冬になり吐く息も白い。
来年は2010年。
いい年になりますように。任務もそれなりにこなす。僕たちの事はニュースには出ない。
それでいい。
「ベル、今日のご飯は何?」「味噌鍋だな。いい鶏肉を見つけた」
「ふんふん、美味しそう」
「美月に喜んでもらえて嬉しいぞ」
「うん、ありがとね」
居間には炬燵を設置。
かなり大きな炬燵でぬくぬくで暖かい。
美空はあれ以来求めて来ない。
やっぱり怖いのかな。
「美月・・ちょっと」
「ん?なぁに?」
美空は寒いのにミニスカートをはいている。
ニーソックス・・綺麗な脚・・・。
僕の部屋に入り二人でベットに座る。 「変態な事考えないで聞いて」
「う、うん・・」
美空は今日は髪をいじっていない。
長い銀の髪はそのまま。
腰くらいまで伸びている。「利奈に相談されたの・・遊と留美の事」
「ああ・・どんな相談?」
美空は少し黙った。
僕を見つめる。
「二人をくっ付けようって作戦」
「ほぇ・・」
留美には遊の兄貴が好き。遊は留美が好き。
「くっ付けるって言っても・・・どうやって?」
「だから美月にも相談したの・・私も分からないよ」うーん。
まずは遊の兄貴を調べなきゃな・・・
美空はブルッと震えた。
「美空・・しないの?エッチ・・・」
「急に何を・・・っ!」
僕は美空を抱き寄せる。
「僕はしたいよ・・」
「んっ・・分かった・・分かったから・・離して」
美空は顔が赤い。
このまま押し倒してしまいたい。
「もう少し・・待って欲しい・・」
怖いんだな・・きっと。
「うん、いいよ・・その代わりに・・」
もう一度抱き寄せてキスをした。
軽いキスだけど。
気持ちいい。
「おーい鍋出来たぞ!」
「は、はーい」
「鍋・・かぁ。行こ、美月」「うん!」
炬燵でグツグツと鍋が煮えている。
今日は綾は残業。
「美味い・・・」
「・・・・っ」
美空はすぐに鍋をおかわりした。
「がはははっ!そうかそうか!!」
ベルにも相談してみるかな・・・・
「ベルは恋した事ある?」
「恋か?無いな」
きっぱりと答えた。
「美月は恋してるのか?」
「あ、うん!」
美空をチラッと見る。
ぷいっとそっぽを向いた。事情を話してみた。
ベルはしばらく悩んだ。
「それは兄貴しだいじゃないか?その留美って子をどう思っているかだな・・」やっぱりそうなるか。
遊の家には遊びに行ったことあるけど兄貴は見たことない。
たしか東京にいてなかなか帰って来ないらしい。
「うーん、遊の兄貴の調査をしないとな・・・」
鍋から鶏肉と豆腐をすくってお皿に入れた。
「おっ!いいにおい!」
綾が帰ってきた。
4人で鍋を食べてあったまった。
家族みたいで幸せ。
数日後、遊の家に美空と二人で遊びに行く。
遊の家は小さな定食屋。
豚カツを揚げるいい香り。「お邪魔します」
「おっ!腹ペコ双子か!あとで豚カツ持ってってやるぞ!」
「ありがとうございます!」遊はそのやり取りを見て笑った。
「親父、兄貴来てる?」
「まだ来てないな、夕方に着くっていってたぞ」
遊の兄貴が来るのか。
見てみたいな。
遊の部屋に入る。
「また勝手に・・・」 「おっす、遊!」
留美が漫画を読んでいた。遊はベットにドカッと座った。
「おおっ!美空と美月も来たか、いやいや奇遇だね」
「留美、奇遇の意味しってんの?」
「知ってる!」
「バーカ・・・」
この二人は本当に仲が良いな・・・
しばらくして豚カツがきた・・てかカツサンド。
親父さんがパンで挟んでくれた。
「美空、美味しい?」
「うん・・」
留美は後ろから美空に抱きついている。
美空はべつになんともなさそう。
「遊のお兄さんってどんな人?」
「みーには言って無かったな・・洋服ブランド立ち上げていま一番忙しいらしいんだ。名前は洋介」
「ふーん社長かぁ」
留美は美空の髪を撫でたり頬っぺたをつついたりしている。
「留美、お前に言わなきゃいけない事がある」
「ん?何よ」
「兄貴はな・・・」
僕は遊の心が読めた。
それって・・・。
「ただいまー!」
「洋介!!」
留美は走り出す。
僕たちも後に続く。
留美は突っ立っている。
洋介はカッコいいくてオシャレそうな人だ。
「洋介!今日はどうしたの?・・・」
「ああ、ちょっと結婚相手を親父に見せに来た」
「えっ・・・・」
留美は固まった。
「おっ!遊、そこの二人が噂の天使たちか?」
「ああ・・・」
洋介は僕と美空を見つめる「日本人受けする美形だな・・可愛いしモデルになってみない!?」
「あ、いえ!そんな」
美空はまんざらでも無さそう。
留美は・・固まっている。でも顔は笑っている。
「でしょー私も気に入ってるんだ!私の部下なの!」
留美は僕と美空に抱きつく・・心は泣いている。
「ははっ!そーか。・・・おーい、入ってこいよ」
結婚相手の人が入ってきた・・大人っぽい綺麗な人。ペコッと頭を下げた。
しばらく会話をしてから遊の親父さんの所に行った。「私、ちょっと・・・帰るね・・ごめん」
留美は走り出した。
遊は止めない。
「遊・・・・」
「俺の口から伝えたほうがいいと思ったんだが・・」留美は洋介が好き。
けれども洋介には結婚相手がいる。
遊は留美が好き。
こんがらがってきた。
「僕たちもうそろそろ帰るよ」
「ああ、またな!」
遊の親父さんと洋介、結婚相手の人にも挨拶して家に向かう。
田んぼ道。
「美月・・恋愛って分かんない・・」
「うん、僕も・・」
公園のベンチに留美がいた・・泣いている。
「留美・・・」
留美はすぐに涙を拭いた。「あっ・・ボスとして・・見せてはいけない・・所を」美空は黙って留美に抱きついた。
そっと背中を撫でてあげた「留美・・少し話そう」
美空がやさしく話しかけた留美は泣いた。
雪が降り始めた。
留美の涙のように。
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