脳科学研究所。
かなり大きな施設だ。
現実にもVRにもある。
今日は一人で聞き込み。
受付には綺麗なお姉さんがいた。
「すみません、VRPですが少しお聞きしたい事が・・」受付のお姉さんは電話で担当の人を読んでくれた。
しばらくして外人の男性が来た。
「記憶研究主任のジムです、今日はどうされました」私は事件の資料を見せる。「記憶のコピーについてお聞きしたいのですが・・」ジム主任は資料を眺めながらふむふむとうなずく。
「施設をご案内しながら説明しましょう」
「ぜひ、お願いします」
ジム主任について行く。
白い壁紙。
いかにも研究所って感じの内装。
ジム主任は歩きながら話す「あの施設の事は聞いた事があります・・・なかなか面白い研究だったんですがね」
「ふむ・・・どうして中止に?」
「一部の研究員が強引な実験をしたらしいんです」
ガラスの向こうにはたくさんの研究員。
みんな白衣を着ている。
頭が良さそうな人ばかり。「ここでは脳細胞の研究をしています」
「ふむん・・・」
「人間の脳はあと少しで完全に解明できます」
ここはVRなので実験ではなく結果を分析したり脳のマッピングをするらしい。
色々と案内してもらった。頭が痛くなりそうだ。
応接室に入ってお茶を出される。
「ふぁ・・疲れちゃいました・・」
「はは、なかなか難しい分野ですからね」
お茶を一口飲む。
ジム主任はパソコンから資料をプリントアウトする。「記憶のコピーを研究していた者のリストです」
「ふむん・・・赤字は死亡しているんですね・・」
半数以上が赤字。
地道に調べてみるか。
ふと馬木くんの手紙の事を思い出した。
「被害者の人が残した手紙に私にしか見えない物がなにかしようとしていると書いてありました・・・私自身よく分からないのですが・・・・」
ジム主任は腕を組んで唸る「あなたにしか見えないなら彼はどうやってそれを知ったんでしょうかね・・・まぁ、それは置いといて。あなたにしか見えない物・・・・VRでは思念や思想が形になる事があります。たとえば人を襲いたいと強く強く思えば身近に何かとして形になる場合があります。どんな形や物になるかは人それぞれですが」
「ふむん・・・」
そんな事知らなかった。
思想や思想が形になるなんて。
「あなたの過去について調べてみるのもいいかと思いますよ」
「ふむ・・どうもありがとうございました」
主任にお礼をして警察署に戻る。
報告をして現実に戻る。
私の過去は父さんが知っている。
聞いてみよう。
家に戻って父さんの部屋に入る。
「父さん、ちょっといい?」「うん、なんだ?」
私の夫だった人。
けどもう父さんになってくれると言った。
私の記憶は戻らないから・・・・。
事情を話して協力してもらう事にした。 「前の私の性格とか教えて欲しいな」
「・・・優しくて全てを愛そうとするような性格だったよ。虫も殺さなかった」父さんは辛いだろうけど思い出してもらうしかない。「・・・VRを嫌っていたよ・・一方的に犯罪被害にあうNPCが可哀想だと嘆いていた」
「はは・・そうだったんだ」今と全然違う。
父さんに色々聞いたが私の形になりそうな思想や思想はなさそうだった。
NPCにも権利を持たせてあげたいぐらいが一番有力そうだがまだ何も関係なさそう。
水樹の部屋ではミクちゃんと未稀さんが会議をしていた。
私も参加したかったが眠くてソファーでゴロンと寝転がった。
少し寝よう・・・・。
夢は見ない。
子供の頃からそうだった・・・いや、違う。
記憶や性格が変わってからは見ない。
そう思っていた。
目の前は雪景色。
何もない真っ白な景色。
いや・・ウサギがいた。
こっちを見てピョコンと耳を立てた。
私はそれを可愛いと思った・・・。
近づくと逃げた。
追いかけても追い付けずに消えてしまった。
目が覚める。
ミクちゃんが私に抱きついて寝ていた。
可愛い寝顔。
ぎゅっと抱き締める。
「んぁ・・アリス」
「ミクちゃん、かわゆいね」「えへ・・」
水樹はパソコンを操作して情報を集めている。
ミクちゃんを抱き抱えてベッドに移動。
三人で布団に入る。
「水樹、この事件が終わればどこかに行くの?」
「・・・うん・・そうなる」「そっか・・」
私はどうしようかな。
このまま警察を続けて生きて行こうかな。
「アリスが良ければ・・仲間になってもいいよ」
「ふむん・・いいの?」
水樹はほっぺたを赤くして頭をポリポリ。
「てか・・仲間になって欲しい」
ミクちゃんは抱きつきながら私の顔をじっと見ている「うん、ぜひ!」
このまま警察を続けても限界がある。
新しい事をやってみたい。だから水樹とミクちゃんに付いて行こう。
きっと・・・。
何かできる。
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