ベンチに座って夜空を眺める。
綺麗な星空。
ライフルスコープで星座を探してみる。
「ふむん・・・うにゅ・・・ない・・」
まだ妊娠してないみたい・・・おかしいな。
あんなにしたのに。
まぁそのうち・・・。
「ほれ、コーヒー」
「おっ、サンキュ」
毎日クロスがコーヒーをいれてくれる。
とっても甘い・・・。
カフェオレってやつかな?私の隣に座った。 「綺麗だよね・・・」
「そうだな・・」
手を伸ばしてみる。
ギュッと掴んでみても何も掴めない。
「ねぇ、妊娠しないんだけどさ・・・あんた種無しじゃないよね?」
「・・・・あるに決まってるだろ」
「そっか・・・」
クロスは苦笑して私の頭を撫でた。
「美月と美空がいる・・それでいいじゃねぇか」
「うん・・・」
クロスは立ち上がった。
「そろそろ寝るかな・・」
「あとで行くから・・満足させてね」
「あぁ・・・待ってるよ」
クロスは家に入って行った私はもう少し眺めていたかった。
美月とはもう親子だから。大丈夫・・・もう普通なんだ。
カフェオレを一口飲む。
少しぬるくなってきた。
「ママ、隣いい?」
「うん、いいよ・・」
美空がちょこんと隣に座った。
「お風呂入ったの?」
「うん、入ったよ」
美空もいいにおい。
シャンプーのにおいも微かにする。
「ママ・・・私、今の美月を見てられないよ」
「美月が?どうしたの?」
美空はしゅんとしている。「凄く・・辛そう」
「しかたないよ・・・私と美月は親子にならなきゃいけないの・・普通にならなきゃ」
「うん・・・」
美空と美月が愛し合っている事は言わなかった。
二人の関係を話す事はできない。
「辛いだろうけど・・普通にならなきゃ・・」
「ママ・・・美月をもう傷つけないで」
美空は私をじっと見る。
「美空?なんでそんな・・」「普通なんて・・無意味な言葉で縛り付けないで。ママが一番良く知ってるんじゃないの?」
「美空、私は正しい事をしてるんだよ?」
「今は私よりママを愛して欲しいから・・・だからママも素直になったら・・」バシッ。
美空を叩いた。
「なんなの・・?美空は私を否定するの?」
美空は頬っぺたを抑える。怒りが・・抑えないと。
「もう・・いい・・」
美空は家に行ってしまった・・・。
私の行動は正しいんだよね・・・?
そうだよね?
ルカ・・・。
次の日から美空は口を聞いてくれなくなった。
私も喋りたくなかった。
美月はまた寝坊した。
「美月、また寝坊?」
「うん・・・」
「いい加減に治しなさい、大人なんでしょ?」
「うん・・・」
「もっとはっきり喋りなさい!」
「うん・・・」
イライラして叩こうとした、美空が美月をかばった。「美月、行こ・・」
「うん・・・」
二人で二階に行ってしまった。
なんか・・・嫌な空気。
私が望んだのはこんなのじゃないのに・・・。
「大丈夫か?」
「・・・ったく・・反抗期かな」
クロスが頭を撫でてくれた。
まだイライラしてしまう。上手くいかない・・。
工事の音がうるさい。
またイライラしてしまう。こんなの私じゃない・・。美月と美空がベンチに座っている。
美月は元気がない・・。
今すぐに抱き締めてあげたい。
けど・・・・。
「はぁ・・・もぅ・・」
イライラする・・困った。私は美月の将来を考えてやってるのにな。
まだ子供だからいい物を・・・・。
私だって辛いのに・・。
夕飯を作る。
美月と美空はおりて来なかった。
「反抗期か・・・」
「クロスも何か言ってやってよ!」
「・・・・成長してるって事さ。大丈夫だよ」
「もぉ・・・」
外の空気を吸う。
辺りは真っ暗。
真っ暗で何も見えない。
家の灯りも届かない。
「はぁ・・・」
ため息をついて寝転がる。どうして・・・。
どうしてなの?
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