何故だか判りません。
でも間違いなく、私はこちらの道を選択していました。
自分でも正直驚いていたのです。
(本当にいいんだね?)
彼が改めて、私にそう訊ねました。
「そこに立って、沙織の身体、僕に良く見せて欲しい。」
それが彼の頼みでした。
月明かりが差し込む部屋の襖の前に立つと、欲衣を脱ぎ、全裸となりまし
た。
佇む私をジッと眺めている彼、
「沙織、綺麗だよ。」
とうとう来てしまいました。
来ないはずでした。来てはいけない所だった。
でも、私は今間違いなくここに居る。
彼に抱かれる為、ここにいるのです。
左手で乳房を、右手で茂みを覆う様にしながらたたずむ私。
その私の後に彼が立ちました。
「来てくれるとは正直思わなかった。」
彼は乳房を軽く揉む様にしながらそう言いました。
「私も・・、初めから断るつもりだったわ・・。」
「なんでそうしなかったの?」
当然の質問でした。
「判んない、何でここに居るのか?」
「そうだね、大事なのは今この瞬間だ、今間違いなく、沙織はここにいる。」
襟足から背中にかけて、彼の愛撫が走りました。
同時に私達は、その柔らかな蒲団の上に横たわりました。
乳房を含まれ、右手がユックリと下の方へと移動して行きます。
「はぁ~~ぁ」
静かに私の身体の中を、心地よい感覚が抜けて行きました。
「沙織、僕だけの沙織・・・。」
この言葉を私は如何聞けばいいの?
私には夫がいる。
私を自由に出来る人は、その夫だけのはず。
でも、今私を愛している男性は、夫では無い別の人。
決して行きずりの恋でも無く、何度も夫を欺いては密会を重ねている。
そして、この熟れきった肉体を、今こうして・・彼が好きにしている。
「アァ~雄二さん、彼方が好き~。」
心の中に閉じ込めていたその言葉を、私は解き放った。
<影法師>
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