たまらん・・・。
「えいっ・・・むぎゅっ!」美月を思いっきり抱き締める。
「んぁ・・・聞いてよ」
「何なりと聞いてあげよう若者よっ!」
美月は私の服をぎゅっと掴む。
「あのね・・・その・・・・・・」
「ゆっくりでいいから言ってみなさい」
きっと何か大事なお願いなんだな。
私もちゃんと聞いてあげよう。
もしかして・・・一人暮らししたいとか?
そんなの・・嫌だ!
「えっと・・・車の免許証が欲しいの」
「・・・・・んぁ?」
あまりに唐突でポカンとしてしまう。
「僕もそろそろ車に乗れるようになりたいって思うんだ」
「・・・・・ダメ」
「むぅ・・ダメ?」
「うん、ダメ」
美月はしゅんとした。
車なんてダメ・・・。
認めない。
なぜなら私の子供だから。きっと運転も下手だ。
「ダメよ・・・車なんか・・・・」
「綾、お願い・・・車が欲しいの・・」
美月の攻撃になんとか耐える。
「お金どうこうの問題じゃなくね・・・二人が心配だから・・・事故なんかおこしたらヤダよ」
「大丈夫だよ、事故なんかおこさないから」
「ペダルとブレーキに足は届く?」
美月は黙った。
たぶん届かない。
子供の体だからな。
「うにゅ・・・それは・・」「あきらめなさい」
「んぁ・・ぐすっ」
な・・なんて可愛い・・。いや・・甘やかしてはいけない。
「我慢・・・我慢しよっ?」もう少しキツく言うべきかな。
いいや・・・これでいい。
翌日美空が設計図を何枚か持ってきた。
なかなか良さそうだ。
知り合いの部品加工業者にパーツを作ってもらう。
しばらくかかるだろうな。「ねぇ、美空は車欲しい?」「うん?・・・別にいらないかな」
「ふむん・・・」
美月はなんで車が欲しくなったのかな?
私と美空をスポーツカーに乗せてキャッキャウフウフしたいとか?
「美月が車欲しいって言ったの?」
「うん、So・・・?・・・じゃなくて・・そう」
美空はクスッと笑った。
何か知ってるのかな?
「ママ、正解したら何かプレゼントするよ」
「ふむん・・クイズ?・・・・・なんでかな・・」
美空は冷蔵庫をあさってケーキを取り出した。
親子そろって甘党。
しばらく考えても検討がつかない。
バレないように美月を観察するか。
においでバレるかな?
違う香水をつければたぶん大丈夫かな・・。
シュッシュと香水をつけるこれはまだ使った事のない物だ。
「うし、作戦開始っ!」
「綾、何してんの?」
「うぁ・・・」
いきなり失敗かよ・・。
いや、まだ終わらん。
美月の肩を押して外に出る「わわっ、なに?」
「美月を観察するから!」
「観察?」
「そう・・・じっくりと・・・なめまわすようにね!」「・・・へんたい」
美月を観察する。
じっと見る。
可愛い・・・最高に可愛い・・・。
こんな中性的な美少年は滅多にいないぞ。
いや・・・もっと他の事を見なきゃ。
大福とマックと戯れている・・・。
車なんてなぁ・・・。
危ないし・・乗せたくない・・・。
「ふむん・・・クイズだし正解は聞けない・・」
車って軽くて脆いからなぁ・・・。
乗せるなら軽装甲車かな。いや、ダメだ。
しばらく美月を観察しよう・・理由によっては考えなくもない。
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