たまには子供に料理作らせるか・・・。
学校から帰る途中。
車でスーパーに向かう。
「今日は美月と美空に夕飯を作って貰いますっ!」
「はぅ?」
「ほぇ?」
二人ともキョトンとしている。
二人共料理は苦手。
この子たちが自立して暮らすなら料理ができないといけない。
美月と美空で愛し合って暮らすなら・・。
「やってみる!」
「うん、私もがんばる」
二人ともやる気はあるな。「じゃあ作る料理考えといてね!」 スーパーに着く前に作る料理を考えさせる。
10分程度だけど腹ペコ双子は様々な種類の料理を食べてきた。
すぐに思い付くはず。
田舎のスーパーだがまあまあ大型。
スーパーと言うより小さめのデパートか。
服や靴なども売っている。車を止めてスーパーに入る
夕飯時の少し前は主婦の戦場になるが今は買い物客もまばら。
「はいっ、カゴ持ってね!」美空と美月はそれぞれ一つ買い物カゴを持つ。
「じゃあ・・・いくよっ!買い物スタートっ!」
美空と美月は小走りで入り口から近い野菜売り場に向かう。
私も必要な物だけを買うために一応カゴを持つ。
美月と美空が手を繋いで野菜を眺めている。
可愛い光景じゃないか・・いやいや!だめじゃん!
「こらこら!一応勝負だよ!?」
二人とも首を傾げた。
「なんで?美空と協力して作りたいよ」
「私も・・・美月と料理したいよ」
あぁ・・そっか。
二人で生きて行くんだ。
協力して料理を作ればいい・・・。
「ははっ、そだね・・じゃあ二人で考えてね」
「はーい!」
少し心配だけど先に必要な物を買う。
美月はそれなりに料理に興味があったみたいだし。
美空は栄養バランスクラッシャーなだけだし。
二人なら大丈夫かな。
洗剤と粉末ココアをカゴに入れる。
「あとは・・・菓子パンかな」
このスーパーには手作りのパン工房がある。
うちの家族はみんな気に入っている。
紙のトレーを持ってパンを選ぶ。
私はチョコロール、シナモンロール、洋梨パイ。
美月は胡桃パン、レアチーズデニッシュ。
美空はハンバーグパン、プリンパン、白玉パン、黒胡麻クリームパン。
・・・がお気にいり。
パンは朝食かおやつ。
明日は土曜日だからおやつ用。
美月と美空はどれだけ食っても太らない。
私の遺伝だな・・間違いない。
私も結構大食らい。
あとは飲み物を買ってレジに向かう。
「あら、綾ちゃん」
「久美さん、こんばんわ!」久美さんは警察官の山田さんの奥さん。
色気たっぷりの熟女であるこのスーパーのレジでパートをしている。
「今日は一人なの?」
「いいえ、今日は腹ペコ双子に料理作らせるんで材料選ばせてるんです!」
「そっか、楽しみね!」
美月と美空はもうこの田舎では有名。
あの容姿と人なつっこさで人気が出てる。
レジを済ませて二人を捜す
まだ野菜売り場にいた。
カゴにはカボチャとサツマイモが入っている。
「おっ!じっくりやってんね・・・カボチャとサツマイモか・・・」
二人は手を繋いでいる・・可愛いなぁ。 美月はニコニコしてる。
「まだナイショだよ」
美空は腕を組んで考えてる「むぅ・・うーん」
こんだけ真剣に考えて惣菜選んでバランス崩壊させるんだからある意味素晴らしい。
なんにせよ可愛い。
店内を巡って食材をカゴに入れていく。
順調順調・・。
と思ったけど二人はお菓子売り場に向かった。
「お願い・・買っていい?」二人同時に喋ってそんな目で見るなっ!!
クソッ・・可愛い。
けど母親としてキッパリ言わねば。
「いいよぉー好きなの買いなさい」
おぃ、私・・・。
なぜ・・笑って言ってしまうのだ!?
可愛さに負けたよ・・トホホ・・・。
カゴは一つでよかったな。レジに向かう。
久美さんは美月と美空を大分気に入っている。
「あら、いらっしゃい!たくさん買ったね」
「うん、美空と美味しい料理作るんだ!」 美月と美空は微笑む。
無邪気って恐ろしいな。
二人共、私の悩殺スマイルをナチュラルに使う。
だからその笑顔を見せつけられると・・・。
「あははっ・・綾ちゃんが羨ましいわ・・こんな可愛い双子と暮らせるなんて」久美さん、悩殺されてる。会計を払う。
まぁまぁかかったな。
まぁ私の貯金は使いきれないほどあるし。
昔稼いだお金。
諭吉さんがゴニョゴニョ憶人います。
車に乗って家に向かう。
美月と美空は小声で相談している。
テレパシーを使わない所がまた可愛らしい。
私は運転に集中する。
見とれて事故ったらマズイ
帰宅してから二人にエプロンを渡す。
もちろん私の手作り。
「わぁ、エプロンだ」
「ママ、これどうやって着るの?」
「うん?こうやって着るんだよ・・・」
私は自分のエプロンを使って着方を教える。
美月と美空も私を見ながら習って着る。
・・・なんと。
エプロン姿もなかなかの破壊力だ。
「二人共・・可愛いぜ!」
「あは、似合うね美空」
「美月も似合ってる」
さて食材を取り出して料理が始まる。
「分からない所あったら聞いてね!」
私は居間のテーブルでビールを飲む。
テレビをつける。
お笑い番組だ。
しばらくして・・・。
「綾、蒸し器ってどこ?」
「うん?一番上の棚にあるよ」
「むぅ・・あ、あった!」
なかなか順調かな。
これからたまには料理させてみるか。
美月と美空は楽しそうに料理している。
ルカと私みたい・・。
私が料理出来なくて・・。ルカはとっても丁寧に教えてくれたっけ。
大切な大切な思い出。
ルカ・・・。
私は幸せだからね。
あの言葉・・忘れないからね・・・。
一時間弱。
テーブルに料理が並ぶ。
スイートポテトサラダ。
ハンバーグ。
オニオンスープ。
白ご飯。
そして・・デザートにフルーツヨーグルト。
「・・・グッジョブっ!!」
二人を抱き締めて頭を撫でる。
味もなかなか美味しくてよく出来ている。
「やったね!」
「うんっ!」
美月と美空がハイタッチした。
「でもまだ甘いよ!私がビシビシ教えてあげる」
「はーい!」
可愛いなぁ・・。
我が子でなかったとしても可愛いすぎる。
「さ、美月と美空も食べてみ!」
「うん、美空食べよう」
「お腹ペコペコだよ・・」
三人で夕飯。
ルカもいてくれたらな・・そう思う事もある。
でも幸せ。
言葉にできないくらい。
とっても幸せ。
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