世界のリーダーは相変わらずアメリカ。
現実でもVRでも世界最強。私の実家はアメリカと日本とロシア。
たくさん家がある。 父は大富豪。
母は2年前に殺された。
私が17歳の時。
母とはかなり会っていなかった。
顔も覚えていない。
だけど悲しかったし犯人を見つけたかった。
だから警察に入った。
母はVR空間で殺された。
心を殺された・・・。
VR空間では死なない。
けど精神的なダメージは受ける。
犯人が何をしたのか分からない。
許せなかった。
父は警察になる事は反対した。
けど無視して警察になった・・・・。
いつか犯人に会える。
会ったら・・・。
捕まえる。
それしか復讐はできない。
職場は車に乗って20分くらい。
車は電気自動車だ。
短距離ならこれで十分。
価格も安い。
VRP第6分署。
設備もまぁまぁ。
交替でVRの担当場所を監視したり捜査する。
今日は非番だけどやってきた。
署長に呼ばれた。
署長室に入る。
小綺麗で花が飾ってある。「失礼します」
「非番なのに悪いな」
「いえ、ご用件は?」
署長はひげを蓄えた中年。中肉中背。
「今回の事件はご苦労だった」
「はい、ありがとうございます」
「今回の犯人の情報も・・彼からだった」
「ニック・・ですか?」
「あぁ・・」
ニックは正体不明の探偵であり情報屋。
警察には協力的だ。
警察は正体を掴めないでいるらしい。
「彼について調べてもらえないか?」
「あ、はい・・」
「よろしく頼む」
署長室を出る。
調べるって・・何を?
とりあえずVRに行ってみるか。
ダイブルーム。
ここはVRに潜る設備が整った部屋。
一般の装置とは格が違う。椅子に座って腰かけるだけ、目を閉じればVRに飛ぶ。またダメウサギに協力してもらおう。
VRに飛ぶ・・・・。
パッと視界が明るくなる。「アリス様ーっ!」
ニルは涙目だ。
「なに?」
「バラさないでーっ!」
「大丈夫だよ・・まだバラしたりしない」
「そうですか・・」
ホッとしている。
見た目は可愛いんだけど。素行が悪い。
落ち着かないし行儀悪い。「今日はどうしました?」
「ニックさんを探す」
「あぁ、噂の探偵さんですね!」
とりあえずVRの街にいる情報屋に当たってみるか。
「アリス様、ニックさんに会ったらどうするのですか?色仕掛けしてやらしい事・・・」
「するわけないだろ、バカウサギ・・バラすよ!」
「ひえぇ・・」
ホントに分解してバラしたくなる。
このダメウサギめ。
「でもアリス様はお美しいですし言い寄ってくる男はたくさんいらっしゃるのでは?」
「いらんお世辞は言うな」
「はい・・」
見た目はそれなりに自信がある。
正樹もたぶん見た目で惚れたみたいだし。
けどどうせすぐいなくなる・・ずっとそうだった。
付き合った男は私にすぐ飽きていなくなった。
所詮見た目に華があるだけ・・・・。
情報屋は色々いる。
ガセがほとんどだけどたまに真実もある。
釣具店の中に入る。
「ねぇ、店長」
「おぅ?なんだね?」
「ニックって知ってる?」
「あぁ?あの有名な?」
「そう、そのニック」
店長は情報屋。
顔見知りぐらいの仲だ。
「うーむ・・俺は何も知らんなぁ」
「そっかぁ・・・」
「知り合いに聞いてみるよ」「お願い・・報酬は出すから」
「うし、任せとけ!」
店長は腕捲りをしてパソコンを操作し始めた。
私はニルと店内を見て回るニルは今日はタキシードを着ている。
シルクハットは毎回被っている。
お気に入りらしい。
「釣りっと面白いかなぁ?」「やった事ないんですか?」「うん、まぁ・・」
父は何も教えてくれなかった。
私は自分で勉強した。
頭が良かったから大学に行こうかと思っていた。
大学を卒業したら医者になるつもりだった。 けど警察になった。
人生ってどう転ぶか分からない。
ニルは釣竿を握る。
「釣りは楽しいですよ・・私もやった事ありませんが・・」
「ぶん殴ってほしい?」
「すみませんっ・・」
のんびりする時間もない。帰ったらエッチするくらいしか楽しみがない。
