ・・美月、これはなかなかいいよ!」
「うんっ」
美月に選ばせたらなかなかいい組み合わせをしてきた。
何着か買って待ち合わせの場所に戻った。
ちょうどクロスがカートを押してやって来た所だった「おぅ、食材は買ったぜ」
てんこ盛りのカート。
食い盛りが二人いるからな・・・。
美月が買い物リストを眺める。
「これで全部かな・・・」
「ガンショップ行くぞ!」
「おじさん本気で行く気だったんだ・・・」
こいつはいい歳して銃の事になると子供みたいにはしゃぐな・・・。
銃を道具として見るか。
楽しめる物として見るかは人それぞれ。
ガラスケースにいくつか拳銃がある。
クロスの知り合いらしい人が店の主人のようだ。
クロスは美月と並んで拳銃を食い入るように見つめている。
私は適当に店の中を歩く。色々と売ってるな・・・。サイレンサーはさすがに置いてない。
あれは買うのがかなり面倒だ。
銃の所持は許可書を書けば帰るがサイレンサーはもっと面倒な事をしないといけない。
私も持っているがかなり苦労して手に入れた。
ダットサイト類がいくつかある。
最近Px4にマウントをつけて色々乗せて撃っている。「ふむん・・・」
新型のホロサイト・・・。これは高価だがなかなかいいな。
けどやはりデカイ・・。
結局スコープとダットサイトをいくつか買った。
美月とクロスは何やら相談中。
まるで親子みたい。
ルカがいたらどうだったのかな。
「・・・・・で?」
「ママ、ごめんね・・」
「綾・・いいだろ?」
拳銃の箱が10ケースある。いくらなんでも買いすぎ。「まぁいいけどさ・・」
「帰ったら撃ってみようぜ」「うんっ!ママは?」
美月は私の手を握って離さない。
私も離したくない。
「私は見てるだけでいいよ」「うにゅ・・そっか」
美月はしゅんとする。
車に荷物を積んで荷台にシートを被せる。
美月の言うとうり雨が降ってきた。
車に乗って美月が膝の上に乗ってきた。
ほっぺたはプニプニ。
化粧水も何も使ってないのにうらやましいくらい綺麗な肌だ。
少しつまむ。
「いたぃ・・」
「美月にも化粧水あげよう。もっと綺麗になるよ」
「うにゅ・・うん」
来た道を戻る。
美月は寝てしまった。
「可愛いな・・ホントに」
「うん・・私の美月」
クロスは運転しながら私の手を握ってきた。
「片手じゃ危ないよ・・」
「綾、俺と結婚してくれないか?」
「はぁ?」
何言ってるんだこいつ。
しかも運転中に・・・。
「美月から離れられるように・・俺と結婚してくれ・・俺はお前の事が好きだし・・女の中じゃ世界で一番好きだぞ!・・・女の中ではだがな 」
「結局男のが好きなのかよ」クロスの手は暖かくて。
力強い。
私も美月から離れられるように努力しなきゃな。
「分かったよ・・あんたと結婚する」
「よし、結婚式はパーッと派手にやろうぜ!」
「ははっ、派手な結婚式か・・・悪くないね」
クロスの事は嫌いじゃないし。
これで普通の親子になれるならいい。
美月と親子になるんだ。
これでいい・・・。
これでいいんだよね。
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