仕事にも慣れてきた頃。
おばちゃんにシューティングマッチに参加しないかと言われた。
私はそう言う競技大会に出た事は無かったので少し興味があった。
シューティングマッチ・・おそらくM1911系のが有利・・・。
けど私はPx4を使おう。
優勝とかは別にいらないし
近くのホームセンターで塗料を買ってからおばちゃんの店に向かう。
「おばちゃん、工房使わせて」
「いいよ」
仕事場では紅羽。
今は悠。
おばちゃんは今はプライベートなので悠と呼んでくれる。
おばちゃんの工房は店の隣にある。
とりあえずフレームを塗装したい。
分解して洗浄、脱脂してから軽く紙ヤスリで表面を荒らす。
模型とかのやり方でやるといいらしい。
なかなか剥がれにくいとか・・・。
ライフルとかなら小枝や葉っぱを被せてスプレーを適当にふけば完成。
道具だし汚かろうがどうでもいい。
遠くから見て紛れればいいのだ。
まぁ今回は綺麗にやってみよう。
フレームをエアブラシで塗装。
迷彩風に・・・。
マスクをしながらフワリと塗っていく。
一度乾燥させてから重ね塗り。
仕上げにコート材をかける2液ウレタンクリアーなのでかなり皮膜は強い。
塗装したフレームは乾燥させるためにしばらくほっておく。
本体はパーツの交換、調整のみ。
マガジンキャッチに指が届きにくいな・・。
少しパテで形をつける。
私の押しやすい形にしてこれも乾燥。
別のフレームが余っていたので射撃場で撃って調整。とにかく撃ってならす。
一週間ほど後。
綺麗に乾燥したフレームを組み立てる。
コンパウンドで軽く磨く。キラッと光る。
スライドも軽く鏡面仕上げにする。
油性マーカーで刻印を金色にする。
「できたっ!」
フレームは青くて綺麗。
おもちゃみたいだけど・・・。
「なかなか美人になったね」銃に話しかけるなんてなかなかの変態・・・。
マッチ用にパーツを調整。短めのサイレンサーをつける。
マウントにダットサイトをのせる。
ゴツゴツしてるけどなかなかいい感じ。
おばちゃんもマッチに出場するらしい。
当日、おばちゃんの車に乗って会場に向かう。
「で、結果は?」
美月は目を輝かせている。男の子ってこうゆう話は好きなのかな?
「私は12位でおばちゃんが1位だったよ」
「ほぇ・・・凄い」
「おばちゃんの使ってたM1911は美月と美空が持ってるやつだよ、おばちゃんから譲り受けたんだ」
美月はポカーンとした。
あんなバランスのいいやつはなかなか無い。
けど私は使う気にはなれなかった。
仕事の事はあまり話さなかった。
あの男におもちゃにされていたのを思い出してしまう・・・・。
毎回中出しされて・・・吐き気がする。
しっかし広い庭。
いや・・・庭じゃないな。私も訓練に参加する。
もう美月と美空に教えられそうな事はない・・・。
適当に置いた標的を撃つ。マガジンのカウントが0になってスライドストップがかかる前に左手を離して予備マガジンを抜く。
マガジンに一発残っている状態でマガジンを交換。
別に撃ちきる必要はない。これの方が撃ち続けられるし・・・。
まぁもっと早いリロードの方法はあるんだけど。
「ママ、それ教えて!」
「・・・うん?」
美月と美空の視線に気付かなかった。
これは私の思い付きだから教えていいのかな・・。
シャワーで汗を流す。
スタイルも保ったまま。
胸はまぁまぁ。
「むぅ・・・もう少し太ればエロい体になる?・・・かな?」
今さらエロい体になっても美月とはもう・・・。
もう・・戻ったの・・。
親子だから考えちゃダメ。
髪を乾かしてからベットに座る。
「ビール飲みたい・・・けど我慢・・」
しばらくはお酒を控える事にした。
飲み過ぎは良くない。
テレビをつけて寝転ぶ。
早く学校できないかな・・・・。
早く校長先生になりたい。
ガチャ。
「ママ、一緒に寝よう」
「美月は甘えん坊だね・・」可愛いパジャマを着ている艶々の銀の髪。
美しい顔。
私の子供・・。
美月はベットに座った。
「ねぇ・・ママ・・」
「うん?」
「僕・・・あのね」
「どうしたの?」
美月は一瞬私を見てからうつむいた。
「早く寝よう・・眠たい」
「・・・いいよ」
電気を消してから美月を抱き締める。
このにおい・・・。
いい香り・・・。
美月・・・。
私のパジャマをギュッと握ってきた。
「ママは思い出さない?あの時の事・・・」
「・・・夏休みの事?」
「・・・うん」
美空が出ていって美月と二人きりの時。
あの時は・・・。
「思い出さないようにしよ・・・」
「僕は忘れられない・・」
「美月・・だめ・・」
「ママ・・・僕は・・」
美月が抱きついてきて体を擦り付けてきた。
「美月・・・いけないよ」
「僕ダメだ・・綾の体を忘れられない・・綾の事が好きで好きで・・おかしくなりそう」
私は美月を突き放してベットから出た。
急いで部屋を出る。
大福の所に向かう。
大福はマックの隣にいた。ギュッと抱き締めた。
辛い・・・こんなの辛い。私も戻りたい・・・。
あの時に・・・。
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