学校も基礎工事が終わったもう少しかな。
私一人では無理なのでクロスも先生になってもらう事にした。
快く引き受けてくれた。
この周辺の住人にも顔が知れてるし信頼されている。トラックに乗って買い出しに行く。
月に一度買い物に行くらしい。
私はヨーロッパに来て買い物をするのは初めて。
片道2時間かかる遠くのショッピングセンターに向かう。
クロスと私。
そして美月。
美空はまた研究に没頭している。
お留守番には美空がいれば問題ない。
美月は私の膝の上。
荷台に乗るのはさすがに危ない。
ちょうど私の顎の下くらいに美月の頭がある。
髪からはいいにおい。
シャンプーではなく美月の体のにおいだ。
美月をぎゅっとする。
ごめんね・・・。
そう心の中で謝った。
クロスには日本であった事を全て話した。
美月と関係を持っていた事も・・・。
かなり微妙な態度だったが怒らなかった。
もうしないと約束した。
美月は買い物リストを眺めている。
「美月は欲しい物ないの?」「うーん・・・なんか新しい拳銃が欲しいかなぁ」
「ふーん・・」
美月はカバンからカタログを取り出した。
運転はクロス。
私に運転させたくないらしい。
昔一緒に任務をして私が事故ったのがトラウマらしい・・・・。
「美月、一丁だけだぞ」
「うん・・・」
「俺は3丁くらい買うがな!」「おじさん、ずるい!」
クロスの冗談は相変わらずだ。
少しイラッとするがいい奴だ。
「私も何か買うかな・・」
正直金がありすぎて困ってる。
今、日本より物価が安いし・・・・。
「ママ、浮気するの?Px4が怒るよ」
「うん?まぁたまにはいいんじゃない」
美月の頭に顎をのせて一緒にカタログを眺める。
Px4は口径は四種類あるが私のは9ミリ。
パワーはやはり45口径なのだが・・・。
グリップが太くなるときついのだ。
私は手が大きくない。
今から行くショッピングセンターにはガンショップがいくつかある。
だいたいの種類はあるだろうな。
途中休憩をとる。
本当に田舎だな。
何もない。
護身用にPx4を持ってきている。
このご時世ではもう護身用に銃は当たり前。
ドライブインでファーストフードを買う。
味が濃いな。
クロスはガソリンを入れている。
「ねぇ・・・ママ」
「うん?」
「僕、我慢するから・・絶対にどこにも行かないでね・・一緒にいてね」
「分かってるよ、どこにも行かないよ」
可愛い可愛い私の子供。
絶対に離すもんか・・。
「おっし!出発するぞ」
クロスが車を発進させる。やっと建物が見えてきた。これでやっと半分か。
この車・・・。
いたる所に銃があるな。
物騒だけどその方が安心する。
美月は窓から景色を眺めている。
「ふむん・・・雨降りそう」「晴れてるよ?」
「あと少ししたら雨が降るよ・・そんなにおいがするんだ」
美月の嗅覚はどんどん鋭くなる。
たぶん当たるだろうな。
「んきゅ・・ママ」
私に甘えてくる。
腕を絡めてきた。
私も抱き締める。
「僕は・・・甘えてていいのかな?こうやって・・子供のままの外見で生きていくんだよね・・大人にならなきゃいけないのに」
「美月・・・・」
もうこのまま生きていくんだ・・・。
中身は成長しても外見は子供のまま。
「俺は美月はもう大人になってると思うぞ!だから気にすんな」
「でも・・・こうやって甘えちゃうのって子供って事じゃない?」
「甘えの種類が違う。美月と美空の行動に甘えはない立派に未来の事を考えてる・・女に甘えるのは大人でもやる事さ。その甘えは別にいいんじゃないか?」
美月はうーんと唸った。
考えこんでいるらしい。
「クロスがそんな事言えるとはね・・・」
「まぁ、自由に生きてくれればいいさ。美月と美空は俺にとっても大事な子供だからな・・幸せになって欲しい」
「どうしたの?いつもの冗談は?」
「俺は冗談言ってないと変か?」
「うん・・変かな・・」
「綾は相変わらず手厳しいな・・」
クロスにとっても美月と美空は大事なんだよな。
当たり前か・・。
美月を愛してあげたい。
その気持ちは消せない。
どうやって愛してあげようかな・・・。
※元投稿はこちら >>