日本に来て良かった。
人間関係って凄く大切なんだなって分かった。
恋愛ってややこしい。
三角関係も自分を含めて二つ見た。
何より・・自分を知れた。残忍で人を殺す事に抵抗は無くて・・・そして何より・・美空を好きだって。
やっと気付いた。
学校に行っても利奈は僕と美空の関係を言いふらしたりはしなかった。
ただ仲のいい友達になった・・僕が最低だから利奈を傷付けた。
本当に最低だ・・・。
学校から帰るとベルが雪掻きをしていた。
「ただいま、ベル」
「おかえり、美月」
雪も結構積もったな。
大福は家の中に避難中。
ベルの事は外国の知り合いとみんなに説明した。
美空は雪だるまをつくっていた。
「美空!ただいまっ!!」
ギュッと抱きつく。
「んっ、しつこい・・・」
「いやなら避けられるでしょ?もっと素直になればいいのに・・」
「う、うるさい!」
僕も雪だるまを作る。
玄関の入り口に4体作る。僕と美空と綾とベル。
「ベルも家族だよ!」
「家族?」
「そ、家族!」
「家族・・・」
ベルは少し笑った。
「ありがたい・・」
夕飯は綾も一緒に。
家族ってこんな風なんだろうな・・・
わいわい喋って楽しい。
お風呂に入ってベッドに転がる。
幸せ・・・美空も綾もベルめ大好き。
電気を消して布団に入る。今日も美空は来ない。
まぶたが重たく・・・
バアンッ!バアンッ!
なんだ?銃声?
僕はベッドの下からM1911を取り出す。
匂いがしなかった。
バババババババババババババババ。
なんで・・・?
凄まじい銃声。
居間には誰も・・・。
ボロボロ・・全部。
家具も・・炬燵も。
ベルも・・・。
綾も・・・。
美空も・・・。
肉片になっている。
「あ、ぁぁぁぁ・・・」
嘘だ・・・。
幸せが・・・。
力無く倒れた。
膝をついて。
誰だ・・・誰が?
「はろぉー」
この声はランス・・?
馬のフォルムのフルフェイスマスク。
目が赤く光っている。
「なんで・・・・」
「なんで?君に幸せになる権力なんてない」
僕は美空の肉片にしがみつく。
銀色の髪は真っ赤。
顔も何もない。
「なんでだよぉおおお!!」
ランスに向けてM1911を撃つ。
すぐに弾き飛ばされる。
僕は胸ぐらを捕まれて持ち上げられる。
「君はバカ?もう殺した人数は四桁だよ」
ランスは僕の腕を槍で突き刺す。
「ぎゃあああああっ」
痛い・・・。
「君は幸せにはなれない。分かる?ほら彼らも見てるよ」
居間一杯に殺したはずの人たちが・・・
何で?
凄まじい目で睨まれる。
心が壊れそうになる。
「君は幸せになれない。分かるかなぁー」
「・・・・うるさい」
「はぁ?」
「これで何度目かな?」
「・・・・お前・・」
「夢の中で殺して楽しい?僕の心を壊したいんでしょ?」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ!!!」
顔をボコボコに殴られる。痛い・・・。
「ランスは直接戦うと負けるから夢の中でいたぶるんでしょ?」
「クソガキ、クソガキがぁ!私をバカにするな!」
「じゃあ直接会おうよ・・どこにいるの?」
ランスは興奮している。
「教えるわけないだろクソガキ!」
「じゃあずっと夢でいじめれば・・僕はなにしても折れないよ」
「くっそー!クソガキ、黙れ黙れ黙れ!」
どれだけメッタ刺しにされようが僕は死なない。
痛い痛い痛い・・・・
どんどん血が出る。
ランスは弱い。
間違いなく。
目が覚める。
セーフルームの病室。
「美月?どうだった?」
「かなり動揺させた・・」
汗だく・・・一週間前から精神攻撃されている。
三人とも無事。
ベルが凄まじい顔で怒っている。
「あのクソ女・・・」
綾はパソコンを操作している。
「何をされたのかな・・急に夢の中に・・・」
美空は僕の手を握ってくれている。
「美月・・・」
「大丈夫・・僕は壊れない」一週間前から急に夢の中に入り込まれるようになった・・原因は不明。
寝るたびに必ず攻撃される・・・最初はこたえたが今はどうって事ない。
多分ランスの能力だろう。「もう一度・・あいつに会う・・寝てみる」
「美月・・・」
「美空、大丈夫!」
綾に睡眠薬を投与される。「ベル、ごめん。ランスは僕が倒す」
「ああ、やってやれ!」
眠りについた。
もう一度・・・戦う。
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