美空はあんな事言ったけどやっぱり来ない。
僕は無理には誘わないけど・・・・
任務の合間。
僕と綾はレンタルDVDをいくつか借りた。
色々見るのもいいかなと思って。
「美月、こっちこっち!」
「へ・・?」
綾の引っ張る方に入る。
パッケージには裸の女の写真。
「あぅ・・エロ・・DVD」
「借りて一緒に見る?」
「ん・・いい・・」
「えー?一緒見ようよ」
「・・やだ・・」
結局借りさせられた。
雪道を車で走る。
大分積もった。
綾の車は四輪駆動なので力強く走る。
「・・・・ん?」
男が倒れている。
僕と綾は車から出て男に駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「あ・・・う・・」
男はアメリカ人。
40歳くらいでがっしりしていて金髪でひげが生えている。
僕と綾は男を車に乗せて家まで運ぶ。
出血している。
まだ浅いな。
「病院に行くまでかなりかかる・・家の病室に」
「うん・・・」
しかたない。
人を救うため。
化け物の僕が言うセリフじゃないけど。
家に戻り病室に運ぶ。
思ったよりひどい。
止血して糸で傷口を縫う。包帯を巻いてベットに寝かせる。
「様子は僕が見ておくから救急車を読を・・・」
いや、救急車はまずいな。セーフルームに入って来られるのもマズイし。
「救急車は呼ばずに僕が様子を見るよ」
綾とベルは頷いて上に戻った。
僕は点滴と痛み止めを施す、注射くらいできる。 しばらくして男が目を覚ました。
「大丈夫ですか?」
「・・・ここは?」
「ここは僕の家のセーフルームの病室です」
男は傷口をおさえた。
「痛み止めの注射はしました」
「今すぐに行かなければ!」男がベットから出ようとした。
「ダメです、安静に!」
男はしばらく黙ってからため息をついた。
「すまない・・ありがとう・・助けてくれて」
「いえ、当然の事をしただけです」
この心が読めない。
なんでかな?
だいぶ安定してきたと思ったのに。
「明日には病院に行った方がいい。あくまでも応急処置ですから」
「ああ・・・分かってる」
なんだか元気がない。
「あの・・お名前は?」
「アレックス・J・タイターだ・・・君は?」
「美月って言います」 男は一瞬僕を見つめた。 すぐに視線を落とす。 「えーっと、タイターさんはどうして怪我を?」
タイターは少し黙った。
「いきなり襲われて・・斬られた」
「そうですか・・ここの田舎にそんなやつが・・」
ここらへんの物騒な連中は全て排除したはず。
まだ変なやつがいたか。
「また・・・か・・すまないな・・・」
「へ・・・?」
タイターは少し焦った。
すぐに何でもないと言うような動作をした。
「今日は無理に動かない方がいいです、1日ここで安静にしててください」
「ああ、ありがとう・・」
心を読めないのがちょっと怖いけど。
大丈夫そうだな。
「コートに銃がある。自衛用だから・・」
「一応預かります」
コートにはM1911があった・・・僕のM1911?
全く同じだ。
「あの・・・これ・・」
男は少し笑った。
「それはある人から譲りうけた・・・いや、借りたままだ」
僕はM1911を見る。
全く同じ・・・。
「僕も同じM1911を持ってます・・すごく・・奇遇ですぬ・・・」
「そうか・・・」
なんだろう。
タイターはなんだか隠しているみたい。
でも同じ銃を持ってる事で親近感がわいた。
「素晴らしい拳銃だよ。今まで使った中で一番素晴らしいよ」
「そうですよね!僕も大好きですよ」
何だか銃の話盛り上がる。この人はたぶん軍人だ。
「タイターさんは軍人さんですか?」
「ああ、元シールズだ」
「ほぇ!僕シールズ大好きなんです!もっともっと聞かせてください!」
タイターは僕の頭を撫でた「君は可愛らしのに軍に興味があるのか?」
「あ、はい・・・その・・昔から好きで・・」
「わかった。本当は口外したらダメなんだがな」
それからすっかり夢中になりタイターとも打ち解けた「まあ、その時は航空支援をしてもらったんだがな・・・A10が来たときの気持ちと言ったらもう・・凄かったよ」
「A10!ルーデル!!すごいすごい!!」
タイターも楽しそうだ。
「JDAMでビルごと吹っ飛ばしてからガトリングで一掃して貰った・・それで助かったんだ」
「わあー・・凄いなぁ」
A10は近接支援航空機。
JDAMはレーザー誘導爆弾。どちらも敵にとっては恐ろしい以上・・死が確定してしまう。
タイターの話を夜中まで聞いた。
楽しくてしかたない自分はやっぱり異常だよな。
戦争の話を楽しいと思うなんて。
「あ、あの遅いですけど夕飯は?」
「いただけるのか?」
「えーと、チーズバーガーならありますけど」
「ああ、大好物だ!」
「待っててくださいね!」
僕は急いでエレベーターに向かい上がって冷蔵庫に向かう。
ちょうど2つある。
レンジで暖めてからコーラを持って病室に向かう。
タイターはM1911をいじっていた。
「はぁはぁはぁ・・お待たせ・・しました・・」
「おいおい、そんなに走らなくても・・・」
「続き!聞かせてください!」「ああ、いいよ」
ハンバーガーにかぶりつきながら話を聞いた。
もう深夜。
「すみません・・なんか・・夢中になっちゃって」
「いいさ、君は命の恩人だ・・なんでもやるさ」
僕は好奇心に負けてしまいタイターの話を朝まで聞いた。
「すごい・・タイターさんは英雄じゃないですか」
タイターは僕の頭に手を置いた。
「英雄はな・・偶然の産物だ。結果を残す事が英雄じゃない・・・・生きて帰って家族に合うのが英雄だ」ジーンとしてしまう。
「言葉の・・重みが・・半端ない・・です」
タイターは僕を撫でた。
「そうか・・忘れるなよ」
もう10時ごろ。
病院は開いているはず。
タイターはコートを羽織る病室から近いエレベーターに乗る。
スーツとかを見られたら困る。
玄関まで見送る。
「本当に・・本当に助かったよ・・ありがとう!」
「いえ、僕もタイターさんに会えて良かったです」
タイターは背を向けた。
病院の地図は渡した。
「あの、また会いたいです・・またお話・・・聞きたいです」
タイターは振り向いた。
ニコッと笑った。
「ああ、会えるさ!また・・俺を助けてくれよな!」
「あははっ!英雄さんなら大丈夫ですよ!」
「ああ、そうだったな!じゃあまたな!」
手を振って去っていった。なんか憧れるなぁ。
シールズかぁ・・・。
居間に戻ると綾がエロDVDを見ようとしていた。
「ちょっ!ダメッ!」
「えー、何で?」
綾は本当に見たいらしい。いつもどうり心は読める。タイターの時だけ偶然読めなかったんだな。
「朝!朝なの!」
「朝だから何?」
「いや、だからその・・」
「なぁにー?美月ぃ?」
僕は眠たい。
「もう寝るから膝枕してっ!はやくっ!」
「あー・・可愛いなぁ・・はいはい」
何とか阻止した。
また会いたいな・・。
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