この瞬間、私の中に主人の姿は無かった。
不思議なのは、彼とのセックスが夫婦のそれとは明らかに異なっている点、
今主人との交渉は途絶えがちではあるが、夫婦の中でも、それなりにルール
は存在していた。それは、相手が嫌がる事は強要しないと言う事だ。
しかし、彼とのセックスには、それが存在しない。
私は何が嫌だったのだろう・・?
主人との夫婦生活を思い出しても、それが思い出せない。
確かに有った気がする。
でも、彼とのセックスに関しては、何をされても許してしまう。
しかも、得られる快楽は、夫婦生活とは比べようも無かった。
彼の体力も夫の比では無い。
水泳で鍛えられた肉体、その身体から繰り出されるパワーは、私を圧倒させ
る。
それまで、私が主人との間で味わったもの、それは本当の歓びとは違った。
彼との交わり、それは私の認識を一気に変えてしまった。
信じられない位、何度も何度もアクメが襲って来た。
交わったまま、何度も彼のペニスで突かれるたびに、私は頭の中が白くなっ
た。
これこそ、本当のセックス何だと思い知らされたのだった。
何度目だろうか?
かなりの回数、逝かされてしまった。
「沙織、だいじょうぶかい?」
彼が私の身体から離れ、横になった。
「大丈夫よ、雄二さん凄いんだもの・・。」
「沙織のアソコが良いんだよ。」
「うそ、そんな事無い。」
私は、褒められたのではなく、とんでもない事を言われた様に感じた。
「私が異常みたいな事言って・・意地悪。」
張りのある乳房を右手で探りながら、時折乳首に触れる彼。
「沙織、こんな事聞いて良いかな?」
彼が、改まった顔をして訊いて来ました。
「なあ~に?」
「ご主人が居て、俺とこうなった事、」
私は、暫く何も答えませんでした。
「ごめん、怒った? 怒ったよね?」
彼は私の顔をジッと見つめていました。
「酷い女と思うでしょう? 雄二さんがもし私の夫だったら如何する?」
「如何するって・・知った時?」
「そう、自分の妻が、他の男とセックスしていると判った時。」
「ショックだろうね?」
「それだけ?」
「他に何が有る?」
彼が考える様な素振りを見せました。
「殴るとか、突き飛ばすとか・・。」
「やるかもしれないな。」
「それって・・憎いから?」
「そうとは限らないよ、愛しているからこそ、それに対する裏切りが許せない
じゃないかな。」
彼の言う通りだと私も思いました。
やはり私は、主人の信頼を裏切っているのです。
主人は、私が今このような場所に来ているとは、考えても居ないはず。
明日の結婚式に備え、ホテルにでも泊って休んでいると思っているはず。
でも、私は・・主人を裏切り、主人の知らない男とのセックス
如何してこうなのか・・自分でも判からなくなっていました。
<影法師>
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