今日は進路希望の用紙のが渡された。
「来週までに出すように!」綾は元気よく言った。 僕は悩んでた。
このまま日本に残って綾と生きるか。
海外に行って大学に通うか・・・。
美空にも聞こうかな。
「美空、進路どうする?」
「うん?・・・分かんない」「そっか、このまま大学行くのもいいかなって思うけど・・・」
「・・・・」
美空の表情は険しい。
怒ってはいない。
今美空の心は読めない。
「帰ってから話そう・・」
「うん・・」
ちょうど放課後のベルが鳴る。
「美空、部活行こう!」
「うん、行こっ!」
美空の表情が明るくなる。そうだよな・・。
僕たちの本性は人を殺す化け物・・・銀兔と羅紗。
いい未来が待っているのかは・・・分からないよ。
部活が終わって帰宅する。綾は冬休み前のテストで忙しいらしい。
「美空、夕飯何作ろっか?」最近料理の腕も上がってきた。
美空と一緒だから作れる。一人じゃ無理だな。
「美月・・ちょっと来て」
「うん?お腹減ってない?」「先に話した方が・・ラクだし・・」
「・・・・?」
美空はまた何か企んでいるのかな。
エレベーターに乗って地下に向かって。
セーフルームのソファーに座る。
美空も隣に座る。
美空は僕の手をギュッと握ってキスしてきた。
「美空・・エッチしたいの?」
美空の表情は真剣で・・。すぐに否定される。
「美月・・はっきり言うよ」「うん・・」
「私たちは死なない・・」
「そりゃまだ死なないよ。やる事いっぱいあるし」
美空が悲しそうな顔をして僕の頬に触れる。
首をゆっくり横に振る。
「違う・・・」
「美空?何が言いたいの?」「不老不死なの・・・」
「・・・・えっ?冗談だよね?」
「本当・・・だよ」
不老不死?
なんで?
美空は僕に抱きついてきたブルブル震えている。
「私はここ最近・・私たち双子について調べてた。自分たちの体について・・」美空がさらにギュッと抱きついてきて・・。
「自分なりに調べた・・あらゆる事・・私たちの体の細胞は分裂のリミッターがない・・・つまり老化がない・・物理的攻撃以外では死なない・・寿命がない」不老不死・・。
夢みたいだ・・。
いや・・ずっと生きてどうするの?
「美月、もう普通の幸せはいっぱい感じたよね・・中学を卒業したら私たちのいるべき所で死を待とう・・・」
「美空・・」
あるべき所。
戦場。
僕たちがもっとも自分らしくなれる場所。
でも・・・。
「美空だけ不老不死じゃないんでしょ?」
「うん・・美月も・・」
美空の背中をさする。
「僕と美空でずっと生きていよう・・ねっ?」
「ずっと・・・?」
「うん・・ずっと」
僕たちは子孫を残せない。細胞分裂のリミッターは子孫を残すまでの猶予時間。僕たちにはそれがない。
ある意味・・不老不死は無期懲役みたいな物だな。
「美空がいればいい・・二人ならなんでもできる」
「美月・・怖いよ・・私・・一生この世界を見なきゃいけないなんて・・」
美空の頭を撫でる。
「僕もいるから・・怖くないよ・・もし何か事故があったら・・一緒に死のう・・・ねっ?」
「・・・・うん」
美空はまた一人で悩んでたんだ・・・。
もう限界になって僕に打ち明けたんだ。
「もう・・すぐに話せよな・・僕も・・ビックリしたけど受け入れるよ」
美空はまた泣き出した。
「ぐすっ・・美月がいるんだよね・・世界が終わっても・・二人でいられるんだよね・・」
「うん・・僕たちの未来を考えよう・・」
神様でも人間でもない存在になった。
物理的攻撃・・・恐らくそれも当たらない。
僕の感覚はどんどん広がっている。
攻撃はすぐに察知できる。当たるはずがない・・。
「美空、綾にはまだ言わないように・・」
「うん・・」
割と落ち着いている自分にビックリしている。
「美空、研究した資料とかある?」
「ううん、すぐに廃棄した・・見つかると困るから」少し資料を見たかったけど・・・。
美空は嘘つきじゃないし大丈夫。
「美空・・とりあえず・・」「うん・・」
「腹が減ってまずいから・・・ご飯食べよ!」
お腹がグゥーッと鳴る。
美空はそれを聞いて笑った「美月・・ばかっ・・ははっ!」
「えへへっ!」
やっぱり美空は笑ってる方が可愛い。
僕たちの進路はこれから決めよう・・・。
その前に腹ごしらえ。
腹が減ってはなんとやら。今の僕と美空にピッタリ。
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