この幸せはいつまで続くのかな?
たまに不安になる。
私たちは普通じゃないから・・・。
外を散歩しているといい気持ち。
夕方でもまだ明るい。
「んきゅ・・・そろそろ帰るかな・・」
家に向かおうとした。
パンッ。
前に倒れた。
「え・・・っ?」
かすった・・・。
けど・・・。
脇腹がえぐられてる。
血が止まらない・・・。
「あっ・・いたい・・いたいよ・・」
何なの?
死ぬの・・・?
お腹を触る。
内蔵が・・・。
もう・・・助からない。
プロペラの音。
ヘリコプターが・・・。
美月と美空が危ない。
頑張って動くけど・・。
ダメだ・・・・。
こんな事で・・・。
目の前が真っ暗になった。
真っ暗だった。
昔お母さんに言われた気がする。
あなたは特別なんだって。お母さんとお父さんは戦争で死んだって聞いた。
お母さんとお父さんの顔は思い出せない。
でも・・・普通じゃない・・・そう・・普通じゃなかった。
いつの間にか孤児院で暮らしてた。
私は銀色の髪で珍しがられて・・・。
いじめられたりした。
私の心は荒んでいった。
師匠に拾われて・・・。
ルカに出会って・・・。
でももう死んだから。
もう・・・・。
「綾・・・」
その声は・・。
「綾っ・・・」
誰・・・・?。
「綾・・綾っ」
目蓋が動く。
目を開いた。
私の大好きな人が私を見て泣いている。
「綾っ!」
なんで・・・生きてる?
病室のようだけど・・・。「美空っ、早く来て!」
美空が走って来た。
私を見て泣き出した。
どういう事?
「綾、大丈夫だよ・・・三人で生きて行こう」
「美月・・・ここは?」
「事情は後で・・・とりあえず良かった」
しばらく美月と美空が抱きついて離れなかった。
何がなんだか分からないけど生きてた。
お腹を触る。
内臓が飛び出てたハズ。
シャツを捲ってお腹を見る・・・。
綺麗だ・・傷一つない。
ドアをノックされた。
医者らしき人物が入ってきた。
「目覚めましたか・・・」
美月と美空がやっと離れた「少し検査をさせてもらいます。歩けますか?」
美月と美空を見る。
今一状況が把握できない。
車椅子に乗って病室を出たなんだここ・・・。
映画で見たような光景。
人もいるし・・・。
検査室に入る。
美月も美空もついてきた。簡単な検査をされた。
傷口も全くない・・・。
どうなってる?
医者が私の体を触る。
えぐられたはずのお腹を触る。
「痛みはありますか?」
「少し・・・」
「ふむん・・・」
紙にさらさらと書き込んでいる。
「私は・・・死んだんじゃ?」
医者が美月と美空を見た。目で確認をした。
「あなた方の素性は知っています・・・はっきり言いますとあなたは不老不死です」
「・・・・・はぁ?」
美月が後ろから抱きついてきた。
医者は喋り続ける。
「不老不死、再生能力も凄い・・・その能力を美月君、美空ちゃんが受け継いだ訳です・・・まぁ解明したのは美空ちゃんですがね」美空が少し微笑んだ。
さすが美空・・・・。
「ここなら大丈夫ですよ・・・色んな人がいますからね」
検査室を出た。
白っぽい壁紙。
どこなんだ?
「ねぇ・・何があったの?」美月と美空が車椅子を押して歩く。
噴水のある広場な出た。
「僕たちは保護されたんだよ・・・」
「保護・・・?」
「ここは地下にある施設だよ・・・世界を支配してる人たちが暮らしてる」
地下施設か・・・。
美空が背中を擦ってくれる「クロスは?」
「おじさんは家に残ったよ」「そっか・・・」
「おじさんも来ていいって言われたけど・・守る物があるからって」
クロス・・・。
学校やワンコたちの世話もあるし。
部屋に戻った。
鏡を見て初めて気付いた。「えっ、あ・・銀色になってる・・・」
「色が落ちて銀色になったんだよ・・また染めればいいよ」
「うん・・・」
・・・銀髪でもやっぱり美人だな・・・。
じゃなくて・・・。
ベッドにゆっくり座る。
ちゃんと歩けない。
「詳しい話は明日するから・・今はこうやって・・」美空と美月が布団に入ってきた。
「・・ねっ?」
「うん・・・」
美月と美空がいるなら・・どこでもいい。
生きていける。
しばらく寝て。
目が覚めた。
窓があるけど景色は作り物液晶モニターに写し出される。
美月と美空はまだ寝ているこの施設はなんなのかな・・・・。
朝食はゼリーみたいな物を食べた。
あまり美味しくなかった。昨日の医者がやってきた。「おはようございます」
美月と美空があいさつを返した。
かなりなついているみたいだ。
「調子はいかがですか?」
「うーん・・まぁまぁですかね」
日本人だな。
品のいいおじさま。 「ああ、私は西村と申します。あなたの専属医ですから」
「専属医!!?」
「ええ、あなた達は上の方のお気に入りですしね」
検査を終えて車椅子に乗った。
部屋を出る。
なかなか慣れないな。
美月と美空と一緒に施設を見て回る事にした。
地図を見てびっくりした。かなりデカイ・・・何階層もある。
私がいるのは居住区。
「全部歩いて回るのは無理だね・・・」
とりあえず居住区を見て回る。
迷いそうだな・・・。
色々ありすぎて考える暇がなかったけど。
私が不老不死・・・。
「美空・・・私は」
美空は車椅子を押しながらニコッと笑った。
「もう、ママはライバルだね!」
「あぅ・・うん」
これからは恋敵か・・・。とりあえずここの状況を飲み込むのに時間がかかるな・・・。
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