今日は晴れてるな。
いい天気。
「ねぇ美月・・散歩しよっか?」
「・・・うん」
「お昼ごはん持っていこっか!」
「・・・うん」
美月は相当溜め込んでたんだな・・・。
少しずつ元気にしてあげたい。
荷物を詰め込む。
最低限のサバイバル用具。武器庫に行く。
ベネリM4を手に取る。
「これでいいかな・・」
Px4とショットガンがあれば十分。
ショットシェルをいくつか鞄に入れる。
美月はベンチで待っていた「さて、行こっか」
「僕もこれ持ってく」
カバンをポンポンと叩いた中身を調べたが特にたいした物はない。
エアガンがある。
日本でプレゼントしたM9だ標的はいくつもあるから気分転換に射撃はいいかも。美月と手を繋ぐ。
トボトボと歩いている。
この歳でいろんな物を背負ってしまっている。
辛いだろうな美月も美空も・・・・。
近くに森があった。
美月はデジカメを取り出した。
花や鳥を撮っている。
「いいにおい・・・こんな森があったなんてな」
「綾・・大丈夫だよ」
「へっ?」
「僕は自分で死んだりなんかしない。生まれてきて良かったって・・・綾に凄く感謝してるから・・大丈夫・・」
ほろっときてしまう。
美月の頭を撫でる。
「楽しい事考えようね」
「・・・うん」
ベネリM4を構えつつ歩く。一応、熊さんが出たら危ないので。
グリズリーが出ても大丈夫だ。
12番ショットシェルとスラグ弾がある。
なるべく殺したくはない。木におい・・・本当に心地いい。
「何か面白い物は撮れた?」「うん、この小鳥がかわいいなって・・・」
デジカメを操作して写真を見せてもらった。
「ふむ、良く撮れてるね」
「かわいいよね・・・」
「美月のが可愛いよっ!」
むぎゅっと抱き締める。
「んっ・・もぅ・・可愛いとか・・・・まぁ嬉しいよ・・うん・・嬉しい」
しばらく歩いてみる。
ここで毒キノコのお復習をしといた。
さすがに美月は全部覚えていた。
食べれるキノコを採取する家の近くで栽培させてみたい。
「この森に友達がいるんだ」「へぇ・・・?」
美月は笛を吹いた。
ピーッ。
「友達って・・?」
「えっとね・・・大鷲と梟だったかな?」
「ふぇ?」
「あ、きた!」
枝にちょこんと梟がとまっている。
大鷲は美月のそばに着地した。
美月は大鷲をじーっと見つめている。
「ふむん・・うん・・そっか・・うん・・」
「み、美月?」
「僕と美空は動物の言う事が分かるんだ・・・なんでか分かんないけど」
「へぇ・・・凄い」
今度は梟を見つめた。
「うん・・へぇ・・・ふーん・・」
「何て言ってるの?」
美月はクスッと笑った。
「やっと子供が卵から孵ったけど世話が大変なんだってさ」
「へぇ・・・」
まるで人間みたい。
美月は大鷲に小さな布袋を差し出した。
大鷲はそれをくわえて飛んで行った。
「あの大鷲にはパトロールしてもらってるから・・食べ物をあげたんだ」
「ふむん・・・」
なんとメルヘンチックな。動物と喋れるとは・・・。「僕たちもお昼食べよう」
「うん、えっと・・・はいっ!」
塩おにぎりだ。
今の美月にはごちそうだろうな。
美月は一口かじって微笑んだ。
「美味しい・・・」
「そか・・良かった」
二人で寄り添う。
目の前にとっても大きな木ある。
「ねぇ・・綾」
「なに?」
「僕の事すき?」
「うん、もちろん」
「お父さんの代わりじゃなく?」
「・・・・ルカの事は忘れられない・・・今でも愛してる・・・けどね」
美月の頬っぺに触れる。
「美月の事は・・ルカとは別・・最初はたしかに面影を重ねてたよ・・ルカの代わりって気持ちもあった・・今は違う・・人として・・大好き・・・愛してる・・」
美月は微笑んだ。
ぎゅっと胸に顔を埋めてきた。
ルカは大切な人・・。
私に美月て美空という宝物を残してくれた。
美月は息子としても大切だし好きな人としても大切・・・大好きな人。
素直になれば言えるもんなんだな。
「結婚はできないけど・・そばにいるよ」
そんな事を言った美月をさらにぎゅっとする。
「綾・・いたぃ・・うにゅ」「可愛いやつめ・・このままぎゅってしてやるっ」
美月の気持ちが癒えるまで私も体を求めるのはやめよう。
元気になったらまた・・・気持ちも体も重ねよう。
いい散歩だった。
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