私には何もないのかもしれない。
店長の所に向かう。
まだパソコンとにらめっこしている。
「悪い・・全くない・・」
「そっか、ありがと」
ニックってどんな人かな。カッコいい人なら付き合ってみたいな。
街を巡る。
探偵事務所にも聞いてみたが収穫は無かった。
「はぁ・・むだあしぃ・・疲れた・・」
「アリス様、がんばって!!」「おのれは何もやっとらんで偉そうな口聞くな!」
「はぃ・・すみません」
ニルは落ち込むと耳が垂れる。
二足歩行の大きなウサギ。身長は私と同じくらい。
かなり目立つ。
相棒を連れている人は少なくない。
「アリス様・・・」
「なに?」
「好きです・・」
「はいはい・・」
「うぅ・・」
こいつには付き合いきれない。
ニルはとある店で買った。製作者は不明。
見た目と性能で即買いしたが少し後悔している。
「アリス様とエッチしたいです」
「うっさい!バカウサギ!昼間っから何言ってる」
「うにゅ・・・ううっ」
VR空間ならAIの相棒とのセックスも可能。
吐き気がする。
こんなバカウサギとセックスするもんか。
「本当にエッチしたいの?」「したいです・・」
「バカじゃない・・?」
「ごめんなさい・・」
また耳を垂らした。
「次の情報屋の所行くよ」
「はい、お供します」
結局何も見つからず。
やっぱり謎な探偵だな。
VRで夕食をすませるかな。食べた事にはならないけど・・・。
「アリス様、僕とディナーを・・・」
「戻るわ、鍵ちょうだい」
「はい・・・」
私は相棒に鍵を預けている万が一無くしたら困る。
パッドに鍵穴があって差すと現実に戻る。
「アリス様、また・・会いたいです」
「お前はなんなんだよ・・じゃあね」
鍵をさして現実に戻る。
目が覚めると多少体に違和感がある。
けどすぐに正常に戻る。
「ほぁ・・帰ろ・・」
今日は非番だ。
帰ってエッチしよ・・。
分署を出た。
空は曇り。
夕飯を買ってマンションに戻る。
「ただいま・・・」
いない・・・。
置き手紙がある。
別れよう。
散々金をかけてやったのに・・食事も服も私が買ってやったのに・・。
ベットに倒れる。
こんな生活やだよ・・。
警察になんてならなきゃ良かった。
復讐なんて考えなきゃ良かった。
携帯が鳴る。
父からだ。
何年ぶりだろう。
「もしもし・・父さん?」
「元気か?」
「あ、うん・・どうしたの?」
「今の暮らしはどうだ?」
タイミングが良いのか悪いのか・・。
今悩んでた所だ。
「きついかな・・辛いよ」
「そうか・・うちに帰ってこないか?」
「今さら・・いいの?」
「ああ、いいよ・・だが警察は辞めるな。おまえが決めたんだからな」
「うん・・考えとく」
「実はな・・隠していた事がある」
「なに?」
しばらく間があって。
父が咳払いをした。
「お前には弟がいる」
「はぁ?義理の?」
「いや、実の弟だ。お前の母さんが生んだ」
「そうなの・・」
正直どうでもいい。
弟なんて。
「今から来るか?」
「うん・・そうしようかな・・寂しい」
「迎えをやるから待ってろ」「うん・・・」
電話を切ってベットにごろりと寝転ぶ。
転属手続きは簡単。
電話一本。
あとは警察が勝手にやってくれる。
署長に電話しといた。
職場に友達なんていない。殺伐としていて居るのが辛かった。
みんなプライドが高くて。とても追い付けない。
大人しくなった人間はつまらない。
怒る事もない。
しばらくしてチャイムがなる。
必要な物をカバンに詰めた家具以外はすべてカバンに収まった。
我ながらひどいな。
趣味がないのだから・・。玄関を開ける。
執事さん・・。
カッコいい執事だ。
「お迎えに参りました」
「あ、はい・・」
なんとまぁ美形な男性。
見とれそうになった。
車に荷物をのせる。
ドアを開けられて大人しく座る。
車が走り出す。
実家か・・。
懐かしいな・・。
弟って・・どんな子かな。
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