学校が完成した。
内装を確認しよう。
まだ机とかは用意してないから買わなきゃな。
そんなに大きくない建物だし。
近日の子供や大人にも勉強させる所として使う。
誰にとっても学校と呼べる場所にしたい。
なかなか綺麗だ。
もう少しだな。
「綾、良かったな」
「うん、クロスも先生頑張れよ」
「おぅ、まかせとけ!」
近くの畑で野菜を作っている。
さすがに外国の土だと味も違うだろうな。
大根とか胡瓜とか。
美月と美空が野菜を見てまわっている。
収穫時期はまだ先だ。
どう育つかな・・・。
「ねぇママ、何で畑作ったの?」
美空が首を傾げている。
「んーとね・・ほら、煮物とか食べたくなった時にここに畑があればいいなって思ってさ」
「ふむん・・たしかに煮物は食べたい時あるし・・」美空には料理を教えたりした。
やはり物覚えがよろしい。美月はポケッと何かを見ている。
「美月、どした?」
「うん・・早く食べたいなって・・」
「もう少し待ってね」
「うん・・・」
もう少し元気にさせないとな。
あせらずに・・。
美月と二人きりの時間は少ない。
しかたないけど・・・。
夕食後に食器を洗う。
食器洗い機を買おうかな。ハンドクリームを塗って一息つく。
静かな夜だ。
虫の鳴く声が聞こえる。
ココアを作って外に出る。大福とマックが寄ってきた「やぁ、仲良しさん」
二匹ともいい子。
頭を撫でる。
芝生に座る。
「はふぅ・・・」
少し眠れない夜もある。
今もルカの事が夢に出る。最後の時の事も・・・・。ココアを一口。
甘い・・・・。
足音・・・。
美月がパジャマを着てこちらにやってきた。
まだ肌寒いのか上にカーディガンを着ている。
「綾、お菓子持ってきた」
「うん、ありがとう」
クッキーだ。
ひと口食べる。
「美月と二人きりだね」
「うん・・・」
そっと寄り添う。
日本でなら押し倒したけど今はいけない・・・。
こんなに弱っている美月をいじめたくない。
とくに会話もなく。
けど心地いい。
寄り添うだけで幸せ。
「僕、お腹空いたな」
「うん?夕飯食べたでしょ?」
「お粥だけじゃん・・」
「ふむん・・・」
今はお粥じゃないとなぁ・・・吐いちゃうだろうし。「何が食べたい?」
「甘い物・・・ケーキがいいな」
「だぁーめっ!」
美月はムッと頬っぺたを膨らませた。
抱きついてきた。
私の服をぎゅっと掴んだ。「おねがぃ・・ケーキ食べたいよぉ」
「そ、そんなワガママは・・お母さんは許しません」久しぶりのせいかグラッとくる。
この可愛いさは反則だろ。「おねがい・・ケーキ・・」「ダメだよ、胃がびっくりするよ」
「うにゅ・・ケーキ・・」
「だめっ、クッキーで我慢しよう」
「ケーキ・・けーき・・食べたい・・」
涙目でしがみついてきた。ぐらつくどころかバキッと折れた。
「もぉ・・負けたよ・・」
「チョコレートケーキがいい・・・」
「ふむん、分かったよ」
美月を連れて家に戻る。
この可愛さだけは困った物だ・・・私は絶対に勝てないだろう。
冷蔵庫にはケーキがある。暇な時に作るので食べたい時に食べれる。
「ほい、お茶と一緒にね」
「うん・・」
美月は嬉しそうだ。
椅子に座ってパクパク食べている。
「盗み食いしなかっただけえらいね」
「そんな事したらおじさんに怒られる・・」
私も少し食べる。
これはクロスの作ったやつだな・・ビターが効いている。
「綾と一緒に寝たいよ」
「うん?珍しいね・・いいよ」
一緒に歯磨きをする。
美月にも化粧水をつけさせるようにした。
私はまだまだ艶々の肌だが美月はそれ以上・・・。
「こやつ・・・美肌め」
ツンツンと頬っぺたをつつく。
「うにゅ・・・」
「美月は可愛いね・・」
「もぉ・・・大人だってば」
テレビをつけて一緒に布団に入る。
抱き締める。
田舎だけどインターネットもケーブルテレビもある。金の力だ・・・。
美月はモゾモゾしている。「・・・どした?」
「時間なんてなければいいのに・・・」
「うん?」
「なんでもない」
美月もテレビを見ている。こんな毎日でもつまらないとは思わない。
人間らしく生きれるから田舎は好きだ。
娯楽は少ないけどね。
「すーっ・・すーっ」
美月は寝てしまった。
「あは・・可愛い・・」
頬っぺたにキスをして私も目を閉じた。
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