授業に身が入らない。
美月の事を考えてしまう。「はふぅ・・・この問題分かるかにゃ?」
生徒たちは不思議そう。
「猫先生、元気ないね?」
はっとする。
いかん・・こんなのは。
美月は息子・・・。
ルカ以上の存在ではない。ルカより愛してはいけない・・・・。
「全然元気っすよ!はいっ!宿題は82ページの英文ねっ!授業おわりっ」
ごまかした。
美月の事で頭がいっぱい。この前のエッチの時。
言ってしまった。
ルカより美月を愛してると・・・。
職員室に戻る。
コーヒーを飲んでシャキーンとしよう。
コーヒーメーカーでコーヒーを作る。
「むぅ・・」
シュガースティックがない・・。
甘党の私には辛い。
机に座ってコーヒーを飲む「に、苦い・・・」
今日の予定を見る。 6時間目はホームルーム。美月のクラスで文化祭の会議か。
美月に会える・・・。
ドキドキするよ。
早く会いたいよ。
「う・・だめだぁ・・・私はもういい歳なんだから・・・ドキドキとか良くないよ・・・」
「先生?」
「・・にゃ?うわっ!」
美月がプリントを持って立っていた。
ずっと聞いていた?
「あぅ・・聞いてた?」
「うん・・・」
「はぅ・・・」
私とした事が・・。
こんなに近くに立っていたのに気付かないなんて。
「授業参観のプリント持ってきたよ」
「うん、サンキュ」
プリントを受けとる。
全員提出してる。
みんな期限を守るいい子だ「次、ホームルームだよね?」
「うんにゃ・・そだよ」
「そっか、良かった」 美月が笑った。
キュンとする。
こんなのは・・良くない。どんどん好きになる。
どんどん欲しくなるよ・・どうしよう・・。
美月が職員室から出ていった。
美月を引き取ってから一年間ちょっと。
どんどん気持ちが大きくなる。
私は母親なんだ。
それを忘れてはいけない。好きだけど。
ルカの方が好き。
そうだよね・・。
自分に問いかける。
違う・・・美月の方が。
だめ・・美月は美空と・・・・。
「はうっ、チャイム!?」
ボーッとしていた。
準備をして教室に向かう。早足で・・向かう。
どうしよう・・・。
教室に入るとみんな座って待っていた。
「はい、ではホームルーム始めますにゃ」
起立、礼、着席。
私はプリントを配る。
アンケート結果が書いてある。
「えーっと文化祭に何やるか決めましょう」
アンケートを取った結果は演劇が一番多かった。
次が焼きそば。
その次が射的。
まぁ最後はみんなで決めるそれが私のクラスの掟っ!去年は豚汁だっけ。
美月と美空が残りを殆んどたいらげた。
腹ペコ双子の伝説はもう有名。
「演劇が一番だけど・・どうしようかな」
みんな特に異論は無いようだ。
演劇か・・何にするかな。「じゃあ何の劇をする?」
さすがにここはスパッと決まらない。
黒板に演劇について、と書いて意見を集める。
美月は頬杖をついて私を見ている。
美空は留美と喋っている。うーむ。
私の子供に演技の才能なんてなさそう。
意見がいくつか出る。
桃太郎、白雪姫・・。
何かいまいち新鮮味がない「うーむ・・・」
衣装は私が作るつもり。
材料費も少し負担する。
だって楽しいじゃん。
美月が手を上げた。
「うむ?美月くん、何?」
「僕が脚本考える」
「はぅ?脚本を?」
クラスのみんなが拍手しだした。
おいおい・・大丈夫?
文化祭まで・・まだ大分時間あるけど。
「えーっと・・みんないいかな?」
みんな賛成した。
大丈夫かな?
ホームルームの時間が少し余った。
「えー時間が余ったので雑談するなりして時間潰してね」
「わぁーい!」
みんなが散らばって好きな所に移動する。
私は紙に意見を書き移す。何事も記録しとく。
忘れる事は滅多にないけどね。
美月は美空と利奈と喋ってる。
いいな・・私も・・。
そう思う前に教室を出た。私は母親・・教師。
今でも十分美月に依存してる。
職員室に戻ってしばらくしてからチャイムがなる。
私は机で書き取った意見を眺める。
「演劇にして良かったのかな・・・まぁみんなで決めたんだし」
廊下の方が騒がしくなる。帰宅する子やら部活する子やら。
みんな青春してるな。
喉が乾いたがコーヒーは飲みたくない。
職員室を出て自販機の所に向かう。
「るんるーん・・おっ、美月くん、美空ちゃん」
自販機の前に二人がいた。ジュースを買っている。
「先生、どうしたの?」
「あは、コーヒー飲もうとしたけどシュガースティック切れてて・・・」
私もジュースを買う。
500mlのミルク紅茶。
私のお気に入り。
「美月くんが脚本か・・大丈夫?」
美月は頭をポリポリした。「あんまり期待しないでね・・・」
「そんなんなら無理しなきゃいいのに・・」
美空がボソッと言った。
美月はムッとした。
美空が私を見る。
可愛くて抱き締めたいけど我慢。
「先生・・私も部活する」
「ほぇ?やるの?」
「うん・・バスケ部のマネージャーやる」
なるほど・・。
なるべく美月といたいのかな。
「いいよ。顧問の先生に言っとくね」
「うんっ!」
美空は私の特技の悩殺スマイルを自然に使うな。
さすが私の娘っ!
「じゃあ僕たち体育館行くから」
「そか、後で見に行くね」
「うん!」
二人で並んで歩いて行った
私は・・それを眺める。
私はあの子達を幸せにするんだ。
そう誓った。
ミルク紅茶を飲み干す。
「うっし!もう一本!」
ミルク紅茶をもう一本買って職員室に戻った。
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