「名前っ!名前が決まらないっ!!!」
「正義の発情期ワンコ君でいいんじゃない?」
「やだ!」
「美月は頑固だしね」
「カッコいい名前にしたい」居間で美空と名前を相談中・・決まらない。
「なになに?美月の源氏名決めてるの?」
綾はニコニコしてココアを持ってきた。
「源氏名って・・・裏の顔の名前だよ!」
「ふーん・・・アレスとかは?聖獣がたしか狼だったし・・・」
ギリシャ神話の神様。
「うーん・・何か神様だとなぁ・・・」
ココアを一口飲んでまた考える。
美空はダルそうだ。
「美空!真剣に・・・」
「・・・羅紗」
「らしゃ・・・?」
「そう羅紗・・・」
なんだっけ・・・?
「何か可愛いね」
綾はニコニコ。
何が可愛いの?
「布の生地・・・美月の心みたいに頑丈で頑固で暖かくて・・でも燃えにくい・・何事も程々にやりとげるから」 美空は僕を見て笑った。
とってもとっても綺麗な笑顔で・・きゅんとする・・「らしゃ・・・羅紗・・」
「いいね!美月にぴったりじゃない」
綾が拍手した。
「うん・・羅紗にする!」
なんだか嬉しい。
美空が名前を付けてくれたんだ。
とってもとっても嬉しい。「美空っ!夜パトロール行くぞ!!」
「パトロール?・・・めんどい・・・」
「行こうよっ!」
美空に抱きついた。
嬉しくてたまらなくて。
「んっ!美月はセクハラしすぎっ・・・分かったよ」
「美空、だいすきっ!」
「んっ!・・離れてよ・・近いと照れる・・・」
綾もなんだか嬉しそうだ。綾は僕達がこうなるのが嫌じゃないのかな?
夜になりセーフルームでスーツを着る。
思ってたよりずっと着心地いい。
ヘルメットを被る。
僕は羅紗になる。
美月じゃない。
ヘルメットには暗視、赤外線ゴーグル機能がある。
操作は覚えた。
ポチポチ切り替えてみる。かなり見易い。
耳には補聴器のような機能がある。
通常の視界に戻して美空を見る。
スーツに着替えている。
綺麗な綺麗な体。
胸は小さい。
長い髪を纏めている。
「み、見ないでっ!」
僕は黙って見続ける。
美空は後ろを向いてスーツを着た。
ヘルメットを被り銀兎になった。
ツインテールを触っている「銀兎の髪って電流が流れてるんだっけ?」
「そ、僕の髪はビリビリするよ。」
「銀兎になると口調が変わるね」
「いいじゃん別に。僕は銀兎、君は羅紗。」
「うん・・悪人をこらしめる・・羅紗」
装備はナイフのみ。
ナイフの名前は決めてない「これの名前どうする?」
「羅紗が決めていい」
うーん。リニアナイフ。
なんか変かな・・・
意味的にも変だし。
「それでいいんじゃない?意味とかは別にどうでもいいし。僕もリニアナイフって呼ぶ。」
「また心読んだな・・」
「お互い様だよ。」
僕はリニアナイフを腰に二本付けた。
二刀流の方がカバーしやすい。
鞘の予備ナイフも増えて15枚。
ブレードの素材もチタンにした。
切れ味もいい。
ナイフの飛距離も30メートルくらいまで正確に飛ぶ。さっとナイフを構える。
逆手で二本。
さっと鞘に納める。
「羅紗、行こう。」
「うん。」
鏡を見た。
青白く光る瞳。
これは僕じゃない。
羅紗・・・悪魔・・。
フリーランニングは鈍ってなかった。
壁を登って塀を飛び越え。静かな田舎を走り回る。
銀兎に続いて走る。
全く疲れない。
体にあまり筋肉はないけど力はある・・不思議だ。
走り回るのが楽しい。
バック転したり側転したり・・無駄なアクションを入れる。
「はははっ!銀兎。たのしぃっ!!」
「・・・・嫌におい。」
「へ?・・・におい?」
「こっち。」
銀兎の後ろに続く。
商店街の方・・・
ビルの間を飛び越える。
お店の前に数人の男。
「あいつら。強盗だ。」
「やる?。」
「・・・・羅紗。殺すな。」「了解。」
ゆっくり忍び寄る。
お店に入ろうと鍵をピッキングしている。
「おい、早くしろ!」
「うるせえ!」
ピッキングがうまくいかないみたいだ。
銀兎と挟みこんだ。
「オジサン。何してるの?」強盗はこちらを見て驚いた「なんだこいら・・・」
その目は恐怖している。
頭に文字が浮かぶ。
【銃を持ってる、ナイフを使った方がいい】
銀兎だ。
僕は腰からリニアナイフを引き抜く。
シャキン。
強盗が懐から銃を取りだそうとした。
赤い点が強盗の腕に光る。パシッ。
ブレードが飛ぶ。
強盗の腕をかする。
銃を落とした隙に銀兎が素早く切り込む。
パンチ、キック、足払いで一瞬でケリがつく。
強盗の腕を結束バンドで拘束する。
「なんなんだ、お前ら・・」「悪魔・・」
強盗はもう何も言わない。恐ろしくて喋れない。
「殺そう。」
「羅紗?」
「こんなやつら生かしてたらダメだ。殺そう。」
僕はリニアナイフをさっと抜いて斬りかかる。
「ぎゃあああっ」
強盗が叫ぶ。
銀兎が僕の手を掴んだ。
「やめろ。ただの強盗。」
「殺そうよ。ズタズタにしようよ。」
「羅紗。行こう。」
「・・・・・」
ナイフをしまう。
殺したい。殺したい。
殺したい。殺したい。
殺したい。殺したい。
「羅紗。早く。」
大人しくその場から去った殺したかった。たまらなく・・・。
「羅紗。僕らが裁くのはもっと悪人だ。あんな雑魚はほっとけ。」
「僕・・俺は・・殺したかった。」
「今度好きなだけ殺させてあげる。それまで我慢。」家に帰る。
やっぱり僕は悪魔なんだ。間違いなく・・・。
バケモノ。
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