私は自分で記憶を改変したの?
訳が分からない・・・。
今の記憶を消せばニルも消えるの?
水樹とミクちゃんとでVRに入る。
あっという間にVRが乗っ取られた。
NPCは人間のようになっている。 人間からコピーした記憶をさらにコピーして増やしたのだろうか。
隠れながら歩く。
とりあえず警察署に向かう武村さんに会ってみよう。水樹とミクちゃんは黒いアーマーを着ている。
可愛いデザインだ。
「そんな・・・・」
警察署は・・・。
ボロボロになっていた。
とりあえず中に入る。
荒れている。
誰もいない。
「アリスはここで待機、ミクちゃんはあっちを探索」水樹とミクちゃんが警察署内を探索しに行った。
私は机に腰かける。
「はぁ・・・・」
私のせいだ・・・。
私がおかしくしたんだ。
「アリス様」
「ニル!?」
目の前にニルがいた。
私をじっと見ている。
「信念を取り戻してください」
「ニル、私はどうして記憶を?」
「話してくれませんでした・・分かりませんけど自分を試したかったのでは?」もう分からない。
何がなんだか・・・。
「どうやって記憶を改変したの?」
ニルはシルクハットをとった。
「この帽子にその機能があります。アリス様がそういう設計にしました」
「待って、私は記憶を改変する技術なんて知らない」水樹とミクちゃんはまだ戻って来ない。
「アリス様は研究員でしたよ。今は覚えていないと思いますが」
「そんな・・・」
父さんは何も知らなかったのか。
私は隠してたのか・・。
「どうすればいいの?私の記憶を消せばVRが元に戻るの?」
ニルはポッケからニンジンを取り出した。
「欲望の捌け口無くなればみんな現実に戻ってくる・・・アリス様はそう願っていました」
「VRを壊すって事?」
「アリス様はVRが嫌いでした。仮想世界での人間と人間との触れ合い、なんの罪もないNPCが殺される・・・それに耐えられない、だから壊したいと」
「でも・・現実の犯罪が増えるよ?」
ニルは耳をピンと立てた。「それが現実・・・人間の生きるべき世界」
「ニルはどうするの?これから・・・」
「僕はこれから全世界のサーバーを潰します。止めたいなら今のアリス様の記憶を消すしかないです」
「そんな・・・できないよ」やっと自分らしくなれたのに。
水樹やミクちゃんや父さんを好きになったのに。
「アリス様が選ぶのです。世界にとってどちらがいいかを」
「私は・・・・」
記憶を消して世界を・・・救う?
世界を救った事になるのかな?
人間は現実に戻るべきなのでは?
便利にはなったけど。
冷たくてやり直しが効かなくて上手く行かないのが現実。
人間はもっと強くなるべきなのではないのかな?
「アリス様は今仮想世界を壊したい気持ちになっていませんか?」
「迷ってる・・・・」
記憶を消さなければ水樹といられる。
愛していられる。
「ニル、VRを壊して!」
「その言葉を待っていました。ついてきてください」ニルの手を握る。
モフモフしている。
私だけが触れられる。
私は世界の事なんてどうでもいい。
私を愛してくれる人のために仮想世界を壊す。
記憶が無くなれば私は水樹を忘れてしまうから。
そんなの水樹が悲しむ。
「どうやってサーバーを壊すの?」
「簡単ですよ。僕は現実にも干渉できます。ミサイル攻撃で潰せます」
「・・・・すぐに?」
「はい、すぐにでも」
「やって・・・」
後ろで物音。
「アリス、ダメッ!」
「水樹・・・」
「アリス、VRを壊したらダメだよ」
「水樹の事忘れたくない」
「アリス、大丈夫だから・・落ち着いて」
「水樹が好きだから、愛してるから」
「アリス・・・」
こんな世界に未練はない。どこかで嫌になってた。
いや・・元々だ。
私は消したかったんだ。
こんな世界。
「水樹を好きだからこんな事するのかな・・・」
「アリス・・ごめん」
「えっ?」
「記憶を消さなくても信念は消えるよ・・・アリスが死んでくれれば」
「水樹・・・ひどい、なんで私にそんな事言うの?ニル、水樹にお仕置きして」
「了解っ」
これって私?
私じゃないみたい。
私は何なの?
ニルがクルクルとステッキを回す。
「LF29993機能停止。」
水樹がそう呟くとニルが固まった。
「ニル?」
「アリス、僕はこの世界を作ったからそんな事させない。僕は管理人だからAIなんていつでも止められる。僕が追ってたのはアリスだよ。一番危険なテロリスト」
もういい。
水樹を殺して私も死のう。「水樹、一緒に死のう」
Px4をホルスターから抜いた。
「アリスにはこんな事できないと信じたかった・・」
「水樹、好きだよ」
「アリス、ごめんね記憶を消させてもらう」
体が動かなくなって。
頭が真っ白になった。
目が覚める。
私はうーんと伸びてあくびをする。
「ふむん・・・なんだかよく分からないお話だったな・・・」
学校はまだ建設中。
ヨーロッパに戻ってから2週刊ほど。
この夢は美月の脚本か?
美月にきっぱり感想を言ってやろう。
美月の部屋に行く。
朝だしな・・・。
おきてるかな?
「美月?おはよ」
「あぅ・・綾」
目を擦って眠そうだ。
「ねぇ・・美月の発明品は凄いと思うよ・・けど脚本がめちゃくちゃじゃない?話がさっぱり分かんない」美月は寝ぼけながら私にくっついてきた。
「・・僕の未来予想図だよ?小難しくて当たり前」
「もっと楽しいお話の方がいいよ!」
「うん、考えとく・・」
美月はたった1週刊でこの夢枕を開発したのだ。
ほんとに天才なんだな。
しかしあんな未来は来ないだろう。
良くできた仮想でも現実じゃない。
そんなのつまらない。
人間はリアルに触れあってこそ人間。
「ちょっとサスペンス仕立てにしたんだけど」
「私はもっとメルヘンチックなお話が見たかった」
美月は頭をポリポリかいた「考えとく・・ふぁ・・朝御飯は?」
「はいはい・・おいで」
夢・・所詮夢。
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