今回の目標は生物兵器の取引阻止。
財政破綻で再建も失敗した街がある。
高層ビルも廃屋となっている。
不良の溜まり場。
警察もいない無法地帯だ。その街の近くで運び屋のおじさんに下ろしてもらった
今回はその地点から作戦開始。
白いスーツはなかなかカッコいい。
一応迷彩布を着ておく。
激しく雪が降っている。
スーツはなかなか暖かい。寒冷地使用にしてある。
また予備を作ってもいいかもな。
装備はM21 EBR、M1911、リニアナイフ、幻覚装置、備品。
美空はHk416、M1911、リニアナイフ、幻覚装置、食料、備品。
まぁまぁ重たいけど素早く歩けるし大丈夫。
今回は長期戦になるかも。街までまだかかるな。
二人とも喋らないでもくもくと歩く。
視界不良・・・。
けどにおいと耳で頭にイメージが出る。
レーダーのように。
ザクッザクッと地面にスパイクが刺さる。
二人の間隔は1メートルほど。
迷彩布がなびく。
ヘルメットの上には迷彩布についている帽子を被っている。
電子機器なのでなるべく冷やさないように。
吹雪が弱まり視界が戻る。街だ・・・。
高いビル。
摩天楼だけど灯りはない。見捨てられた街。
雪をかぶって白くなっている。
いったん休憩するために近くのビルに入る。
僕はM1911に持ち変えて室内を探索。
誰もいないのは分かっているけど念のため。
ヘルメットの口の部分を開く。
「異常無し」
「よし・・休憩しよ」 「うん・・」
初めての寒冷地の作戦。
市街地に入れば大丈夫だろう。
「何か食べる?」
「うん、食べる」
美空がバックパックから食料を取り出した。
なるべく証拠を残さないような食べ物だ。
僕は缶詰めをIHヒーターで暖める。
小さくて電池式で安かった・・軍用ではなくスーパーに売ってたやつを少々改造した。
寒さですっかり缶詰めが冷えてしまっている。
美空と寄り添って座る。
「なんかこうゆうのもいいよね」
「・・・ん?なんで?」
美空は銀兎のヘルメットをかぶっているから表情は分からない。
首を傾げている。
銀兎のヘルメットだから可愛い。
「いや、なんとなくね」
「まぁ、分かるかも・・・こうゆう食事もいいかも」缶詰めが暖まってきた。
蓋を開ける。
チキンと野菜類が入っている。
とろっとしたソース。
薄味で美味しい。
固形食料も食べる。
チョコレート味。
水っぽい物は凍ってしまうのでNG。
甘い物はやっぱり美味しい・・食べ合わせ的にはどうかと思うけど。
食事は最低限でいい。
動きに支障が出る。
美空は双眼鏡を覗いている取引は明日の予定。
目標地点はここから3キロ先の廃ビル。
「銀兎、前進する?」
「うん、行こう」
荷物をまとめる。
ビルを出た。
ゴミは地面を掘って埋めた見つかったら困る。
商店街・・。
人がいたんだな・・。
ヘルメットの口元が閉じていても呼吸はできる。
息苦しくないし快適。
美空が作ってくれたから完璧。
吹雪が止んで月明かりが地面を照らす。
影に隠れつつ移動する。
M21EBRにはスコープとサイレンサーが付いている。
倍率は4×40固定倍率。
標準的なスコープが一番いい。
もっと多機能なスコープはあるけどこれが一番好き。薬莢を残さないために布袋が付いている。
発射しても薬莢は布袋のなかに入るようにしてある。しばらく前進。
「銀兎、人がいるよ」
「不良さんだね、ほっとこう」
東400メート先のビルの間にいる。
火を炊いているらしい。
人数は4人。
かなり寒がっている。
寒いなら来なきゃいいのに
取引場所の1キロ付近の廃ビルに入る。
誰もいないけど一応索敵してトラップをつける。
二階に陣取る。
「ふぅ・・」
「疲れた?」
「ううん・・銀兎は?」
「少し疲れた・・」
「じゃあ少し寝なよ」
「うん・・肩貸して」
美空はちょこんと僕の肩に頭を預ける。
「寝ていいよ、守るから」
「ははっ・・変わらないね」「変わらないよ・・大事だから・・」
「まだ大事な妹?」
「分かってるくせに聞くの?」
「言ってよ・・」
「お嫁さんは僕が守ります・・・」
「ロマンチックの欠片もない・・・10点」
「ひどいなぁ・・トホホ」
美空はギュッとくっついてきた。
「でも・・嬉しいよ」
「そっか・・」
暖房はない。
二人で寄り添って暖まる。それだけで十分。
美空は寝息を立てている。僕はそっとキスをした。
「おやすみ・・美空」
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