美月は有言実行してくれた・・・。
つかず離れず私の隣にいてくれる。
まさか息子に守られるなんてね。
ダメな母親。
でも嬉しい・・・。
特務班の事務所で命令がくるのを待っていた。
特にやる事がない。
私は料理の本を読んで暇を潰していた。
季節的には真夏。
夏の料理が食べたい。
夏だから冷たい物というわけでわない。
熱い物もいい・・。
土壌が取れれば土壌鍋でも作りたいけど。
美月は何か書いている。
後ろから抱きついて覗いてみる。
設計図かな?
M1911のサイレサーは完成した。
これは・・・。
「何の設計図?」
「んっとね・・・反動を抑制する装置・・アサルトライフルにつけれればいいかなって思って」
「ふーん・・・」
クリス スーパーVというシステムがあったな。
Vectorっていう45口径のサブマシンガンについている
撃った事はないがかなり反動はマシになっていた。
45口径サブマシンガンといえばM1A1トンプソン。
撃った事があるけどあれは重くて持ち運びがしんどかった。
まさにアメリカって感じの銃だった。
重さで反動は控えめだった
近年のアサルトライフルは軽量化されている。
反動も少なからず大きくなる。
美月は集中しているみたいだ。
邪魔にならないように静かにしていよう。
コンコンとドアがノックされる。
ついに任務か?
「ママ、お疲れさま」
「美空っ」
美空が白衣を来て差し入れを持ってきてくれた。
「研究はどう?楽しい?」
「うん、楽しいよ」
美空を膝に座らせる。
最近美月がベッタリだから美空は甘えられてないんじゃないかな?
「ママ、大丈夫。十分甘えてるから」
「あ、うん・・」
美空はちゃんと心を察してくれる・・。
申し訳ない気持ち・・。
頭を撫でる。
「今日は研究終わったんだ・・だからママ・・」
「うん?」
「おやすみなさい・・」
私の腕の中で寝てしまった・・・。
私が男だったら間違いなく美空を襲うだろうな。
本当に殺人的にかわゆい。 この事務所は広いようで狭い。
窓はあるけど液晶モニターに風景が映るだけ。
美月がカリカリとペンを動かす音だけが部屋に響く。たまにはこんなのもいいな・・・。
美空を抱き締めるだけでも幸せだ。
静かに寝息を立てている。幼い顔だけどしっかり成長している。
テレビをつけて時間を潰す本当に任務の命令が下りてこないな。
隣のデスクで美月が設計図を書いている。
「進んだ?」
「うーん・・・うん」
設計図を書いて作ってから試験をして改良していく。完成はずっと先だろうな。
ぼんやりと夕飯を考える。実に緊張感がない。
電話が鳴る。
里花からだ。
「お待たせ、任務を命じます」
「待ってましたっ」
ムフーッとなる。
いよいよだ。
「ロシアにある廃墟を探索して欲しいの」
「探索・・・?」
「がっかり?最初に言ったけど戦争に介入はしませんので」
「探索って何を・・?」
「プリピャチのチェルノブイリはご存知?」
「はい・・・」
正確にはロシアではない・・・。
まさに大惨事だった。
まだ放射能が残る。
「そこで行方不明の人を探索して欲しいの。もちろん放射能が無い場所ね」
「はい・・」
「最新式のガイガーカウンターを持っていってね。詳細は携帯デバイスに送るから」
「了解・・・」
まるで探偵だな・・。
美月に聞いた事を話す。
「ふーん・・」
「まぁ肩慣らしって所ね」
「よしっ、じゃあ準備しよっと」
美月が装備を整えている。
きっちり心を引き締める。どんな任務だろうが油断できない。
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