家の近くに麦畑がある。 毎年おじさんが機械を使って収穫する。
取れた小麦でパンを作ったりする。
僕と美空はトラックの荷台で収穫の様子を眺める。
「今年は豊作だね」
「うん、早くパン作って食べたいなぁ・・・」
「美月は食いしん坊ね・・」「・・人の事言えないだろ」風が吹いて麦がなびく。
いい香り・・・。
美空の髪も揺れる。
「美空も髪伸びたね、可愛いよ」
「ば、ばかっ!」
本当に可愛いと思ったから言ったのに。
また照れてる。
美空の髪は腰くらいまで伸びている。
「・・・なんで怒るの?僕が嫌いなの?」
「そ、そ・・そんな事・・ない・・・す・・」
むきになってる。
顔も赤い・・・。
やっぱ変だ。
「ん?なに?」
「す・・す、凄く・・頼りにしてる・・」
「良かった・・僕も美空が大事だし頼りにしてる」
「・・・ふん・・」
プイッとそっぽを向いた。可愛いなぁ。
この土地は代々おじさんの家族の土地。
おじさんはアメリカの海兵隊だった。
しばらく探偵をしてまたヨーロッパに戻ってきたらしい。
まだ収穫は終わらない。
あと半分くらい。
夕日が沈みかけ。
地平線が赤い。
僕の目みたいだ。
「僕はなんで目が赤いのかな・・美空は知らない?」美空を見ると。
美空は遠くを見ている。
地平線よりずっとずっと遠く。
僕の見えない所。
「知ってるよ・・・」
「教えてよ」
「やだ・・・」
ムッとした。
美空の頬っぺたをつつく。「教えてよっ!後でご褒美あげるから・・・」
「・・・ご褒美?」
美空が僕を見る。
青い青い宝石のような瞳。僕も美空と同じが良かった「チューしてあげる!」
「んっ!?むぅ・・うーん・・・」
悩んでる・・・・。
美空にチューした事ないからなぁ。
「えっとね・・・」
「うんうん・・・なに?」
「5歳の時に・・頭を怪我したんだよ・・・」
「へぇ・・・何で?」
美空はニコッと笑った。
ちょっと意地悪っぽく。
「教えないっ!」
舌をべっ、ってした。
「もう、意地悪っ!」
美空がトラックの荷台からおりた。
「悔しかったら捕まえてみなっ!」
「くっそーっ!」
僕もトラックからおりて追いかける。
麦畑は広い。
近くに小川もある。
美空に追い付いて肩を掴む「捕まえたっ!」
美空が振り返る。
ドキッとするほど可愛い。「美月・・・」
「・・・・」
「美月・・?なにボーッとしてんの?」
「あぅ・・うん・・なに?」美空はモジモジしてる。
何だよ・・。
「ご褒美・・欲しい・・」
「うん?ご褒美?」
美空がさらにモジモジし始めた。
「チューして・・・」
「あぁ・・うん・・」
近付くと美空は目を閉じた可愛いなぁ・・。
胸がキュンとする。
大事な大事な妹。
僕は美空の頬っぺたにチューした。
「はい、ご褒美だよ」
「・・・・えっ?」
「なんだよ?」
「・・・なんでもない」
少し残念そう。
美空はムッとしている。
「美空、トラックに戻ろう」「むぅ・・・いや・・」
美空が小川の所に歩いて行った。
僕も美空と一緒に歩く。
小川には小さな蟹や小魚がいる。
水は綺麗に清んでいる。
時々小石が川の流れで転がる。
チョロチョロと水の流れる音。
「美月と一緒にいたい・・・」
美空がしゃがんで川の中に手を入れる。
僕は美空の隣でしゃがんで寄り添う。
「一緒だよ・・美空とは・・・一緒にいるよ」
僕も川の水に触れる。
少し冷たい。
美空の濡れた手が僕の手を握る。
「・・・ずっと?」
「美空が結婚できなかったら・・・僕が一生守る・・・そうならないように好きな人作れよなっ!」
美空が微笑んだ。
嬉しそうに。
「じゃあ・・結婚しない!」スキップしながら歩きだした。
「なんだよ・・結婚しないの?」
「うん・・・結婚しない」
「困った妹だな・・」
でも美空は可愛いしきっとボーイフレンドができる。僕もそうなればいいなと・・・・思って・・る?・・・・かな?
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