ランスが何か掴んでくるとも思えないし思いたくない・・・僕もあいつは嫌い。田んぼは雪で覆われてもうすぐ冬休み。
教室では暖房の近くに生徒が集まる。
加湿用にやかんが置いてある。
「ふぁ・・さむい」
窓からグラウンドを見る。もう真っ白。
頬っぺたが急に熱くなった「美月くん、はい」
「わぁ、ありがと」
利奈が缶ジュースを持ってきてくれた。
相変わらず仲は良い。
付き合っていた頃より仲良くなった気がする
「これ・・・何?」
「分かんない・・新しいやつみたい。自販機に新しいのがあったから買ってみたんだけど」
「・・・?ホットミカンジュース?」
「美味しいかな?」
「利奈が買ってくれたから飲む!」
プルタブを開けて飲んでみる。
んー・・・これは。
「いいかも・・・・」
「本当に!?」
利奈も一口飲んで黙った。「うん、なんか悪くない・・けど・・・」
二人で黙る。
なんだこれ?
「二人とも何しょぼんとしてんの?」
遊が缶ジュースを持っている・・・まさか。
「遊は何のジュース買ったの?」
「ホットミカンジュース。なんか新しいやつみたい」利奈はまた一口飲んで黙った。
「二人も買ったのか・・よし、俺も・・・」
パシッと開けて一口飲んで遊も黙る。
「????微妙だな?」
「うん、美味しいけど微妙・・・」
「私もそう思う・・・」
三人とも黙りこんだ。
(´д`)・・・?
次々に被害者が増えた。
しばらくクラスは静まりかえった。
僕はバスケをやりに行ってみる。
あんまり出れないけど一応入部した。
それなりにうまくなった。体育館はかなり寒い。
「美月が前髪切ったせいでちょんまげ萌えできない」とバスケ部全員が言う。
「勘弁してよ・・ちょんまげぐらい・・」
「この部の死活問題だと思うぞ・・・」
「遊まで・・」
前髪伸ばしてコールがかかる。
「あーもぅ!僕は今の髪型が気に入ったの!」
「まぁ今のもいいけどちょんまげが見たい」
「いいよ!やってやる!」
僕はヘアゴムで前髪をしばる。
「おおおぉっ!!」
みんなが歓声をあげる。
「もうやだ・・・」
僕は一人で落ち込んだ。
学校っていいな。
つまらない事で盛り上がって楽しい。
部室の鍵を締める。
もう外は真っ暗だ。
「あ、みーは知ってる?あの噂」
「ふぇ?噂?」
遊は僕の肩を急に掴んだ。「理科室の幽霊!!!」
「ひっ!ゆうれい・・?」
「放課後になると出るってさ・・長い髪の女が」
「ゆ、ゆうれいなんて・・非化学的なもの・・いないよ・・・」
「へー・・みーは幽霊怖いのか・・・」
「ちがうっ!怖くない!」
「じゃあ行こうぜ・・」
「へ・・・?マジ・・?」
「マジで」
「あわわ・・・」
二人で理科室に向かう。
がらんと静まり返っている「ゆうれいなんて・・ゆうれいなんて無い・・絶対いない・・・・うわぁ!」
遊がいきなり僕の肩を掴んだら。
「みー・・ビビりすぎ」
「だ、だって・・怖い、いや!全然怖くないけど・・やっぱ怖い・・・」
僕は涙目。
「この学校には他にも噂があってな・・体育館倉庫と職員室と2年4組にも幽霊が出るんだって」
「い、いやぁ・・やめて・・・」
体がブルブルする。
幽霊には何も効かない。
お経何て読んでる間になにかされる。
ふいに後ろから足音。
「うらめしやー!!」
「ぎゃーーーっ!!」
僕はしりもちをついて倒れた。
「何だよ猫先生・・」
「ぶっ!遊くん反応悪っ!」
綾だった・・良かった。
「ほーら美月くん、たちにゃさい!」
「あ、あう・・せんせぇの・・ばかぁ!」
綾も見回りついでについてきた。
「うちの学校で幽霊出るって結構有名だよ」
「あわわわ・・・」
「やっぱし・・みーは落ち着け!」
もう真っ暗。
綾の懐中電灯だけが廊下を照らす。
理科室はもうすぐ。
「僕、ここで待ってるから」「映画だと真っ先に襲われるな。
「やっぱり一緒に行く」
遊のトーク術はなかなか凄い。
理科室のドアは閉まっている。
綾がドアを開ける。
パチパチ。
電気が付かない。
「あれ?おっかしーな」
このにおい・・・。
凄く不安になる。
「猫先生ですが誰もいないよね?」
シーンとしている。
綾は教師の格好だが懐中電灯はフラッシュライトのシュアファイアの大型。
絶対私物だ。
理科室はかなり広い。
実験器具が並ぶ。
「遊、やっぱり幽霊なんていない!」
「そうかな・・・」
綾は電気をチェックしている。
「明日の朝に業者さんに直して貰うかな」
理科室から出ようとした。すすり泣く声。
三人共固まる。
「え・・・・嘘・・」
綾が教室内を照らす。
確かに誰もいなかった。
「あわわわ・・・」
「ほらいたじゃん」
「うん、いたね」
なんで僕だけこんなにヒビってるんだろ。
ガタガタと窓ガラスが揺れだす。
「二人とも帰ろ・・噂通りだわ・・いる!」
三人で職員室に向かう。
怖くてたまらない・・
職員室でソファーに座って待つ。
綾は帰りの準備をしている「遊くん、送ってくから車のってきな」
「ども・・・みー、大丈夫か?」
ガタガタ震えてしまう。
幽霊なんていない・・
絶対に・・・!
でも何だか正体を確かめたくなった。
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