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4
投稿者:銀狼
◆Df3LS3WJTE
その日の夜はやっぱり落ち着かなくて寝れなかった。和室で敷き布団なんて状況は初めてだからかも。
となりの布団には美空がいて手を繋いだまま寝た。
鈴虫の鳴く音・・・それぐらいしか聞こえない。
僕は携帯を開いてインターネットに繋いだ。
おじさんにメールをした。そうして時間を潰した。
さすがに暗くて本は読めない。
「美月・・・寝れないの?」「うん。美空も寝れない?」「別に・・・必要な時には寝れるように訓練したし」もちろんその訓練は僕も受けたが今は無理そう。
美空は手を繋いだまま僕の布団に潜り込んできた。
「美月が寝れないのならこうしててあげる・・・」
僕を抱き締める・・いや、しがみつく美空。
「Thank You・・美空。助かる・・・」
「別に・・・美月は強がりだから私が慰めてあげなきゃ・・・」
「うん・・・美空も・・僕が慰めてあげなきゃ」
春だけど少し寒かった。
でも布団の中はとっても温かくて・・・安心する。
小鳥の囀ずる声。
いつの間にか寝てしまったようだ。
美空も寝ていたようだ。
「Good morning・・・じゃない・・おはよう、美空」美空は僕のパジャマをぎゅっと掴んでいる。
「おはよ・・・美月・・今日はいじめないの?」
「そんな気分じゃない」
「そっか・・・」
部屋を出るときドアじゃなくて襖だったので少し戸惑った。
「あれ・・・ここどこ?」
この屋敷は広くてよく分からない。
手を繋いだまま迷子になってしまった。
美空はウサギのぬいぐるみを大事そうに持っている。「美空ちゃん、美月くん!こっちこっち」
綾さんが捜してくれてようやく助かった。
朝食はおにぎりと沢庵と味噌汁・・・あと卵の変なやつ・・・オムレツみたい。「綾さん、これってなんですか?」
綾さんは得意気に笑った。「卵焼き!私の得意料理だよ。日本の料理は好きかにゃ?」
「ええ、とっても」
僕は卵焼きとやらを一口食べてみる。
甘い・・・ちょっとだしが効いてる。
美空も卵焼きを一口食べてふーんと感心するような顔をした。
「今日はパパとママのお墓に行こうかなと思うんだ。あと中学校に挨拶しに」
綾さんはエプロンを着て皿洗いをしながらそう言った「お墓・・あるんですか?」「うん・・・ここを凄く気に入ってここの町のお寺に埋葬して欲しいって遺言書に書いてあったんだ」
美空はウサギのぬいぐるみを抱き締めて大福を見つめている。
僕は部屋に戻りパジャマを着替える。
「んっ・・!美月っ!」
美空が顔を赤くしてそっぽを向いた。
そういえば美空の前で着替えた事ないな。
「ごめん・・ちょっと出てるから」
美空は出て行こうとするが手を掴む。
「ダメ、行くなよ・・・」
「うん・・・」      美空はそのまま背を向けて着替え始めた。
僕は黒っぽいジーンズをはいて白いシャツとミリタリージャケットを着る。
美空は真っ白なフリフリ付きのワンピース。
綾さんの所に戻る。
「おっ!美少女に美少女!いい眺めだわ」
綾さんはミニスカートにシャツ。
だいぶラフな格好だ。
物凄く綺麗な脚だ。
車に乗って近くのお寺に向かう。
長い階段があるけど平気。僕も美空も華奢だけど体力はかなりある。
訓練のおかげだ。
大きなお寺が見えた。
女の子が竹箒で掃除をしていた。
「おーい!利奈ちゃん、おはよー」
綾さんが手をふる。
肩ぐらいまでの髪。クリッとした目。       可愛らしい女の子だ。
利奈はこちらに歩いてきてぺこりと頭を下げた。
「おはようございます、綾さん」
「今度引っ越してくる事になった美空ちゃんと美月くんね!歳は同じくらいかな」綾さんに紹介され僕達を頭を下げる。
「唐木利奈です。よろしくお願いします」
丁寧な日本語だ。
「今からお墓参りですか?」「うん、そうそう!この子らの両親のね」
利奈は僕達を見つめている、僕と目が合ってちょっと顔を赤くした。
「利奈ちゃん、この双子凄い美形でしょ?二人とも天使みたい!」
利奈はこくりと頷いてもう一度僕を見た。
また顔を赤くした。
「あ、はい!とっても綺麗で可愛くて・・・わ、私、他の仕事があるので、すみません!」
スタスタとお寺の方に走って行った。
「美月くん、一人惚れさせちゃったね」
「えっ!僕がですか?」
綾さんはニヤニヤ笑った。お墓の方に向かう。
美空いきなり手を握ってきた。
「美空?何?」
「美月のばか・・・」
「・・・?」
お墓はこじんまりとしている。
墓石には白木ルカ、楓と書いてある。
これがパパとママのお墓。「さ、手を合わせてお参りしな」
日本のお墓参りのやり方は知っていた。
手を合わせて目をつむった「パパ、ママ・・・」
美空が呟いた。
悲しそうな顔。
僕は美空にそっと寄り添った。
お寺の次は学校か・・・
今さら勉強する事はないだろうけど。
車で学校に向かう。
今日は日曜日なので学校には職員しかいないはず。
少し古い・・・悪く言えばボロい校舎だ。
がらんとした教室。
生徒はいないみたい。
職員室に入る。
