朝日が窓から射し込む。
寂れた部屋が明るくなる。そろそろ取引だ。
今回は全員殲滅する。
容赦しない。
取引場所は一番大きな廃ビル。
車が何台かやってきた。
まだ撃たない。
【銀兎、準備は?】
【出来てる。いつでもいいよ。】
銀兎がビルに近づく。
車から出たやつらがビルに入っていった。
僕は廃ビルの2階から狙撃する。
【前進する】
【了解】
銀兎が隠れながらビルに近づく。
M4を持った敵が2人。
【同時に】
【了解・・】
パスッ。
スコープの向こう側で同時に二人倒れた。
【中に入る】
【了解】
銀兎一人で殲滅できる。
僕は周りの監視。
銀兎が入ってしばらくして・・・・。
【殲滅完了・・生物兵器は無し・・】
【また買い手は騙されたか・・・】
【お金だけ貰っていく】
【了解】
日本ではよくある。
現物は用意できない。
だからお金だけ貰って逃げるってやつ。
銀兎がビルから出てきた。僕も合流するためにビルを出る。
銀兎はアタッシュケースを持っている。
「開けてみよ」
「うん・・・」
開けると・・。
紙切れ。
「・・・はぁ・・」
僕はため息しか出ない。
銀兎はアタッシュケースを閉じて近くにあったゴミ箱に捨てた。
どっちもどっちだ・・。
欲に眩んだ人間って最低。どちらも買い手も売り手を殺す気だったのか。
「銀兎・・無駄足だったかな・・・」
「そうでもないよ」
何か来る感覚。
車が何台も・・・。
「皆殺し・・する?」
「しよ、無駄足にはしない・・生かして返さない」
売り手と買い手・・どちらも味方を準備させていたみたい。
かなりの数。
僕と美空は二人で近くの廃屋に隠れる。
さっきの取引場所のビルの前に車が止まる。
恐らく買い手の味方。
ガスマスクを着けている。生物兵器ではないと知っている売り手ならガスマスクはいらない。
ビルの中に入って行った。「銀兎、一人やる?」
「まだ・・・」
しばらくして少し離れた所2ブロック先の所に車が止まった感覚。
こっちは大勢。
売り手の味方か。
買い手の味方に気付いたらしい。
「どうやって倒す?」
「うーむ・・」
ワクワクするのは僕たちが人間じゃないから。
人間なら誰でも緊張する。ワクワクするけど冷静に動けるのは僕たちぐらい。
売り手の味方は周囲を取り囲むように広がった。
ざっと15人。
よっぽど期待してたらしいがアタッシュケースの中は紙切れ。
銃はAK47とMP5を持ってる・・・そんなにおいがする「羅紗、暴れよう」
「うん・・」
美空とねっとりとしたキスをする。
おまじないみたいな物。
M21からスコープを取り外す。
アイアンサイトで十分。
廃屋を出て売り手の味方から片付けていく。
街は雪で真っ白で僕たちはかなり分かりにくいはず。迷彩服も着てない・・。
売り手の味方はかなり目立つな。
せめて白っぽい服着ればいいのに。
バシュッ。
アイアンサイトで狙って撃つ。
パタッと倒れて動かなくなった。
「一人目・・」
次々に片付けていく。
淡々と。
ゲームのように。
どちらも片付けた。
また吹雪いてきた。
「銀兎・・」
「なに?」
「楽しかったね」
「うん」
吹雪で死体は埋もれる。
白く消える。
彼らにも家族がいる。
関係ない。
情けは捨てた。
銀兎と羅紗の時はそうしてる。
悩む事も何もない。
これが本当の僕たちなのかもしれない。
表の優しい美月と美空は偽りで・・・。
裏の恐ろしい悪魔の銀兎と羅紗が・・本物。
死体は雪が埋めてくれる。心が冷たくなる。
僕たちは死ぬまでこうするのかな?
分からない。
未来は・・・。
分からない。
「帰ってママに抱きつこう、そんな事忘れよう」
「うん・・そうだね」
手を繋いで歩く。
回収地点まで。
家に帰れば美空と美月に戻れる。
・・・人間に戻れる。
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