好きな人間もいる。
けど嫌な人間もいる・・。僕は全てを愛せないから。僕たちはどうやって生きて行こう・・・。
「美空、夢ってある?」
「うん・・・」
「どんな?」
美空はモジモジしている。僕は抱き締めた。
「えっと・・美月と結婚する事・・」
「美空は可愛いな・・」
「なによ・・本気だもん」
僕も夢を探さなきゃな。
時間は無限にある。
学校に行って友達と遊んで・・普通な幸せ。
それは永遠には続かない。もうすぐ卒業になる。
僕は・・・・。
綾は一息ついている。
僕のクラスは全員受験成功した。
「綾、良かったね」
「うん・・ちゅかれた・・」綾はホヘーと嬉しそうな顔をする。
「みんなをちゃんと送り届けられたから・・良かったよ・・先生として嬉しい」僕は綾の肩をモミモミ。
「綾・・一緒にヨーロッパに来ない?」
「・・・ふぇ?」
「おじさんの田舎には学校が無いんだ・・だからそこで学校を作ってみない?」綾は頬杖をついてコーヒーを一口。
「私に・・できるかな?」
「綾ならいい校長先生になれるよ・・」
「美月と美空と・・一緒にいられるの?」
「いられるよ・・おじさんとも一緒だよ」
「うん・・・」
綾は僕を見つめる。
可愛い母親・・。
「美月・・もうお母さんになるから・・最後に・・しよ」
「綾、無理しなくていい」
綾は首を横に振る。
僕の頬っぺたを撫でる。
「美月にはいっぱい愛して貰ったから・・だからもう大丈夫・・もうお母さんに戻れるから・・」
「うん・・・」
綾はもう大丈夫だ。
優しく笑っている。
「だから・・最後に抱いて」「うん・・最高に気持ちよくしてあげる」
綾とキスをする。
もう何度も重ねた。
僕はキスだけでイキそうになった。
綾が唇を離してからニッコリ笑う。
「ベット行こ・・声聞こえちゃう」
「うん・・綾・・」
綾はたぶん本気を出すみたいだ・・・。
今夜は激しくなる・・。
「んっんっんっ!ああっ!」
「美月・・もっと・・」
綾の部屋で繋がるのもこれが最後。
僕も頑張るけど・・・。
「ああっ!でるっ・・っ!!」ドクッドクッ!
引き抜こうとするけど綾が離してくれない。
「あっ・・美月・・はやいよぉ・・もっとイカせて」物凄く色っぽくて・・。
可愛くて・・・。
こんなのこれから体験できないだろうな・・。
「頑張る・・まだ気持ちよくなろ・・」
「うん・・美月っ」
腰が壊れるかと思った。
それでもがむしゃらに打ち付けた。
乱れて乱れて・・・。
気を失った。
「美月・・・」
「うん・・?」
「もう・・お母さんだからね・・」
「うん・・・」
泣いている・・・。
苦しいのは分かってる。
「これからは・・美空だけ愛してあげるんだよ」
「綾・・・」
抱き締めようとした。
ゆっくり払いのけられる。「こらっ・・もうお母さんだって言ったよ・・・」
「綾・・・」
コツンと頭にゲンコツされる。
優しく優しく痛くない。
「ママって言いなさい・・」「・・・ママ・・」
「美月っ」
綾は抱きついてきた。
泣いて泣いて・・・。
朝まで泣いた。
僕も泣いた。
綾の辛さが分かってるから・・・。
もう朝?
眩しい・・・。
「美月っ、朝だよ!」
「・・・うん?」
綾・・・ママ・・。
「ご飯食べよっ!」
「うん・・」
綾はまだ燻っている。
僕への想い。
ゆっくり消えるのか・・。一生残るのかは分からない・・けど。
「ママ、朝ご飯何?」
「美月の好きな物作ってあげる」
手を繋いで綾の部屋を出た・・・。
手を繋いだりキスはする。けど体の関係は無くなった・・・。
綾がお母さんに戻った。
それで良かったか・・。
分からなかった・・・。
荷物はだいたいヨーロッパに送った。
この家はベルとランスが使う事になった。
修行を終えた二人はたくましくなって帰ってきた。
「ベル、ランス。頼むね!」ベルとランスは相変わらずケンカばかり。
「お任せあれ・・」
「美月様・・ランスは寂しいです・・」
ランスはしゅんとしている僕はランスの手を握った。「たまには会いにくるから、大丈夫だよ!」
「はいっ!」
家を去る。
三年間日本で過ごした家。色んな事を教えられた。
綾と僕と美空でお墓に向かう。
長い階段・・。
日本に来たばかりの頃も登ったな・・・。
利奈がいた。
「あっ、おはようございます」
利奈がぺこりと頭を下げた「今日・・行くんですね」
「うんっ、利奈ちゃん元気にね」
綾が利奈の頭を撫でた。
利奈はゆっくり頷いた。
「美空ちゃんっ!」
美空に抱きついた。
「り、利奈っ・・」
「美空ちゃん元気でね」
もう利奈もかなり身長が伸びた。
美空より少し高い。
利奈は僕の方をゆっくり見た。
「美月くん・・ありがとう・・元気でね」
「うんっ・・」
四人でお墓参りをする。
お墓も持っていきたいけどパパの好きなこの土地にある方がいいと綾が言っていた。
「ルカ・・幸せだよ・・」
綾が呟く・・。
幸せか・・・。
パパ・・ありがとう。
僕と美空を生んでくれて。
利奈と別れて車に乗る。
利奈はずっとずっと手を振っていた。
見慣れた景色が遠ざかっていく。
寂しくなる・・・。
僕もここが好き。
けどずっといられない。
美空はお菓子を食べている、今日は白いワンピース。可愛い可愛い・・僕の美空・・大事にしたい。
「美月、食べる?」
「うん、ポテチちょうだい」「ほいっ」
ポテチを一口かじる。
綾が運転している。
空港へ向かう道。
未来へ向かう道。
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