「失礼しまーす。黒木っすけど校長先生いますか?」綾さんに連れられて校長先生の部屋に入る。
「やぁ、綾ちゃん」
「おっす!校長!」
校長先生は優しそうな顔をしている。
ソファーに座るとお茶を出された。
「うちの学校はゆるーいからね。制服の寸法だけ計っといてくださいね」
「はい・・・」
日本の制服ってダサいイメージだな。
でも制服の写真を見せられてそれはすぐに変わった。「可愛い・・・」
美空が思わず言ってしまった。
「私がデザインしたの。こう見えても洋服デザイナーだかんね」
綾さんは得意気に笑った。凄くいいデザインだ。
「制服ができるまでは私服で来てもらっても構わないからね」
「あの、いつから学校に・・・」
校長先生はニコッと笑った「来たくなったらでよろしい。君達は有名大学レベルの学力らしいから別に勉強しなくてもいいからね。学校には友達を作りにくるぐらいの気分でいればよろしい」
そういえば人間関係の訓練だった。
ヨーロッパに戻ればどこの大学でも楽に入れる。
校舎を見学してから校長先生にお礼をして家に帰る。お昼すぎになっていた。
「すぐにお昼作るからね」
綾さんは台所に行った。
僕は美空とテレビを眺めた、美空はウサギのぬいぐるみを離さない。
しばらくして綾さんがラーメンを持ってきた。
「ジャパニーズラーメン!召し上がれ!」
「・・・ふぇ・・?」   僕と美空は初めてみるラーメンに戸惑う。
「あ、食べ方はね・・こう箸で麺をすくってすするの・・・ほいでスープを飲む!美味しいから食べて食べて」
言われた通りにやってみる「美味しい・・・」
醤油味であっさりしている、豚肉の甘いやつと海苔と魚肉の渦を巻いた絵が書いてある物。どれも初めて口にする。
「うんうん。良かった良かった!」
ラーメンを食べてから大福と遊んだ。
ボールが好きらしく投げてとばかりに口にくわえて持ってくる。
「美空ちゃん、本当に天使みたいね・・・綺麗な銀色の髪の美少女・・きってモテるよ」
美空は照れて黙ってしまった。
綾さんはニコッと笑って美空の頭を撫でた。
「美月くん!ここら辺の女の子は可愛い子ばっかりだから女遊びしちゃダメだめだよ。美月くんみたいな美少年は日本にいないからね」綾さんはウィンクした。
「い、いえ・・・そんな・・僕なんて・・・」
なんだかウィンクにドキッとしてしまう。
ピーンポーン。
チャイムがなる。
「あ、きたきた!はぁーい、入っていいよ!」
黒髪の眼鏡をかけた子が入ってきた。
「綾さんお邪魔します」
僕と美空を見て立ち止まった。
「えっ・・・なんか・・凄い・・・ええっ!?」
「ははっ、双子の美空ちゃんと美月くんね。今度引っ越してきたの」
眼鏡の子はすらっとしていてどこか大人っぽい。
顔も可愛らしい。
ホントにここらへんの女の子は美少女が多いのかも。「あっ、清水雪って言います。歳は15歳だよ・・・」僕達の一つ上かな。
美空を見つめて雪は美空の手を握った。
「私の理想のモデル・・・見つけた!」
「私が・・?理想の?」
美空はぽかんとしている。綾さんはニヤニヤ笑った。「雪はデザイナー志望なの、私の所に勉強しにきてる訳ね」
雪は美空をしげしげと観察して頷いている。
「美空ちゃん・・天使だ。君は天使だよ!その銀色のツインテールが素晴らしい!!」
美空の長いツインテールに触れる。
美空はまたまたぽかんとしている。
雪はカバンからスケッチブックを取り出す。
「この服なんか美空ちゃんに似合うと思うよ」
「わぁ・・可愛い」
美空はスケッチブックを興味深そうに眺める。
雪と美空は仲良くなりそうだ。
僕はその様子を見てホッとした。
美空には友達がいなかったからだ。
「さて・・美月くん。話があるんだ。雪、ちょっと美空ちゃんとお話してて」
「はいっ!喜んで!!」
綾さんはちょいちょい手招きをする。
「美月・・・」
「美空、大丈夫・・すぐに戻るから」
美空は心配そうな寂しそうな目をした。
「美月くんも可愛らしいね・・・後でお話しよ!」
「あ、うん。いいよ」
僕が微笑むと雪は顔を赤くして美空とまた喋り始めた。
綾さんについて行く。
この家、本当に分かりにくいな・・・
「さ、入って・・・」
僕は部屋に入る。可愛らしい女の子の部屋だ。
カチャッ。
「綾さん?話って何ですか?」
綾さんの目がおかしい。
いきなり僕をベッドに突き飛ばす。
「っ!綾さん?」
僕はすぐに身構える。
僕の頬をさわってトロンとした目になる。
雰囲気が違う。
「あの人にそっくり・・・可愛い・・・」
「綾さん?何の事?」
綾さんは僕を抱き締めてきた。
「わっ!ちょっと!」
僕は抵抗しようとした。
強引に唇を奪われる。
「んっ・・ふっ・・」
舌が入ってくる・・・
いやらしい・・・
僕の初めてのキスが奪われる。          「美月くん・・私、我慢できないよ」
「綾さん、待って!いきなりすぎて・・・っ!」
綾さんは僕の首筋を舐めまわす。
「はっ・・あっあんっ!!」
「んっ・・可愛い・・」
綾さんの目は完全に別人になった。
「美月くん。君を犯してあげる・・・」


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